お金で買える幸福感
お金があれば幸せになれると思っている人は多いのではないでしょうか?
➡︎それは正解です。
お金があることで幸福感が高まる事が知られています。しかし、年収が一定以上を超えると特定の幸福感が上昇しにくくなる事が分かっています。今回はお金と幸福感との関係についての論文を紹介します。
お金で買える幸福感
この記事は2010年にダニエルカーネマンによって発表された調査を基に書いています。
幸福感とは
➡︎幸福感には2種類あります→(R)
・精神的幸福感…幸福感、楽しみ、怒り、悲しみ、ストレス、悩みなどの精神的な面での幸福感。
・生活の満足度…主にお金で何かを購入する時に得られる幸福感。
収入と幸福感の関係を正確に測定するためには
➡︎2つの課題があります。
・2種類の幸福感を測定する
・お金の相対値で測定する
過去の研究は単純にお金の量で測定していたために正確な幸福感が測定できていませんでした。
例)年収が300万の人と1000万の人では50万円のボーナスの捉え方が違うのに幸福感を一律に測定していた
著者はこうした問題をクリアして収入と幸福感の関係を調査しました。
✔️この調査により生活の満足度は収入とともに増加するが、精神的幸福は収入が高くなるにつれて飽和していくことが分かりました。
お金で高まる精神的幸福感には限界がある
著者は45万人を対象に精神的幸福度と生活の満足度について収入との関係を調査しました。
精神的幸福度と生活の満足度下記のアンケートで調査しています。
・精神的幸福感として昨日の感情(楽しさ、悲しさ、不安など)についてのアンケート
・生活の満足度としてCantril’s Self-Anchoring Scaleを使い、最悪の人生から最高の人生まで0〜10の11段階で自己採点
今回の調査では性別や学歴によって感じ方が違う可能性も考えて調査を行なっています。
結果
?収入と幸福感の関係
- 生活の満足度は年収と共に増加し、160000ドル(今回の調査の限界)まで続いた。
- 精神的幸福は年収と共に増加し、75000ドルで頭打ちになった。
- 年収が少ないと離婚や独身、頭痛などによるネガティブな影響を感じやすくなる。特に頭痛と孤独は幸福感を大きく下げる。
- 女性や大学を卒業した人はストレスを感じやすい。
✔️この結果から収入が多いいことで感情がポジティブになりストレスを感じにくくなる事が分かりました。
➡︎精神的幸福感の上昇には限界があり、より幸福感を高めるためにはお金ではなくその人の気質や周りの環境によって決まる事も分かりました。
↪︎ただ、収入が多いことによって感情的な痛みが軽減される様です。
まとめ
✔️この研究でお金で幸福感の全てが買えるわけでは無いことは分かりました。
➡︎しかし、ほとんどがお金で買える事も分かりました。
やはりお金は大切です。お金がないと精神的幸福感と生活の満足度が得られません。それに、精神的に辛くなった時に痛みを感じやすくなります。
幸福感を高めるには
➡︎生活の満足度と精神的満足度を両方高めていかなければなりません。
お金だけでは精神的幸福感に限界があります。お金のためにストレスを感じ、家族を犠牲にしていてはあまり幸福感が感じれません。
☑️今回の研究から高所得者から低所得者に再分配する方が効率的に社会全体の幸福感を高めると考えられます。
➡︎精神的幸福感は年収75000ドルで頭打ちになる、と言うことは日本円で年収約800万円以上の人はそれ以上お金をもらっても幸福感が高まりにくいことになります。
そのため、再分配する事で高所得者の精神的幸福感も高まると考えられます。
☑️過去の研究では他人のためにお金を使うと幸福感が上がるというデータも出ています→(R)。
毎日500円程度他人のために使うことで幸福感が高まるようです。
悩み;お金があっても幸せを感じない
➡︎精神的幸福感の問題かもしれません。
人との関わりを増やしましょう。地域の人々や恋人との関わりを持つことで幸福感が高まることが知られています。
➡︎これは人の基本的な欲求の1つとして知られています。
✔️幸福感には慣れがある
幸福感が一定して続くと慣れてしまい、幸福感が感じられなくなることも知られています。
➡︎下記の記事を参考にしてください。
参考文献
High income improves evaluation of life but not emotional well-being
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