悪い予想はメリットが少ない話

悪い予想はメリットが少ない話

試験の結果や面接の結果など悪い予想をしていませんか?
➡︎しかし、悪い予想をする分、結果が出るまでの幸福感が低下しています。

直感的に悪いことを予想しておくことで悪い結果だった時のショックが和らげると思ってしまいますがそうではないようです。今回はネガティブな予想をすると損してしまうという論文について紹介します。

悪い予想はメリットが少ない話

この記事は2009年にTimothy D. Wilson によって書かれた論文に基づいています。

事前に悪い結果を予想をするメリットはあるのか?

➡︎あります。ただ、ほんの短い時間しか効果がないようです。

悪いことが起きると予想していた場合

良い事が起こった時に嬉しさが強まります。
逆に悪いことが起こった時には落ち込む程度が少なくなります。

生活の中でそういった経験をした人は多いのではないでしょうか?
実際に行くつかの論文でそういった報告がなされています。
➡︎しかし、ここにはいくつかの反論がある様です。

悪い結果を予想するメリットへの反論

?1つは予想と違った出来事が起きても、すぐにその感情が消えて行くということです→(R)。
実際に脳を観察した結果からも強い負の感情はすぐに消える事が分かっています。

?2つ目は私たちが予想したことを正確に思い出せない事です→(R)。
ネガティブな事が起こった場合にネガティブな結果が起こると思ってたんだよ、と自分の記憶を書き換えてします様です。
こうした以前の研究から正確に思い出すことができるなら悪い予想をするメリットがあると考えられます。

ノーベル賞を受賞したトーマス・ハーディーによると私たちはネガティブなことは弱め、ポジティブなことは強めるというバイアスを持っている様です。このシステムは心の免疫として知られており、人の精神を健全に保つ事ができます→(B)。

事前に悪い結果を予想をするメリットは単純に考えれない

➡︎上記の報告から、総合的に見た時にネガティブな予想をした方がいいのか疑問に思えてきます。

また、ネガティブなことを予想することは結果がわかるまでのネガティブな感情のコストになるだけで利益にならないのはないかという仮説も生まれます。

そのため、著者はこうした点について検証してみることにしました。

ネガティブな予想をすると結果が出るまでの気分で損をする

心理学的テストとしてハーバードの学生を対象に下記のアンケートを行いました。

・親友をどの様な形容詞で表現しますか?
・もし、起きた時に新しい能力に目覚めているとしたらどの様な能力がいいですか?

その後、ネガティブな予想をさせるグループとポジティブな予想をさせるグループに分けます。

?ネガティブな予想をさせるグループ
このテストは悪い結果になる事が多いというデータを見せました。
?ポジティブな予想をさせるグループ
このテストは良い結果になる事が多いというデータを見せました。

その後、自分のテストの結果を予想してもらいました。
さらにその後、結果を見せて今の気持ちがどうかアンケートを取りました。

結果

➡︎悪い結果だった場合にネガティブに予想していた人もポジティブに予想していた人も気分に差がありませんでした。

また、良い結果だった場合にも両者の間で差がありませんでした。

✔️このことから、ポジティブな予想をした人は結果が出るまでのポジティブな感情を得ている一方、ネガティブな予想をした人は結果が出るまでのネガティブな感情分損をした事になります。

続いてハーバードの学生を対象に中間試験を受けた48時間後(結果を知る72時間前)に試験についての予想とその時の気持ちをアンケートしました。
また、学生たちが結果を受け取った24時間後、再びどの様な気持ちかアンケートを行いました。

結果

➡︎試験前にネガティブに予想した人ほど、結果が出るまでネガティブな感情を抱いている事がわかりました。
しかし、どちらの予想をしていても結果を受け取って24時間後にはネガティブに予想していた人とポジティブに予想していた人の感情に差はありませんでした。

✔️つまり、ネガティブな結果でもポジティブな結果でも少し時間が経てば同じ気持ちになるということです。

著者はそれならポジティブに予想した方が結果が出るまでの時間を楽しめる分、得ではないかと考察しています。

まとめ

✔️今回の研究からネガティブな予想をすると結果が出るまでの時間を不安な気持ちで過ごさなければならなくなるため損しているということが分かりました。

では、なぜネガティブな予想をしてしまうかというとネガティブバイアスがあるんじゃないかと考察しています。

?ネガティブなことは印象に残りやすい
例えば、楽しいことをしているときはすぐに時間が経つのに対し、嫌なことをしている時は時間が長く感じます。
このように、本当はネガティブな感情はすぐに消えるのですが、感覚として長く感じるのでネガティブに対して過大評価してしまっていると考えられます。

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