培養上清は育毛にも効果がある

培養上清は育毛にも効果がある

以前、幹細胞コスメが皮膚のしわやシミに効果があるという論文について紹介しました。培養上清というのは脳梗塞や創傷、軟骨損傷などの治療への応用が期待されています。今回はこうした様々な効果を持つ培養上清が育毛にも効果があると言う論文を見つけたので紹介していきます。

培養上清は育毛にも効果がある

今回紹介する論文は2017年にRamya Lakshmi Rajendranによって書かれた論文です。

ホルモンのバランスや栄養失調、抗がん剤治療などで髪が失われてしまうことがあるのですが培養上清が効果があるのではないかということで実験を行っています。

今回の論文の特徴は上清がに含まれるエキソソームに注目している点です。

エキソソームとは細胞から分泌される50~150nm程度の球状の粒子で様々な成長因子を含んでおり、細胞間の情報交換に使われているものです。

細胞の上清にはこの粒子が多く含まれているため効果があるのではないかと言う説もあり、上清が効くメカニズムの一つと考えられています。

著者は上清の中からこのエキソソームを精製し実験に使用しています。

以前から毛根の下にある乳頭細胞と言われる細胞を活性化すれば髪が生えてくるようになるのではないかと言われいました。そのため、著者たちは生体外で乳頭細胞を培養しているところにエキソソームを加えてどのような反応が観れるか検討しました。

その結果、エキソソームを加えることにより乳頭細胞の増殖が活発になることが分かりました。(ちなみに、細胞の増殖に関わるとされているAKTやERKの活性化も確認しています。)

また、乳頭細胞はVEGFやIGFなどの髪の再生に必要だと言われている成長因子を発現するようになるなどポジティブな結果が得られました。

じゃあ、マウスの背中の毛が生えるようになるのか?ということでマウスの背中の毛を取り除いた後にエキソソームを塗ってみました。

その結果、何も処理していないものよりも毛が生えてくることが分かりました。ただ、一般的に使われているミノキシジルという成分と同程度という結果でした。(ミノキシジルは日本ではロゲインという名前で売られているみたいです。)

また、エキソソームで処理した細胞とミノキシジルで処理した細胞でWntと呼ばれる髪の再生に必要とされている成長因子の発現が上がっていることも確認できました。

この結果から細胞上清が髪の再生に役立つ可能性が見えてきました。

ただし、これから投与方法やタイミング、投与量など様々な条件を試していく必要なあるとしています。

この論文では物理的に毛を抜いているため、抗がん剤治療のようなメカニズムで髪が抜けた場合に効果があるのかは分かりません。

それでも、乳頭細胞を上清が活性化するという結論は変わらず、効果がある可能性が高いです。上清をシャンプーに混ぜたものとかがあるみたいなので興味のある人は使って見てください。

参考文献

Extracellular vesicles derived from MSCs activates dermal papilla cell in vitro and promotes hair follicle conversion from telogen to anagen in mice

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