子供が損する?マインドセットが重要な話

子供が損する?マインドセットが重要な話

どんどん成長していく子供とあまり成長しない子供がいるのはなぜでしょうか?
➡︎成長型マインドになっていないのかもしれません。

マインドセットは学校での成績、友人との関係に影響し子供のポテンシャルを引き出すために重要とされています。今回は2012年にDavid Scott Yeager によって発表された論文に基づいて成長型のマインドの効果について紹介します。

成長型マインドが潜在能力を引き出す話

教育者が直面している重要な問題

教育の場では学業と人間関係の問題が昔からの課題です。
難しい問題に直面し、自分には無理だと判断すると勉強しなくなり成績が下がります。また、友達との関係では相手を仲間はずれにしたりいじめたりする事があります。
小学校では教育者が介入することでいじめが減りますが、中学生、高校生になってくると介入の効果がなくなることが知られています。

どうすればこうした問題が解決するのか?

➡︎成長型のマインドが重要とされています。

成長型マインドでは自分の能力は自分の努力次第で伸ばすことができると認識しているのに対し、固定型マインドでは自分の能力は決まっていて、伸ばすことができないと認識しています。そのため、固定型マインドだと努力をするようになったり、他人の失敗に寛容的になります。

成長型マインドの人はポジティブを維持できる

成長型マインドだと壁にぶち当たっても新しい戦略を考えたり、努力を続けられたり、平和的に対立を解消する能力が高いようです。

そのため、学生たちの
・目標
・努力に対する信念
・失敗した時の考え方
・学習方法

がポジティブな方向に向かっていきます。

そこで、Aronsonらのグループは学生たちのマインドを変えることで成績が改善できないか検証しました。

成長型マインドの成績への影響

脳の機能やポテンシャルについて科学的な知見を紹介することで成長型マインドセットを引き出します。
➡︎勉強することでニューロンのつながりが強くなり、賢くなると言った話です

その後、学生たちの成績を測定しました。


この結果、成長型マインドの人は5段階評価で0.23ポイント成績が良くなっていました。特に数学では0.3ポイント改善してました。5段階評価でのこの改善は大きいですね。

この原因として、数学は難易度が上がるにつれて固定型マインドセットになる人が多い事が知られており、改善する伸びしろがあったと考察されています。
実際に難易度の高い数学のクラスでは68%が固定型マインドセットだったようです。

成長型マインドの社会性への影響

✔️仲間はずれやいじめは社会的繋がりが揺らぐため不安になります。
自分はダメなやつなんだというラベルを貼られることにもなり、固定型マインドになってしまいます。また、固定型マインドの人は相手も変わることができないと思っているため、いじめをしますし、いじめられた時には復讐しようとします。
逆に、成長型マインドだと前向きな解決策を探そうとします。

Williams と Jarvis はマインドセットと社会性の関係を調べました。

コントロール群は問題に対処する方法を教え、成長型マインド群は感情の扱い方を1ヶ月間教えます。

その後、2人の子供にゲームを行わせ、片方が一方的に負けるという状況を作りました。
しかし、実際には子供は1人で相手はコンピューターです。この事実を知らない子供が相手に仕返しをする機会を与えられ激辛のソースをどれだけ食べさせようとするかを測定しました。


この結果、成長型マインドの子はコントロール群よりも40%復讐する量が減っていました。さらに、仕方なく復讐しなければならない状況だったため、復讐後は相手を気遣おうとするそぶりも確認されました。
子供が非行に走るのもマインドセットが原因かもですね。

成長型マインドとストレスの感受性

✔️固定型マインドの人はストレスを感じやすくなります
➡︎自分が変われないと思っているためストレスの原因に対処できません。
特に高校に入学した時は周りに知り合いが少なく、ストレスを感じやすい状況になることが知られています。

Yeagerはマインドセットとストレスの関係について調査しています。

78人の高校の新入生を対象に実験しました

最初は全員で脳の機能について学びます。
これは成長型マインドの土台になる知識です。

?コントロール群と成長型マインドの群に分ける
1週間後ランダムにグループ分けします。
・成長型マインドの群には個人の能力は成長させれるという科学的な文献を読ませ、友達に避けられた時やいじめられた時にこの知見をどう活かすか書き出させます。
・コントロール群には個人の能力が改善できるという文献を読まさせず、ポジティブで楽観的な活動を行わせます。

?サイバーボール実験
その後、ゲームの中でボール回しをしている時に自分にボールが回ってこなくなり、排他的な感情を受けさせるという実験を行いました。


この結果、成長型マインドの学生は排他的な行為にストレスを感じにくくなりました。
さらに、その効果は8ヶ月後でも変わりませんでした。

まとめ

✔️これらの研究から成長型マインドが
・学校での成績
・社会性
・ストレス
を改善する事が分かりました。

成長型マインドをもとにした方程式

努力+良い戦略+他者からの支援=成長
この方程式がこうした研究分野で知られているようです。
努力していても良い戦略や他者からの支援がなければ成長はできません。成長型マインドと組み合わせると効果的なようです。

成長型マインドを持たせるには?

科学的な知見を基にした情報が有効なようです。ただ、子供にも分かるような簡単な言葉での説明が求められます。

他にも人格を褒めるのでは無く過程を褒めると良いとされています。
「なんでそんなこともできないの。」というと自分の人格を否定されたように感じ、固定型マインドになりやすいようです。逆に「よく頑張ったね。」「努力が足りなかったね。」というと人格では無く自分の取り組み方が悪かったと認識して成長型マインドになりやすいようです。

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