論文を読まない人はこれを読め、効率的な論文の読み方。

論文を読まない人はこれを読め、効率的な論文の読み方。
この記事の対象者
  • 論文を読むのが苦手
  • 論文から必要な情報を早く見つけれるようになりたい
  • 論文の読み方を習った事がない

研究に興味があるけど論文を読みたくない人は結構いると思います。英語で書かれているし、複雑で難しいし、時間がかかって面倒くさいですよね。私も最初は論文を読むのが嫌いでしたが、自分で工夫しているうちに短時間で情報が見つけれるようになりその苦痛が減って行きました。研究歴10年のうちにどんな工夫を行なったか読者の人とシェアして行きたいと思います。

この記事を読むことで効率的に論文を読む方法が分かります。

論文を読まない人はこれを読め、効率的な論文の読み方。

効率的に論文を読む方法、それは目的を持って論文を読むという方法です。自分の知らない情報を入れるために論文を読むのですから当たり前ですよね。

しかし、こうした論文を読む方法というのは大学でも教えてくれる人がおらず、自分で見つけるしかないというのが現状です。読者の方が効率的に論文が読めるように自分の経験を踏まえて効率的に論文を読む方法を紹介していきます。

論文を効率的に読むための準備

論文を効率的に読むためには準備が必要です。

研究分野を乗り換えたりした場合はその研究の何がわからないのかも分かりません。そのため、まずはレビューを隅々まで読むことをお勧めします。何年も研究経験があったとしても一度読んだだけでは理解できない可能性が高いため何度も読みましょう。そのうち分かるようになります。

これにより研究分野の概要が把握できます。自分の研究分野の周辺の情報が把握できるので、論文を読んだときに新たな考え方が出てきても「あのレビューで書いてあった気がするな」と何となく理解できます。

ただし、学部生で研究を全くしたことのない人はやめておきましょう。
挫折します。

レビューには参考文献が200〜300ぐらいあるものが多く、情報量が多いですし専門用語も多くなります。そのため、英語も専門分野も勉強してきた人でなければ読むのが嫌になるでしょう。

では、代わりに何をすればいいかというと論文のイントロダクションを読む、です。

論文のイントロダクションにはその論文を読む上で必要な背景知識が書かれています。レビューの簡略版のようなものです。そのため、研究の経験が浅い人でも割と簡単に読むことができます。

ただ、論文のリザルトやディスカッションは読む必要がありません。イントロダクションを読んだら他の論文のイントロダクションを読みましょう。そのうち、少しずつ背景知識が身についてきます。

では、どの論文のイントロを読めばいいのか?ですが、教授や研究室の先輩にお勧めしてもらえたらそれを読めばいいですし、PubMedやGoogle scholarで検索して読みたくなるタイトルのものを選べばいいと思います。

自分の研究に関連のあるものなら何でもいいです。あまり、考えすぎないようにしましょう。

以上が論文を効率的に読む前の準備段階です。
では、次に目的別の論文の読み方について紹介します。

目的別の効率的な論文の読み方

目的を持って論文を読むために自分の研究分野の概略を把握しておくと言うことを紹介しました。ここから目的別の効率的に論文を読む方法を紹介していきます。

論文を読む目的として下記の3つがあると思います。

論文を読む目的
  • 論文会のため
  • 自分の実験に使えるメソッドが知りたい
  • 他の研究者の考察が知りたい

それぞれの目的別に論文を読む方法を紹介します。

論文会のため

研究をしていると週に1回程度、担当者が論文をみんなに紹介する機会があると思います。自分が参考になった論文を他の人に紹介することで自分の理解を深めるとともに他の人の勉強にもなります。

さらに、1つの論文を隅々まで読むことで新たな発見があったりもします。私はメソッドの部分を飛ばして読んでいたのですが、論文会のためにメソッドも読むことで同じ実験をしていてもそれぞれの論文で若干条件が違うことに気づけました。また、論文の構造が分かるようになり自分の知りたい情報を速く見つけれるようになったと感じています。

論文会にはこうしたメリットがあるのですが、多くの人がどの論文を読めばいいのか悩んでしまいます。どの論文を読むか決めれば後は内容を把握するだけです。

どの論文を読むべきか?

論文を読み始めて30分ぐらい経った時に「あれ、この論文思ったのと違うな。」と思うことがあります。これだと30分の時間を無駄にしたことになってしまいます。

そうならないために、論文を選ぶ方法としてレビューに引用されている論文を読むという方法をお勧めします。レビューで「こういうことが分かっています。」と書いてあるところに論文の番号が振られていたり、ファーストオーサーの名前が書かれていたりします。参考文献にその論文の情報が書かれているのでそこから検索してみましょう。

