ジョブクラフティングとは?どんな仕事でもやりがいが見つかります。
- 仕事が楽しくない
- やりがいを持って仕事がしたい
- ジョブクラフティングって何のこと?
入社する前はやりたい事があったのに入社してみると思ってたような仕事ができずやる気が出ない事ってありますよね。そうした問題に対処するために注目されているのがジョブクラフティングです。ジョブクラフティングによって働きがいを見つけ活き活きと働けるようになります
この記事を読むこと仕事にやりがいを感じるための方法がわかります。
ジョブクラフティングとは?どんな仕事でもやりがいが見つかります。
ジョブクラフティングの良いところは個人の力でやりがいを見つけられることです。会社の方針や部署の方針に沿って仕事をするとどうしても「やらされている」という感じが出て作業に集中できなかったり、集中できても長く続かなかったりします。
子供の頃に親に「勉強しろ」と言われても勉強する気になりませんでしたよね。これと同じようなことが社会人にも起きています。
その点、ジョブクラフティングは自分で納得する理由や方法を作り出すので仕事に集中でき、その集中を長期間続けることができます。
ジョブクラフティングとは?
ジョブクラフティングとはアメリカのイェール大学のエイミー・レズネスキーとミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授が提唱した理論です。
仕事に対する捉え方を自分で工夫することで主体的に取り組めるようになるという理論です。捉え方を変えるポイントとして3つあります。
- 仕事の内容や方法
- 人間関係
- 仕事の捉え方
それぞれについて詳しく紹介します。
仕事の内容や方法
仕事の内容や方法を自分で工夫してやりがいのあるものに変えて行きましょう。
誰かに指示されたことだけを行なっていませんか?言われたように仕事を行うだけでは主体的とは言えませんよね?自分でもっと効率的な方法を見つけることで主体的に仕事に取り組めるようになります。
例えば、新商品の開発を任された時に前例を踏襲して開発するのではなく、マーティングの考え方を取り入れてみよう、とかクリティカルシンキングの考え方を取り入れてみようと工夫することで主体的に仕事ができるようになります。
こうした自分なりの工夫をこれにより仕事が楽しくなり以前よりも少ないストレスで高い成果が得られるようになります。さらに、自分で工夫してうまくできた時には自信がつきます。自分で試行錯誤して成功できた時にはその後、困難な仕事が与えられても意欲的に取り組めます。
仕事の内容や方法を工夫をするためにもビジネス書を読んだりしてジョブクラフティングのネタになりそうなものを蓄えておくと良いですね。
一応、私が勉強して役に立った方法が3つありますので紹介しておきます。
- 仕事のゲーム化
- 小さな目標をいくつも設定する
- 仕事の順番を工夫する
仕事のゲーム化
仕事のモチベーションをあげる方法としてゲーム化が有効とされています。ゲーム化とはテレビゲームのように与えられたタスクを行うことを言います。
RPGを思い浮かべればわかりやすいのですが、敵を倒して行くとレベルが上がりより大きな敵を倒せるようになりますよね。この「進んでる感」を仕事でも感じられるようにしたのがゲーム化です。
どうやって、「進んでる感」を出すかというと仕事の細分化です。一つずつ達成して行くことで自分の成長を感じやすくさせるようにします。また、仕事ではなくミッションと捉えることで何のための仕事か問題が明確になるという効果も出ます。
実際にイリノイ大学の研究チームは仕事をゲーム化することでモチベーションが上がり効率的に成果を出せるようになったという結果を出しています(R)。
他にもいくつかの事例があるので紹介しておきます。
ゲーム化に関する論文
ギリシャのテッサリア大学で行われた研究では学生たちの勉強をゲーム化することでモチベーションが高まり成績が向上した、という結果が出ています(R、R)。
また、ミシガン州立の研究でもゲーム化の考えを取り入れることで個人とチームの目標を達成できるようになったという結果を出しています(R)。
このゲーム化はモチベーションを考える上で有効な自己決定理論とも一致することが分かっています。
自己決定理論では自分の内側から出てくる興味や関心に従って行動するとストレスなく集中してタスクに取り組めるとしています。
一方、報酬や社会的地位など自分の外からくる欲求に従って行動すると一時的に成果は出ますがストレスがたまりやすいということが知られています。
ゲームは自分の内側の欲求に従ってやりますよね。そのため、仕事のゲーム化は自分の内側の欲求を引き出し、長期的に成果を出しやすくなるとされています。
小さい目標をいくつも設定する
Todoリストのようなものに大きな目標を設定していつまで立っても達成できない、ということはありませんか?
