インフルエンザに感染しても発症しない人がいる理由

インフルエンザに感染しても発症しない人がいる理由

なぜインフルエンザなのに軽い症状で済む人がいるのでしょうか?
➡︎子供の頃に最初にかかったインフルエンザの影響と考えられています。

一般的に子供の頃に多くの病原菌に触れることで免疫機能が獲得できるということが言われています。この考え方からインフルエンザ一度感染すると似た種類のインフルエンザに対しての抵抗がついていると考えられます。しかし、インフルエンザの場合はそんなに単純ではないということが報告されていますので紹介します。

インフルエンザに感染しても発症しない人がいる理由

アリゾナ州のUCLAの調査チームによるとインフルエンザにへの抵抗力はインフルエンザの種類だけでなくその順番も関係あるとしています。子供の頃に最初に感染したインフルエンザには抵抗力を獲得できるのですが、その後感染したインフルエンザに対しては子供の頃のような抵抗力は獲得できないようです。

子供の頃に感染したインフルエンザによって耐性が決まる

その根拠としてH1N1型が流行した1955年に子供だった人はその後H1N1型が流行しても症状が出にくかったにも関わらず、成人になってH3N2型に感染しても症状が出やすいままだったという結果が得られています。

なぜ成人になると免疫を獲得できないのか、なぜ最初に感染したインフルエンザには免疫を獲得できるのかは分かっていません。免疫機能は個人によってもバラツキが大きくこの辺の研究は進みそうにないですね。

似た種類のインフルエンザに感染していることが大事なのか?

➡︎一般的には近い種類のインフルエンザにかかるとその後似た種類のインフルエンザへの感染を防いでくれると考えられています。しかし、そう出ない場合も確認されています。

例えば、H2N2型はH1N1型と似たインフルエンザと言われていますが、H2N2型に感染したからといってH1N1型に感染しにくくなるという結果は得られていません。

研究のきっかけは何だったのか?

➡︎Lloyd-Smithらのグループは年齢によって感染するインフルエンザの種類が違うというところから研究をはじめました。

H3N2型は成人以上に感染しやすく、重症化しやすいことが知られています。それに対し、H1N1型は子供でかかりやすく重症化しにくいことが知られていました。
こうした世代によるインフルエンザの影響の違いが何故なのかというのが始まりでした。

この研究は何の役に立つのか?

➡︎インフルエンザが流行した時に誰がワクチンを打つべきなのかわかります。

インフルエンザは感染を繰り返していく中で進化していきワクチンが聞きにくくなる事があります。実際に豚インフルエンザや鳥インフルエンザなど動物にしか感染しなかったものが人に感染するようになっています。
こうした状況を回避するためできるだけ早く流行を沈静化させなければなりません。そのために、感染しやすい人にワクチンの接種を呼びかけるのが有効とされています。

ちなみにH1N1型は2009年に河岡義裕氏によって免疫に認識されないように改変できるという発表がなされ話題になりました→(R)。変異によって人類の脅威になるかもしれません。

コロナウイルスの対策は?

➡︎まだ治療方法がないものに対しては感染を拡大しないしか方法がありません。

Lloyd-Smithらのグループはコロナウイルスの研究も行っており旅行者を調査しても効果は薄いと指摘しています。理由は半分以上の人が症状がなく感染していることに気づかないため特定するのが難しいことにあります。そのため、多くの政府が検疫を課し、旅行を制限しています。
しかし、もしアフリカなどの貧困国へ広がると検査する資金もないため甚大な被害が出ると考えられています。

こうした感染症に対しては初動がいかに重要か分かりますね。今回は中国が対策をしなかったため世界中で拡散しています。本当に困りますね。

☑️参考文献
First childhood flu helps explain why virus hits some people harder than others
Childhood immune imprinting to influenza A shapes birth year-specific risk during seasonal H1N1 and H3N2 epidemics

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