レビューを読んでいなくても論文のイントロダクションでも同じように参考文献が書かれていると思います。そこから気になる文献を選ぶようにしましょう。

ただ、レビューやイントロダクションに「こういうことがこの論文から分かった。」と書かれていても読んでみる「あれっ、少し違うな」と言うこともあります。

そのため、論文の候補が決まったらまずはFigを見てみましょう。少し慣れが必要ですが研究をしているとFigを見るだけでリザルトに書かれていることが想像できるようになります。
慣れていなくてもまずはそのFigから何が言えるのか考えてみましょう。親切な論文だと何を示しているのかレジェンドに書いてくれてたりします。他にもFigに使われている略語についても説明が書かれているので分からない時はレジェンドは読むようにしましょう。

それでも分からない場合はアブストラクトを読んで逆算的に考えていきます。多くの論文ではアブストの最後に結論が書いてあるのでその結論を読んで、「この結論を導くためにはこういうFigがあるはずだ。」という感じです。これも慣れが必要かもしれませんが、、、。

読んでも忘れるので対策を!!

論文が決まれば読んで理解するだけですが、忘れてしまうことも多いと思います。私が最初にやっていた方法はリザルトに文章で書いてあることをFigの周辺に書く、という方法です。これによりFigで言いたいことを理解するのにFigを見れば必要な情報が書かれているという状態になります。いちいち文章とFigを見比べるのは面倒ですからね。

また、ディスカッションで書かれている重要な考察には下線を引きましょう。全て日本語訳してFigの周辺に書き込むのは時間の無駄です。著者がFigの結果に対してどのように考察したか参考になる文章の位置が分かるようにしておきましょう。

他にも細々したテクニックはありますが、これで論文会のための論文を効率よく読めるようになると思います。

自分の実験に使えるメソッドが知りたい

論文を読む目的の1つとして自分の研究を進めるための実験方法が知りたい、ということがあると思います。

研究をしていると8〜9割ぐらいは他の論文と共通の方法で進んでいくのですが、考察を深めていくと他の分野の実験方法を取り入れた方が面白いことが発見できそう、ということがあります。

しかし、新しい実験方法を知るための方法として論文を読んでいるだけでは難しいです。かなりの量の論文を読んで豊富な知識が蓄えられていればいいのですが、そのためには時間がかかってしまいます。そのため、
・業者とのコミュニケーション
・メーカーのホームページ
から情報をもらうのが効率的になります。

実験方法について情報を得たら、メーカーの商品を紹介しているページから商品の手順書にアクセスしてみましょう。ただ、メーカーの推奨の方法とは別の方法で研究が行われている場合があります。そのため、商品を紹介しているページの参考文献にアクセスしてみましょう。

そして、まずはFigです。予想通りのFigがあればマテリアルやメソッドの内容を読んでメーカーの推奨方法と違うところを把握します。さらに、他の参考文献も読んで自分の研究に適した方法を見つけ出します。なぜ、推奨方法で実験を行なっていないのか?量を変えている試薬の役割は何なのか?といった疑問を持つことで自分に適した方法が見つかるでしょう。

さらに、商品に関連したキーワードで検索してみることも有効です。他のメーカーの類似品やメーカーのホームページで紹介されていない参考文献が見つかるかもしれません。

とはいえ、最終的には自分で条件検討をしなければならないのである程度調べたら手を動かすようにしましょう。

他の研究者の考察が知りたい

論文を読む目的の1つとして結果に対して他の研究者がどのように考察しているか知りたい、ということがあると思います。

自分で考察しただけでは井の中の蛙になる可能性が高いです。必ず、他の研究者の考察と比較して自分の考察の妥当性を検討しましょう。

そのために、論文のリザルトやディスカッション部分が参考になります。Figに対してどのように考えてどんな仮説を立ててどんな実験をしたか書いてあります。

そのため、まずはFigです。自分と同じような実験をしているFigを見つけた後にリザルトやディスカッションを読んでいきます。しかし、この2つが論文の核となるので量も多くて読むのが大変です。

こうした負担を減らすため特定のキーワードを見つけ、その周辺を読むようにしましょう。

考察の周辺で見られるキーワード
  • indicate that ~
  • suggest that ~
  • show that ~

こうした表現の周辺では「この結果が〜ということを示している」という感じで考察が書かれています。自分が気になったFigの考察が知りたいな、という場合にはFigの番号で検索をかけ、その周辺でこうした表現がないか探して見ましょう。

ただ、考察を読んでも意味が分からない、という事があります。その場合はFigの理解が出来ていない、もしくは論文の概要が把握できていない可能性があります。Figだけしか見てないのでそりゃそうですよね。
この場合はFigのレジェンドを読んだり、アブストラクトを読んだり、先にコンクルージョンを読むと考察の意味が分かる可能性が高くなります。

まとめ

今回は効率的に論文を読む方法を紹介しました。

学校で教科書を一から順に読んでいくように論文もアブストラクトから順に読んでしまっている人が多いように思います。しかし、自分の興味のある情報じゃないと頭に入ってきませんよね。そのため、自分の興味のあるところから読んでいくというのが効率的になります。

ただでさえ実験で時間を消耗してしまうので効率的に論文を読んで負担を少なくしていきましょう。

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