学会発表の聞き方。効率よく情報を集めるためのコツ

学会発表の聞き方。効率よく情報を集めるためのコツ
この記事はこんな悩みを解決します
  • 学会を聞きに行くけどどんな準備が必要?
  • 発表内容を理解するためのコツが知りたい
  • 学会についての素朴な質問が知りたい

学会に参加したけど発表内容が理解できなかった、という経験はありませんか?結果が多い発表などは背景と目的が簡略化されているので初めて聞く人には難しかったりします。では、どうしたら他人の発表を理解することができるのでしょうか?

この記事を読むことで学会での発表内容を理解できるようになります。

学会発表の聞き方。効率よく情報を集めるためのコツ

学会の発表内容を理解するためにはそのための準備や聞くためのコツを知っておかなければなりません。

私もいくつかの学会に参加しましたが初めて参加した時はほとんど理解できませんでした。そのことが悔しくて自分なりに工夫してよかったと思うことを紹介していきます。

抄録を読んでどの発表を聞くか明らかにする

当たり前ですが学会に参加する前に抄録を一通り読んでどの発表を聞くかはっきりさせておきましょう。ポイントとしては会場の移動を最小限にする、ということです。

会場では複数の発表で一つのテーマが出来ています。そのテーマの途中に会場を移動すると頭が切り替わらなかったり、話を途中から聞くことになり内容が理解できません。

私の体験

私は学会に初めて参加した時に聞きたい発表がたくさんあり、テーマの途中でも構わず移動していました。しかし、移動した後に良い席がなかったり途中から話を聞いたせいで内容に付いていけないということがありました。こうした経験から別の会場での発表が聞きたかったとしても欲張らずに1つに絞った方が良いと学びました。

それに、抄録は結構適当な人が多いです。発表の何ヶ月も前に抄録を提出するので発表する時には別の結果が出てそっちの様が面白いからそちらの発表をします、という人もいます。抄録は読む必要がありますが頼りすぎるのもよくないですね。

論文は読む必要ない

どの発表を聞くか決めた後にその研究室の論文を読んでおいたほうが良いように思います。しかし、情報が論文になる前の本当に最新の情報なので論文を読んでもあまり意味がありません。それに、多くの発表を聞くのに全部の論文を読んでいるとそれだけでかなりの時間が費やされるのでコスパが悪いです。

それよりかは抄録に出てくる専門用語について調べておきましょう。抄録に出てくるそれぞれの因子がどんな働きを持っているのか?なぜ注目されているのか?調べておくことで発表の中で説明がなくても付いていけます(専門的な用語でも発表の時に説明しない人も結構います。学会なのでこのぐらいは説明しなくてもいいよね、という暗黙の了解かもしれませんが私なら説明します)。

興味のない発表にも参加する

事前にどの発表を聞くか決めますが、どうしても聞きたいものがないという時間帯もあると思います。そんな時には興味ないけど多くの人に関係しそうな発表を聞くようにしましょう。

例えば、研究倫理や利益相反など研究ではなく法律などが関係してくる分野です。こうした内容は専門の発表よりも分かりやすく説明してくれるので意外と聞いてよかったな、と感じることが多いです。

興味がない専門的な発表を聞くよりもこうした発表を聞くほうが自分の役にも立ちますし、内容を理解できます。学会だからといってむやみに専門的な内容を聞こうとしない様にしましょう。

メモの取り方

発表を聞く時には当然メモします。しかし、メモするポイントを絞っていないとメモに一生懸命になり内容が聞けなくなります。また、内容を聞くことに必死になってメモを忘れてしまいます。

私の経験

私の経験上、メモするポイントは方法、結果、考察の3つです。詳しく書く必要はなく、一言か一行ぐらいで書いておくと後から見て思い出しやすくなります。それ以上メモしてもあまり効果がりません。それよりかは発表を理解することに集中しましょう。発表内容をとりあえずメモしても後から見た時に「これってどんな実験だったっけ?」となります。結局は自分の記憶に焼き付けるのが現実的で効率的です。

特に重要なのは実験と実験の繋がりです。結果をどの様に考察したから次の実験を行なった、ということがわかればストーリーが組み立てられるので記憶に残りやすくなります。単発の試験をメモするだけだと見直す時に理解できないので注意しましょう。