それよりかは大きな目標を小さく分解して目標設定してみましょう。
私たちは仕事をしていて前進しているという感覚を持つとモチベーションが高まります。Todoリストでチェックを入れるのが気持ちよかったりしますよね。
仕事をする時には細かく分けて目標を設定し、1つずつ終わらせていくことで前進している感覚が得られます。
ノースカロライナ大学のデール・シュンクは学生たちが学習の進捗に満足するとその後の難しい問題にも挑戦するようになったという結果を出しています(R)。
ただ、簡単すぎては効果がなく、ある程度の難易度で努力が必要でないと効果がありません。努力して達成することで「自分にはできる」という感覚を持つ事が重要なようです。
仕事でも同じような現象があることが分かっています。
ハーバード大学のテレサ・アマビールは進捗があることで従業員のインナーワークライフが高まり成果を出せるようになるとしています。
インナーワークライフとは感情、認識、モチベーションのことを言います。この3つが高いことでクリエイティブな発想ができるようになったり、仕事への集中力が高まることが分かっています。
このように小さな目標をいくつも作ることで「前進している」という感覚が得られ、その結果モチベーションがアップして成果がでる、という循環が生まれます。
仕事の順番を工夫する
仕事を進めていく上で好きな仕事と好きでない仕事があると思います。最初に好きな仕事をしてしまうとその後の仕事へのモチベーションが低下してしまうことが分かっています。
ウィスコンシン大学で行われた研究では被験者がモチベーションの高いことをした後には次のタスクに集中できなくなるという結果を出ています(R)。
モチベーションが高い、低い、中間のグループを作るために好きな動画やライフハック系の動画、数学に関する動画を見せ、その後のタスクに集中できたかを調べました。
その結果、好きな動画を見たグループではタスクのパフォーマンスが低下し、集中力も維持できていないことが分かりました。
この理由として好きなことをしているうちに集中力やエネルギーなどのリソースを使い切ってしまったことが考えられています。
自分が好きなことをするときは「内発的動機づけ」という自分の内側の欲求に基づいて行動しています。この時には少ないストレスで高い集中力が発揮できます。
しかし、その後に好きでないことをするときは興味や関心がないですし、集中力が残っていないので作業の効率が上がりません。
また、同じ論文の中でモチベーションの高い人はパフォーマンスが低いということも確認されています。
ウィスコンシン大学のチームはデーパートの店員を対象にモチベーションの高さと仕事の成果を調査しました。その結果、モチベーションが高い人は仕事のパフォーマンスにバラツキが大きく、平均するとあまり成果を出していないことが分かりました。モチベーションの低い人はばらつきが少ないのですが成果も出しにくく、一番成果を出していたのは中間のモチベーションの人でした。
どうやら、モチベーションが高くても成果は上がらないようですね。
こうした結果から、仕事をする時にはモチベーションをほどほどにして「好きでも嫌いでもない仕事→嫌いな仕事→好きな仕事」の順に仕事をするとモチベーションを維持しやすく成果が上がりやすいと分かります。
人間関係
人間関係をよくすることで仕事のやりがいを高めて行きましょう。
何かを達成した時だけでなく、誰かに感謝されたり褒めてもらうことで仕事が楽しくなった、という経験はありませんか?仕事によってこうしたポジティブが感情が生まれるとそれがやりがいに変わって行きます。
とは言え、「感謝されたい」、「褒めてもらいたい」と思っているだけでは何も変わりません。まずは自分から同僚や上司に感謝を示したり、仕事ぶりを褒めてあげましょう。(上司の場合は褒めるというよりは尊敬する、という感じかもしれませんが、、、。)
例えば、誰かがトイレ掃除やゴミの回収をしてくれていたとします。それを見て心の中でありがとう、と思うのではなく「ありがとう、助かるよ」とか「さすが、気がきくね。」と声に出して伝えましょう。心の中で思うよりも相手の気持ちはハッピーになるはずです。こうした積み重ねが後で自分に返ってきます。
気持ちを口に出すのはちょっと恥ずかしい、という人もいるでしょう。そういう人は感謝の気持ちを自分の中で500%に膨れ上がらせるようにしてください。何か自分にとってすごいメリットがあった時って自然と「ありがとう」という言葉が出てきますよね。時には「ありがとう」と言わないことが失礼になる時もあります。自分の中で感謝の気持ちを膨れ上がらせることでこうした状態に持っていくことができます。
