英語学習のメリット。勉強のやる気をアップさせるために知っておきたい情報。

英語学習のメリット。勉強のやる気をアップさせるために知っておきたい情報。
この記事の対象者
  • 英語学習で英語力以外にどんな能力が身につくのか知りたい
  • 英語を勉強するモチベーションが上がらない
  • 英語を勉強する目的をハッキリさせたい

英語を勉強したいけどなかなか続かない、という人が多いと思います。そんな人のために英語を勉強するメリットについて紹介したいと思います。すぐに考え付くような「情報の幅が広がる」、「海外旅行で困らなくなる」などではなく、あまり知られていないメリットを科学的文献をもとに紹介したいと思います。

この記事を読むことで英語学習のメリットが分かり、モチベーションが上がります。

英語学習のメリット。勉強のやる気をアップさせるために知っておきたい情報。

英語を勉強することで脳が鍛えられ様々なメリットをもたらしてくれます。主に下記のような4つのメリットが知られています。

英語学習のメリット
  • 理性的な判断能力が上がる
  • 仕事ができるようになる
  • 病気を予防する
  • 文化的知性が発達する

理性的な判断能力が上がる

英語を学習すると理性的な判断能力が上がるという研究がいくつか行われています。理性的な判断能力の例として下記のようなものが知られています。

  • 難しい問題に対して長く考えるようになる(R
  • 罵り言葉を使いにくくなる(R
  • システマティックに意思決定ができる(R
  • 失礼な振る舞いにも寛容になる(R
  • 迷信を信じ難くなる(R

こうした理性的な判断ができるようになる理由についても、いくつか考察されており、下記のような理由が言われています。

理性的な判断ができるようになる理由
  • 普段使わない言葉を使うことで脳に負荷がかかり、直感的な言動が少なくなる。
  • 外国語を使うと連想される言葉が引き出されにくくなるため、直感で働かなくなる

英語を使うと簡単な文章でも難しく感じるように、脳に負荷がかかるというのはわかりやすいと思います。実際に外国語の習熟度が低いほど思考に負荷がかかり、迷信を信じにくくなることがわかっています。

例えば、
・昇進のかかったプレゼンがあります。公園で練習している時に四葉のクローバーを見つけました。プレゼンについてどう思いますか?
・片思いの人がいる夜のパーティーに向かっています。パーティーについたときに流れ星を見つけました。好きは人と会うことについてどう思いますか?
などの質問を外国語で読んだ時に習熟度が低いほど迷信の影響を受け難くなることが知られています。

また、直感というのは連想記憶にリンクしており、学習を通じて強められたり弱められたりします。何かアイディアを思いついたときに、良いか悪いかの判断をするのに連想記憶へのアクセスしやすさが影響します。

2000年にMarian と Neisser によって行われた研究によると、ロシア語でインタビューされた被験者はロシア語での記憶がよみがえり、英語でインタビューされた時は英語での記憶がよみがえりやすかったようです。
他にも自国語で道徳心や社会的規範を学ぶと、自国語を使う時は自国の道徳心や社会的規範に則るようになる、ということも知られています。普段の生活は直感的に行動することが多いので、言語が行動に影響しています。

このように言語と連想記憶には大きな繋がりがあります。普段使い慣れていない英語を使うことで連想記憶が引き出され難くなり、直感的な判断を抑制することができるようになります。英語で情報を聞いた方が理性的な判断ができる、ということですね。

英語を使っている時には理性的に判断するトレーニングをしていることになるので、英語学習は脳を鍛えてくれると考えられます。

直感的な判断にもメリットがある

英語を使うことで理性的に判断できるようになる、ということを紹介しましたが直感的に判断することにもメリットがあります。それはポジティブな気持ちになれる、ということです。直感的に判断すると楽観的になり難しいことにも前向きに取り組めるようです。

仕事ができるようになる

英語を学ぶことで脳が鍛えられるということを紹介しました。脳が鍛えられることで下記のような効果も確認されています。

  • バイリンガルはマルチタスクが得意(R
  • 自分をコントロールする能力に優れている(R
  • ワーキングメモリが発達している(R

特にワーキングメモリというのは作業記憶として知られ、仕事をする時などに重要な能力となっています。上司への報連相をする時に何をどこまで報告したか、という記憶がないとスムーズに仕事が進まないですからね。

英語学習によりこうしたメリットが得られる理由もいくつか分かっています。

仕事ができるようになる理由
  • 2言語を扱うということがマルチタスクの訓練になっている
  • 2言語を使い分けるために自分をコントロールする能力が発達する
  • 自分をコントロールできることでワーキングメモリも発達する

英語を理解するためには日本語と結びつけて考えるので、マルチタスクのような状態になっています。英語の習熟度が高いと、この結びつきが高くなりシングルタスクのように処理できるようになります。

また、英語学習は脳の前頭頭皮質を発達させることが知られています(R)。前頭頭皮質は自制心をコントロールするために使われている領域で、論理的な思考や認知能力、問題解決力と強い結びつきがあるとされています。自制心のコントロールが人生においていかに重要がは以前の記事にまとめていますので参考にしてください。

