”小さな範囲”に注目することでパフォーマンスが高まる話

ポイントカードは効果があるのか?科学的に調査した結果

飲食店や小売店で使われているポイントカードですが効果があるのでしょうか?

ポイントを貯めると”小さな範囲”に注目するようになるため再び来店しやすくなるようです。

大学を中退したり、目標とする金額を貯めれなかったりと目標を達成できないことがあるのではないでしょうか?

今回紹介する論文はそうした目標達成にも”小さな範囲”注目すると良いと教えてくれています。

”小さな範囲”に注目することでパフォーマンスが高まる話

この記事は2012年にMinjung Kooによって書かれた論文をもとに書いています。

目標までの距離がモチベーションを高める

人は目標に近づくにつれてモチベーションが高まることが知られています→(R)。

人にはインパクトの大きなことをしたがるという習性があります。

長距離走をしていてゴール付近までくれば力が湧いてくるようなものです。
ゴールまでのあと一歩のところまで来ればその一歩を頑張りさえすればインパクトのある結果に繋がるから頑張れますよね。

著者は“小さい範囲”に注意を向けることでモチベーションが高まるのではないかと仮定して実験を行っています。

その結果、”小さな範囲”を意識するとモチベーションが高まることが分かりました。

POINT

“小さい範囲”とは目標に向けて作業をし始めた時のスタートから現在までの距離や作業が進みゴールまでもう少しという距離のことを言います。

では、詳しく観ていきましょう。

ポイントの見せ方で客のリピート率が上がる

著者は飲食店でポイントが増えていくカードと減っていくカードを使って実験を行いました。

ポイントカードは10個のポイントを集めると1食分無料になるという特典があります。このポイントカードには2種類の集め方が用意されています。

1つは決まった値段ごとに?のマークが増えていく仕組み、もう1つは決まった値段ごとに?のマークが消されていく仕組みです。

  • ?マークが増えていく→進捗を意識させるグループ
  • ?マークが消される→特典までの残りの数を意識さるグループ

ポイントがあまりたまっていない時と溜まってる時でそれぞれの仕組みが下記の項目についてどのように働くか見ています。

  • 客のリピート数
  • 再び来店するまでの期間
  • 来店したときに使う金額

結果

??マークが増えていくポイントカード(進捗を意識させるグループ)
ポイントがあまりたまっていない場合とポイントがたまってきた場合、再び来店する確率が高くなり、来店までの期間も短くなっていました。

??マークが消されるポイントカード(特典までの残りの数を意識させるグループ)
ポイントがあまりたまっていない場合
➡️再び来店する確率が1/2程度になり、来店までの期間も2倍程度に伸びました。
ポイントがたまっている場合
➡︎再び来店する確率が高くなり、来店までの期間は1/2程度になりました。

なぜこのような結果になったのか?

ポイントが増えていくカードの場合はポイントが溜まっていない場合ではポイントの数が”小さな範囲”となり、ポイントが溜まってきた場合には残りの必要なポイント数が”小さな範囲”となりモチベーションを高めた、と考えられます。

また、ポイントが減っていくカードの場合は常に残りのポイントに注目するため、”小さな範囲”の効果が得られにくくなりました。

”小さな範囲”を意識するとモチベーションが高まる

次に勉強にも”小さな範囲”が有効か調べるため、言葉遊びと算数を組み合わせたタスクで実験しています。

参加者は早くタスクを終わらせるとボーナスがもらえる仕組みになっています。

初めに言葉遊びのタスクを行わせて、途中で進捗を示します。その後、算数の問題を解かせ言葉遊びのタスクに戻るまでの時間を測定します。

これにより途中で示された進捗が算数の問題を解くスピードにどのように影響するかを見ています。

進捗の示し方は下記のようになっています。

①    0→→      10 達成率20%(進捗を意識させるグループ)
②    0→→→→→      10 達成率80%(進捗を意識させるグループ)
③    0     →→10 残り20%(ボーナスまでの残りを意識させるグループ)
④    0  →→→→→10 残り80%(ボーナスまでの残りを意識させるグループ)

最初の実験で進捗に注目させるか残りに注目させるかで違いが出たような効果を狙っています。

対照群として単純に進捗が何%と数字だけが示されるグループも用意しています。

結果

?タスクが進んでいない場合(①、④、対照群)
①のグループ(進捗を意識させるグループ)が一番タスクをこなすのが速く、数字だけ見せられたグループの約1.5倍速いことが分かりました。

?進捗状況が進んだ場合(②、③、対照群)
③のグループ(残りを意識させるグループ)が一番タスクをこなすのが速く、数字だけ見せられたグループの約1.2倍速いことが分かりました。

この結果から、”小さな範囲”を意識すると仕事が速くなることが分かりました。

予想通り、人は”小さな範囲”に注目すると仕事が速くなったり、飲食店のポイントを集めるようになるようです。

まとめ

今回は”小さな範囲”に注目することでパフォーマンスが高まるという論文を紹介しました。

この結果は自分の体験からも納得できました。
・何かを始めた時にあまり進んでいない→自分の努力が足りないからもう少し頑張ろう
・ゴールが見えてきた→もう少しだから頑張ろう
という気になると思います。

モチベーションが落ちた時にどうすれば良いですか?

もう一段高い目標を作る→まだ20%ぐらいだからもう少し頑張ろう
目標を1段階落とす→あと少し頑張れば目標達成できるから頑張ろう

こんな感じの工夫ができるかと思います。

目標の設定方法を色々試してみてはいかがでしょうか?

今回紹介した内容は他の科学的文献とも整合性が取れています。ハーバードのテレサ・アマビールは進捗があることで従業員のパフォーマンスが高まることを発見しています。

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