ちょっと難しいかもしれませんが、こうした振る舞いをすることで全員が得するならやってみようと思いませんか?自分のちょっとした工夫で相手が喜び、感謝し合う雰囲気が作れたら最高ですよね。
仕事の捉え方
自分の仕事と社会との繋がりを考えることでやりがいを高めましょう。
仕事を単なる作業として捉えるのではなく、自分の仕事が誰の役に立つのか社会のどんな問題を解決するのか考えるとやりがいが生まれます。誰の役にも立たないような小さな仕事をするよりも社会にインパクトを与える仕事をする方がやる気が出ますよね。
しかし、だからと言って大きな仕事をする必要はありません。自分の仕事が社会にとって意味のある仕事だと認識することが需要です。
例えば、単に飲食店で働くという認識ではなく、食事を通じて客の健康を守り社会で元気に働いてもらう、という認識で仕事をします。
これにより、単にお金のための労働ではなく社会的に意義のある労働だと認識できます。その結果、メニューの内容を見直したり、素材を見直したり、栄養価を考えるようになることもあるでしょう。
実際にペンシルバニア大学で行われた研究では仕事の社会的価値や社会的重要性について認識することで仕事の成果が出やすくなったという結果が得られています(R)。
天職型で仕事を捉えるとストレスが減る
イエール大学のエイミー・ヴェジェスニエフスキーは仕事に対する考え方として3つの捉え方があると述べています。
- 仕事型…仕事そのものからはお金などの物質的な利益しか求めず、仕事以外から幸福感や満足感を得ようとすることを言います。
- キャリア型…キャリアを積み上げてお金を得るだけでなく、名誉のために職業上で何かを達成しようとすることを言います。
- 天職型…お金やキャリアの為ではなく、仕事を人生と関連づけて使命感を持って望むことを言います。
一番良いのは天職型
1997年に発表された論文によると「天職型」の人は友人や趣味から得られる満足よりも仕事から得られる満足を重視していることが分かっています。また、仕事のストレスが少なく、健康で人生に満足しているという結果も得られています。
エイミー・ヴェジェスニエフスキーは利他的な行動を重視する社会的モチベーションが高いことが理由ではないかと考察しています。使命感を持つことで世の中に対する自分の役割を考えるようになり人生に満足するようになるようです。
ちなみに、3つの捉え方と年齢や収入、学歴、仕事内容との関連を調べた論文もありますが、因果関係は内容でした。一見、キャリア型の人が出世しそうですがそういう訳でも無いようです。
天職型にも欠点がある
天職型だと仕事にやりがいを感じて人生も幸福になるようですが万能という訳ではありません。
ペンシルバニア大学で行われた研究ではいくら使命感を持っていても仕事そのものがつまらないと成果が出にくくなる、という結果も出ています(R)。おそらく、自分が社会にできることはこの程度なのかと絶望してしまい成果が出にくくなる、という仕組みだと思います。
自分が天職型だ、という人は単純作業の繰り返しの仕事に就職しない方が良いでしょう。
ジョブクラフティングを行うための心構え
効果的にジョブクラフティングを行うためにも
・自分が何にモチベーションを感じるのか明らかにする
・悪い予想をしない
の2つに注意しましょう。
自分が何にモチベーションを感じるか明らかにする
モチベーションを維持するために成功することを目標にする方がいい人と、失敗しないことを目標にする方がいい人がいます。
自分がどっちのタイプなのか認識して仕事をするようにしましょう。
それぞれのタイプの人がどんな時にモチベーションが高まるのか紹介しておきます。
- 新たなことや挑戦的なことにチェレンジする
- 役割を決めない
- 期待値の高い仕事をする
- マニュアルに沿って仕事をする
- 役割を明確にして仕事をする
- 戦略や方法をしっかりと考える
このように自分がどっちのタイプの人間かを考えて仕事をしましょう。その他にも様々なモチベーションの理論があるので下記の記事も参考にしてください。
その上でジョブ・クラフティングを行うと効果的です。
悪い予想をしない
私たちは悪い結果だった時にショックを少なくしようと悪い予想をしてしまいます。しかし、悪い予想は思っているほどのメリットをもたらしてくれません。
ハーバード大学で行われた研究では悪い結果を予想することは結果が出るまでの時間をネガティブにするだけでメリットが少ないという結果を出しています(R)。
また、良い結果を予想していて悪い結果だった場合には一時的に気持ちが落ち込みますが、すぐに元の状態に戻ることも分かっています。
このように悪い結果を予想しないほうが前向きな気持ちで居られる時間が長くなるのでモチベーションの維持に役立ちます。
なぜジョブクラフティングが行われてないのか?
