後悔しないための研究室の選び方

【バイオ系】後悔しないための研究室の選び方
この記事はこんな悩みを解決します
  • 研究室選びに迷っている
  • 何を基準に研究室を選べばいいのかわからない
  • 研究室選びの著者の体験を知りたい

理系の学生だと早くて大学2、3年生から遅くても4年生からは研究室に配属されます。しかし、今までに全く研究をしていないのでどんな研究室を選べばいいのか分からない、と言う人も多いと思います。大学で研究をする時間は研究の魅力を知るための貴重な時間となります。そのため、今回は後悔しない様に自分に合った研究室を選ぶための方法を紹介していきます。

この記事を読むことで後悔しないための研究室の選び方が分かります。

後悔しないための研究室の選び方

私は学部生の時と修士の時、さらに社会人と全部で4つの研究する環境を経験しました。その経験から、研究室選びの重要さとどんな研究室なら成長できるのか感じたことがあるので、それらのポイントを紹介したいと思います。

とは言っても、学部生や修士、博士といろんな人がいるのでまずは一般的な研究室の選び方を紹介して、その後、研究で食べていくならこんなことも気をつけないといけないよね、と言うことを紹介していきます。

研究内容だけで選んではいけない

研究室を選ぶ時に一番やってしまいがちなミスは研究内容で決めてしまう、と言うことです。

研究内容で選んじゃいけないの?と意外に思ったかもしれません。

もちろん、自分の興味のある研究内容を選ぶのも重要ですが研究のことを何も知らない学部生が研究内容で研究室を選んでしまうと「思った様な研究じゃなかった」と後悔することになります。それに、最初は興味のなかった研究でも論文を読んだり実験をしているうちに興味が出てきて「研究って楽しいな」と思うことはよくあります。

そのため、学部生なら研究内容が1割、修士や博士なら研究内容が5割ぐらいの感じで選べば良いと思います。

そもそも、研究がどんなものかも分からない

研究内容で選んではいけない理由としてそもそも研究がどんなものか分かっていないと言う原因があります。

学生実験で実験を行うことはありますが、研究とは少し違います。研究とは何なのか?と言う質問に対して明確な答えを言うのは難しいのですが、私は研究を石積みの様なものと理解しています。

大学での研究はとにかく石を積むことに焦点を当てています。積んだ先に何があるのか分かりませんが、いつか企業や政府が活用できる様に世界中の研究者と競い合って石を積んでおきます。

実験は石を積むために石を加工している段階と思えばいいでしょう。石積みが崩れない様に石を出来るだけ整えていきます。そのためには論文を読んでどこに石を置くのか、どんな加工の仕方があるのか学ばなければなりません。

そこには明確な答えがなく自分でするしかありません。ただ、いきなり一人で研究を進めるのは難しいので、先輩や教授が補助してくれます。

石を積むのはめちゃくちゃ苦労します。何年もかけてやっと石を積むのですがその石が役に立つかどうかは分かりません。もしかしたら、自分のいきてる間に誰の役にも立たなかったり、別の誰かに否定されるだけかもしれません。

こうした説明で研究が華やかなものではなく、とても泥臭くて地道なものだと言うことが分かってもらえればと思います。これは研究のほんの一面で実際に研究をやってみないと分からないことが沢山あります。それなのに研究内容だけで研究室を選ぶと言うのはかなりリスキーですよね。

では、何を基準に選ぶのか?

教授や先輩たち、同期の生徒の人柄です。

学生が研究を一人で進めて行く、と言うのはまず無理です。必ず誰かの助けが必要になります。そのため、支え合える教授や先輩たち、同期の学部生の人柄が重要になります。気軽に質問できる、一緒にいてもストレスがない、頼りになる、など良い人間関係か築けそうな人を選んでください。

そんなの分からないよ、と思うかもしれません。しかし、人には第一印象で人を見抜く力が備わっています。大学に入学して人間関係を築く時にどうやって人間関係を築きましたか?直感的に「この人と話してみたいな。」と思ったのではないでしょうか?その直感は自分の人生経験を元に潜在的に培った能力で正しいことが多いです。そのため、この教授とうまくやっていけないな、と直感的に感じた場合はやめたほうがいいかもしれません。

こうした判断をするためにも研究室へ訪問してみましょう。やはり、その場に行ってみないと分からないと言うことは沢山あります。ブラックな研究室に入らないためにも一度研究室に足を運ぶことをお勧めします。

ちなみに、関わってはいけないダークトライアドと言われる性質を持った人たちもいます。このタイプの人が同じ研究室にいると研究が楽しく無くなる可能性が高いです。

本気で研究したい人が押さえておきたいポイント

研究室の人間関係が重要だと言う話をしてきましたが、本気で研究を行いたい人は人間関係と研究内容だけでは足りません。ちゃんと自分がスキルアップできる研究室か調べておく必要があります。

私も本気で研究をしてみたいタイプの学生でした。学部生で研究に興味を持ち、もう少し研究がしたいと言うことで修士に行くことを決めました。その際に、大学や研究内容も全く違うものに変えました。自分の中では大きな決断でしたが結果的に修士の研究室ではとても成長でき、一人で研究が進められるぐらいのスキルが身につきました。その経験を踏まえて研究選びのポイントを紹介します。

本気で研究したい人の研究室選びのポイント
  • 教授が有名大学の研究室の出身か?
  • 先輩が論文をたくさん読んでいるか?
  • 研究室の論文を出す頻度

修士や博士で卒業して就職する場合は企業もそれなりのスキルを要求します。そのため、これらのポイントを抑え、研究者として成長できる環境を選ぶようにしましょう。

教授が有名大学の研究室の出身か?

