研究職に適性があるのか知りたい人へ

研究者に適性があるのか知りたい人へ【バイオ系】
この記事の対象者
  • 研究職に適性があるのか知りたい
  • 研究ってどんな世界なの?
  • 研究職は普通の仕事と何が違うの?

大学で専門分野を学び、このまま専門知識を活かすために研究の道に進むか企業に就職して普通に働くか悩む人が多いと思います。私は修士で卒業して企業で研究を行い、学生時代を含めると約10年間研究に携わってきました。こんな私の経験を踏まえ、どんな人が研究職に向いているのか紹介したいと思います。

この記事を読むことで自分が研究職に向いているのか分かります。

研究者に適性があるのか知りたい人へ

結論から言うと研究者に適性がある人とは自分で工夫できる人です。

ネットでは探究心や論理的思考力の強い人、と言うことが書かれています。確かに、そうなのですがイマイチ分かりにくいので「自分で工夫できる人」と言う風にしてみました。

えっ、それでも分かりにくいって??大丈夫です、詳しく説明して行きます。

何をするにしても根本は同じ

私は研究も一般的な部活動も仕事も全て根本は同じだと思っています。その根本にあるものとは、何かの問題に対して自分で正解を見つける、と言うことです。

学校では正解のあることばかりを教わりますが社会では正解のない場合がほとんどです。そのため、仮説を立ててその仮説を検証していくしかありません。その過程で自分で工夫していく力が必要になります。

おそらく、自分に研究職の適性があるか分からないと悩んでいる人は研究や仕事がどういうものか分かっていないことも原因の1つだと思います。研究や部活、仕事に対する私の考え方を紹介しながら根本的に必要となる能力について紹介して行きます。

研究の場合

研究というのは世界で誰も知らないことを知るために行われています。そのために最初に何を行うかというと、論文検索です。過去にどんな研究が行われ、どんな結果が出ているのか分かっていないと何が新しいのかさえ分からないですもんね。

イメージとしては石積みの様なものです。それぞれの石が論文に当たります。それを世界中の人が競い合って積み重ねている、という感じです。大学で行っている基礎研究は上に何ができるか分からないけどとにかく頑丈に積み重ねることに注力しています。一方、企業は上に何かお金になるものを見据えて石を積んで行きます。

現在、論文を読みどんな風に石が積み重なっているか理解してくると自分がどこの石が作れそうか分かってきます。そこで、どんな方法で実験を行えばいいのか仮説を立て、研究を行って行きます。仮説が立たなくてもどんな結果になるのか分からないからとりあえずやってみる、ということもあります。

理想は最初に論文を全部読むことですが、量がありすぎるので実際には教授から与えられた実験をこなしつつ、論文を読んで後から「そのためにこの実験をやっているのか!!」と気づくことになります。

部活の場合

学生時代、部活に打ち込んできた人なら様々な練習を行ってきたでしょう。それは何のために行ってきたのでしょうか?

おそらく、試合に勝つためにチームの能力を分析して欠点を補ったり、強みを伸ばすために行っていたと思います。しかし、そこにはこの練習をすれば必ず勝てる様になる、という正解はないですよね。この練習でこの能力が高まるかも分からないですし、この能力が高まれば試合に勝てる様になるかもわかりません。あるのは仮説だけです。

こうした考え方は研究職と似てますよね。チームの全体的な能力を分析して欲しい能力のために練習する。欲しいデータのために実験する研究職と同じです。

これは個人にも置き換えられます。スタメンになるためにある能力が必要だと思い、そのための個人練習をしたことがあると思います。これも目標のために何が必要か仮説を立てて取り組んでいますよね。こうした努力をしてきた人は研究職の適性があります。

私はサッカーをしていてドリブルやシュートなど一人で課題を見つけて、それに応じた練習を行っていました。ただ、障害物の置き方を工夫したり、力をボールに伝えるために体の使い方を変えたりと、細かい工夫をいくつも行っていました。こうした工夫を小さい頃から行っていたので研究が楽しいと思ったのかもしれません。