ジョブクラフティングにより仕事のやりがいが見つかり生き生きと仕事ができるようになる、ということを紹介しました。
これまでの説明を読んで「自分もやってみよう」と思ったかもしれません。しかし、実際会社で行うとなると難しかったりします。それはなぜなのでしょうか?
- 仕事の難易度と相互依存が適切でない
- 仕事の裁量が適切でない
2つの理由について詳しく紹介します。
仕事の難易度と相互依存が適切でない
仕事の難易度があまりにも高いとどんな工夫をすれば良いのか分かりません。何か工夫をしたことで重大な問題が起こるのではないかと不安になってしまします。
例えば、何か高額な機械を使って製造したり、国の指針に基づいて品質検査をする時に勝手に手順を変えてしまうと大きなトラブルになります。
こうした専門性の高い仕事をする時には仕事の原理原則をしっかりと理解しないと自分で工夫できません。
また、自分の仕事が誰かと相互依存的になっている場合も勝手に工夫することがトラブルの原因になります。部署ごとの連携をスムーズにするためにも手順が仕組み化されているのに勝手なことをしても全体としての生産性が落ちるだけです。
例えば、経理に決まった書類を決まった形式で提出しないといけないということが当てはまります。決められた形式に沿って仕事をしないとその後の作業が煩雑になり迷惑をかけてしまいます。
仕事を楽しくしたいからと言ってむやみにジョブクラフティングをしては他の人が楽しく仕事ができなくなります。ジョブクラフティングを行う時にはその仕事の全体を把握して確認を行なった上で行うようにしましょう。
仕事の裁量が適切でない
あまりにも上司からの管理が厳しいと自分で決めることができず、指示を待つだけになってしまいます。
会社の仕組みがガチガチに決まってしまっている場合、何をしても「ダメ」と言われるのでジョブクラフティングを行う気が失せてしまいます。
ジョブクラフティングを考えるのも結構苦労します。その割にあっさりと自分の意見を否定されるとジョブクラフティングを行おうとするだけ損する、という心理になります。ある程度、従業員が自由にできる余白を残しておかないとジョブクラフティングが行えないということですね。
こうした管理の仕方はマイクロマネジメントと言われています。部下のやる気が失われるだけでなく、離職率の増加や顧客満足度の低下に繋がることも知られています。もちろん、新しいアイディアも生まれにくいので会社が発展していきません。
そのため、ジョブクラフティングが行えないような会社は衰退していく可能性が高いと言えるでしょう。
こうした問題は管理職に依存している可能性が高いです。実際に管理職の9割は自分の役割を認識できておらず正しく役割を果たせていないというデータも出ています。詳しくは別の記事を参考にしてください。
まとめ
今回はジョブクラフティングとは何か?どうしたらジョブクラフティングが行えるのかについて書きました。
仕事でなくでもスポーツや勉強でジョブクラフティングを行なっていた、という人もいるかと思います。自然体でやっていることを学問として学ぶとより理解が深まりますね。
今の仕事でも必ずジョブクラフティングを行う余地があるはずです。自分なりに工夫することで仕事にやりがいを持って取り組めるようになります。
参考文献
Jobs, Careers, and Callings: People’s Relations to Their Work
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