東大、京大、阪大の研究室出身の教授を選ぶようにしましょう。海外の有名大学の研究室に留学経験のある教授もいいでしょう。

こうした教授を選ぶ理由は研究室の文化はその教授によって決まるからです。

文化って大切なの?と思うかもしれません。しかし、研究室の文化がしっかりしていないと新規性の低い研究を行なっていたり、論理的でない研究の進め方をしてしまう原因となります。努力の仕方が間違っていると間違った成長をしてしまう、ということですね。そのため、研究者として成長するためにその研究室の文化が非常に重要になります。

教授があまりレベルの高くない研究室の出身だとその研究室もレベルが高くない可能性が高いです。なぜなら、教授の文化は出身の研究室の文化に影響を受けているからです。

外から見たら変な考え方をしていても研究室の中にいると気づけない、と言うことは沢山あります。論文や学会で他の人たちの考察を聞いていても研究室の中ではこの考え方が当たり前だから、と言う理由でねじ曲がった考察をする時もあります。

そのため、その教授がどんなところで学んできた人なのか注意しましょう。

先輩がたくさん論文を読んでいるか?

先輩が論文を読んでいると言うことは、その研究室に論文を読む文化があると言うことです。

論文を読む文化は研究者にとってかなり重要な文化だと思っています。なぜなら、研究で新しいことを発見するのにどこまでが分かっていて、どこからが分かっていないのか分からないと研究できないからです。

それに、論文には著者がどのように研究を行なってきたかが書かれています。何が分かっていて何が分かっていなかったのか、どんな方法を用いてどんな結果が出て、その結果に対してどのように考察したか、が書かれています。これほど研究者として成長させてくれるものがあるでしょうか?

自分で研究をしなければ分からないこともたくさんありますが、研究は莫大な時間がかかります。その時間を考えると論文で研究を疑似体験した方が早く成長できるでしょう。

そのため、先輩が論文を読んでいるかどうかが重要なポイントとなります。

研究室の論文を出す頻度

研究室が論文をどれぐらいの頻度で出しているかも確認しましょう。

論文が出ていないと言うことは研究の進め方が間違っている可能性が高いです。そんな研究室で研究をしても自分の成長は見込めないでしょう。

では、最低限どのぐらいの頻度があればいいかと言うことですが、年に2、3報は欲しいところです。毎年、博士過程の人が1人か2人卒業するとして、最低でも1人1報は論文を書けないと研究が進んでいるとは言えないでしょう。

ただ、研究なので結果が出るかは運も関係してきます。そこで、その研究室の論文を読んでみることをお勧めします。参考文献が多く、どのように研究を進めているのか論文でわかるように書かれていたらその研究室は良い研究室かもしれません。逆に、あまり参考文献がなく、実験の方法も固定化されていて新規性もないような論文だと良い研究室とは言えないでしょう。

研究職で食べていきたい人へ

上記では後悔しないための研究室の選び方を紹介しました。しかし、研究職として働くことが自分の幸せなのか、と言うことも疑問に思ってみましょう。

確かに研究で出た結果は世の中の人に大きなインパクトを与える可能性があります。しかし、そのために自分の人生をどの程度犠牲にできるでしょうか?

給料が低くてもいい、社内政治に縛られてもいい、勤務地はどこでも構わない、など研究職の代わりに犠牲にするものが出ています。自分の研究がニッチなものであればあるほどこうした犠牲を払わなければなりません。

実際に私はバイオサイエンスを専攻して結構な苦労をしました。だから、研究職をお勧めしないとうわけではありませんがリスクがあるということもわかった方が長い目で見たときにより後悔しなくなると思います。

博士に行くことを考えている場合

博士に行くことを考えている場合、研究で食べて行くぐらいの気持ちで研究をしなければなりません。そのため、研究スキルはもちろん必要ですが、その研究が今後どのように発展するかも考えましょう。

自分の研究分野で認められるぐらいの実力がついたとしてもその分野が衰退してしまっては食べていけなくなる可能性が出てきます。大学に残り研究を続けるにしても企業で研究するにしても世の中の流れに乗ることが重要です。

ただ、こうした見通しは教授レベルの研究者でも難しいとされています。私が修士から入った研究室の教授はあるときに大きな方向転換をして今の分野を研究することにした、と話していました。結果的にその決断は功を奏し転換した分野の研究が盛んになっています。

博士に行くなら上記で紹介した内容はもちろん、こうした先見の明を鍛えて研究室を選ぶ必要があります。

そのために、世の中の情報に敏感になるだけでなくいろんな分野のレビューを読むことをお勧めします。ちなみに、レビューとは様々な論文をまとめてその分野の研究がどんな状態か紹介してくれるものです。レビューを2、3報程度読むことでその分野の研究の大きな流れを把握できるので今後の予想も立てやすくなります。

今後の発展性を考えつつ、研究室で実際にどんなことを行なっているか把握することでより効率的に研究者として能力を伸ばせると思います。

まとめ

今回は私の体験を下に後悔しないための研究室の選び方を紹介しました。

自分が置かれている環境で研究室選びの基準は変わってくると思いますが、参考になるポイントが紹介できたのではないかと思っています。

紹介し忘れていましたが、もし学部卒で研究職に就きたいと言う場合は企業と連携している研究室に入るようにしましょう。絶対ではありませんが企業と関連の深い研究をすることで内定をもらいやすくなる可能性があります。

ただ、言われたことをする研究が多くなり研究スキルがあまり身につかないのでお勧めしません。

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