とは言え、メモは難しい

実際にメモしようとしても結構難しいです。話し手によって発表のスタイルが全く違うのでどこをメモすればいいのか分からないときもあります(淡々と最近発表した論文を紹介するだけ人やどんな取り組みを行なっているかを紹介するだけの人もいます)。

メモできないときは一旦メモを諦めて、何がこの発表のポイントなのかを考えながら聞くだけでもいいでしょう。適当な発表を真面目に聞いても理解できないので適当に聞けば良いです。ただ、最後まで聞いて何か心に残ったフレーズがあればメモしておきましょう。

ポスター発表の方が深く知れる

大きなスクリーンを使った発表の方が重要な研究成果を発表しているのでそちらを優先してしまいがちです。しかし、自分が知りたいことがもっとニッチな情報の場合、ポスター発表に行った方が良いです。

例えば、私はどの分析装置が良いのか、どの試薬を使えば良いのか、ということが知りたい場合です。この場合、関係のある研究をしている人のポスターを見に行き1対1で質問すると良いでしょう。

多くの研究者はとてもフレンドリーなのでこちらの質問に大抵答えてくれます。そこで得た情報のおかげで私の研究もスムーズに進む様になりました。

私の経験

私は論文通りに実験してもどうしても上手くいかないということがありました。ちょうどよく学会があったので実際に実験をしている人に直接聞いてみると論文には載らない様な情報が聞き出せました。どのメーカーの試薬だと上手くいくとか、メーカー推奨の濃度よりも希釈しないと上手くいかない、など実験をしていないと分からない様な情報です。

この様な情報はスクリーンで発表する様な人には聞いても分からない情報なのでポスターで発表している人に聞く様にしましょう。

学会に参加するときの素朴な質問

学会での発表を理解するためのコツを紹介してきました。

次に学会に参加する人が抱きがちな素朴な質問についても答えておこうと思います。初めて学会に参加する人や何度も参加しているけど気にしてなかったという人には発見がある内容だと思います。

質問しても良いの?

スクリーンで発表した人に対して質問する時間が取られています。誰でも質問しても良い、ということになっていますが見当違いな質問をしてないか、自分みたいな人が質問して他の人の質問を遮っても良いのか、と不安になります。

個人的にはどうしても知りたいことは学生だろうが質問しても良いと考えています。笑われる様な質問かもしれませんがそれが自分の実力ということを割り切りましょう(実際には他人の質問を笑う人なんていません)。発表の内容が理解できなかったのであれば「〜のところが理解できなかったので詳しく説明してもらえませんか?」という質問でも問題ありません。こうした質問もたまに聞いたことがあります。

とはいえ、多くの人の前で質問するのが恥ずかしい、という人もいると思います。そういた場合は発表の直後に発表者を見つけて直接訊いて見ましょう。会場の外に行ってみるとアイドルの出待ちの様な状態になっている時もあります。この方法なら少しは恥ずかしさが和らぐと思います。

ランチョンセミナーって何?

学会でランチョンセミナーというものがあります。これは昼飯を食べながら発表を聞くというものです。もちろん、昼飯代はただです。発表のスポンサーとなっている会社が支払ってくれている様です。

昼飯代も浮いて発表も聞けるので必ず参加する様にしましょう。

多くの場合、当日の朝に受付の近くでランチョンセミナーに参加するための券が配られます。そのため、当日は少し早めに会場に行って券を確保する様にしましょう。

交流会には参加すべき?

学会の後には交流会が開かれる場合があります。これは教授や助教達が食事をしながら情報交換をする場所です。特に知り合いがいないのであれば参加する意味はないでしょう。

ただ、料金の割に豪華な食事が出るので友達と一緒に参加する分には良いかもしれません。一人で参加すると悲惨なことになるのでやめておきましょう。

まとめ

今回は学会での効率的に情報を集めるコツを紹介しました。

発表内容を理解するのはとても難しいです。勉強していれば理解できるのかもしれませんが年間100報以上の論文を読んでいる私でもなかなか理解するのは難しいです。

おそらく一度表示されたスライドを理解して忘れない、という能力がなければ発表内容を完全に理解することは出来ないでしょう。

次々とスライドが変わって行くのでスライド間の細かな関係は理解できません。どうしても理解したい場合は論文が発表されるのを待ったほうが良いかもですね。

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