仕事の場合

仕事は誰かの役に立つために行っています。そのために必要なのは自分が行う仕事が誰の役に立っているかの認識です。自分が何のために仕事をしているのか分からないとモチベーションが下がり、良いサービスが提供できません。

そんなのすぐに分かるよ、と思うかもしれませんが、間接的に役に立っている場合はよく分からないこともあります。さらに、役に立っていると思っても実はサービスがイマイチで気づいたら他社に乗り移っている、ということもあります。

この事態を回避するために、会社は常にサービスの向上を目指します。そのために、競合他社が行っているサービスや新たな技術、世の中の流れなどについて常にアンテナを張っていなければなりません。

さらに、こうした情報を分析して顧客に喜んでもらえるサービスを生み出して行きます。

しかし、そこには正解がないので仮説を立てるしかありません。研究職と同じですよね。ただ、仕事の場合は言われたことをやるだけでも給料がもらえるので新しいことにチャレンジしなくなったり、仮説を立てても社内の事情で実行できないことが多いです。

研究者には人一倍工夫する能力が必要

上記に書いた様に何をするにしても自分で工夫する力が必要になってきます。ただ、部活や仕事と違い、研究は自分に任される範囲が大きくなるのでその分人よりも工夫する力も必要となります。そのため、自分は人よりも工夫しながら部活やアルバイトをしてきたという人なら研究職の適性があります。

その代わり、責任も大きいです。学生のうちは結果が出なくても卒業できる場合もありますが、大学によっては卒業できずずっと研究室にいなければならない、ということもあります。社会に出ても結果が出なければ責任を取らなければなりません。

研究職の何が辛い?

私は研究でも思った様な結果が出なかったことが何度もあります。自分の実験手技が悪いのか、何かちょっとした違いが結果に影響しているのか、過去の論文が間違っているのか分かりません。その度に自分が無力的に感じモチベーションが低下しました。

しかし、教授に相談したり、論文を検索して新たな仮説が出てくると再び実験しようというモチベーションが出てきました。そして、粘り強く実験を続けているうちに少しずつ新たなデータを積み重ねることができる様になりました。思う様な結果にならなかったと言って諦めてしまう様な人なら結果を出せず研究が嫌になるでしょう。

そんなわけで、自分の絶望よりも何か新しいことを試してみたい、という好奇心が勝つことも研究職に必要な適性と言えるでしょう。ただ、好奇心が強くても失敗ばかりだとメンタルをやられるので、やはり失敗しない様に工夫する能力が必要になります。

部活も辛いよ

私が研究で味わった挫折は研究をしたことないからイマイチわからない、と思うかも知れせん。そこで、研究をしたことのない人にもわかる様に部活に置き換えて紹介したいと思います。

部活で思った様な結果がでず、絶望的な気持ちになったことが何度もあります。特に絶望したのは同じ様に頑張ってきた友達が選抜に選ばれて私だけ選ばれなかった、という経験です。同じチームで同じ様な練習を行い、自分は家でも練習して努力量だけでなく、実力も負けてないと思っていました。しかし、選抜のテストで思った様なプレーが出来ず、私だけ選ばれませんでした。いくら実力があっても本番でアピールできなかったら意味がありません。自分の努力も無駄なことの様に思えました。しかし、自分にこの能力がないから選ばれなかったのだと仮説が立てれると再び努力できる様になり、選抜に合格した友達からスタメンの座を奪うことができました。

まとめ

今回は「自分は研究職に適性があるのかな?」と不安に思っている人に対して書いてみました。

学生の頃、私は早く自分で稼ぐ様になりたい、と言う思いがある一方、研究職の方が面白そう、という漠然とした思いもありました。しかし、研究職がどんな仕事なのか分からず、ネットで調べてみても当時は修士に進んだけど教授と上手くいかず鬱になった、とか就職先が見つからずにニートになった、と言う様なネガティブな情報が多かったです。

この記事は同じ様に悩んでいる人に対して参考になるものになったと思います。

人の言うことを聞くだけの仕事よりも自分で工夫して仕事を進めて行きたい、と言う方は研究職をお勧めします。こうした性格であれば実験器具の使い方や論文の読解力などの必要な能力は後からついてきます。

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