基本的にマルチタスクは生産性を下げる

英語学習によりマルチタスクが得意になる、ということを書きました。しかし、英語を勉強しているからといってマルチタスクをしないようにしましょう。マルチタスクは集中力を低下させ、仕事への没頭を妨げます。シングルタスクを行った方が疲労感が少なく、効率的に作業を行うことができます。

病気を予防する

英語により脳が鍛えられるので下記のような病気の予防効果もあります。

  • 認知症を抑制(R
  • アルツハイマーを抑制

どちらも記憶や思考能力が低下していく病気です。こうした病気を予防するためにも脳を鍛えることが重要になります。

病気が予防できる理由
  • 英語を学ぶことで神経細胞が作られ、ネットワークが活性化する
  • 灰白質が密な状態を維持できる

灰白質とは神経細胞の細胞体が集まった場所のことを言います。神経細胞が増えるために、灰白質が密な状態になります。また、認知症やアルツハイマーの人は灰白質の密度が低下することが知られているので、それを防いでくれるということですね。英語を話すことが目的でなくても、認知症の予防として英語を勉強するのは有効だと思います。

認知症やアルツハイマーの予防としては、英語以外にも読書やボードゲームなども有効とされています。脳を鍛えることでこうした病気を予防できる、ということですね。

文化的知性が発達する

英語を勉強するためには、ただ単に英語を話せるようになるだけではなく、英語圏の文化や習慣を学ぶ必要があります。そのため、文化的知性が身につきます。

文化的知性とは文化的知識や文化的背景を考えて自分の行動をコントロールすることを言います。文化的知性が高いと相手の文化に適応できたり、交渉がうまく行ったり、海外での事業がうまく行くかの予想ができます。
文化的知性が低いと日本人の家に土足で入るなど、思わぬところで相手の気分を害してしまったり、価値観が合わず交渉が進まないことが起こります。近年ではグローバル化が加速しているので文化的知性にも注目が集まっています。

近年のグローバル化の流れ

グローバル化が進み日本人が海外に出るようになったり、外国から日本に来る人が多くなっています。

日本人出国者数
年別日本人出国者数の推移 出所:法務省「出国管理統計」よりJTB総合研究所作成
訪日外国人数
年別訪日外国人数の推移 出所:日本政府観光局 (JNTO) 発表統計よりJTB総合研究所作成

このグラフからも外国人と関わる機会が多くなっていることが分かります。

文化的知性を高めるメリット

こうしたグローバル化の中で、文化的知性があると下記のようなメリットがあります。

文化的知性を高めるメリット
  • 文化的背景の違う相手の考え方を共有
  • グローバルな競争力が身につく
  • 今までに無かった発見ができる

様々な価値観を理解できるようになる、というのは大きなメリットですよね。自分の中に様々な判断基準が作られるので、今まで気づけなかったような考え方にも柔軟に対応できるようになります。こうした能力は人生をより豊かにしてくれると思います。

しかし、文化的知性があったとしても効果が出ない場合もあります。その原因として感情的知性が成熟していないことが考えれています。

感情的知性とは

感情的知性とは自分や相手の感情の変化に気づき、物事がうまく進むように感情をコントロールすることを言います。感情的知性があることで相手との考え方の違いに気づくことができ、感情的にならずに互いに利益が得られるように交渉を進められます。文化的知性があったとしても感情をコントロールできないと役に立たない、ということですね。感情的知性については以前の記事で詳しくまとめているので参考にしてください。

多様な文化に触れていると感情的知性も高くなりやすい、ということが言われています。様々な文化に触れている人ほど文化的共感力が高く、感情が開放的で安定し、指導力がある人が多いようです。上記でも紹介したように、英語学習は理性をコントロールする前頭頭皮質を活性化するので、感情的知性も高めてくれると考えられます。

さらに、相手の文化にどれほど深く関わったか、ということも重要です。食べ物や建物など目に見えるものだけでなく、価値観や信念、規範など目に見えないものが文化的知性を高めてくれます。

2013年にKerri Anne Crowne によって発表された論文では、
・旅行した国の数が多い人
・現地の文化との関わりの深い人
は文化的知性が高いことが分かりました。こうしたデータから、海外旅行の経験があれば良いというだけでなく、海外旅行の内容と頻度が文化的知性に影響することが分かります。

文化的知性を高める時の注意点

英語学習や海外旅行などの他文化との関わりが文化的知性を高めてくれる、ということを紹介しました。しかし、他文化と関わったとしても価値観が違いすぎると文化的知性が高まらない、ということも言われています。カルチャーショックを受けると拒否反応の方が大きくなり、文化的知性が高まらないようです。
海外に行く前には事前にネット上で情報を集め、現地で驚きすぎないよう慣らしておく方が良いかもしれません。

英語を勉強していると、相手の文化や考え方も分かるようになるだけでなく、海外旅行で現地の人と深く関わることができるようになります。また、英語が話せることで海外旅行へのハードルも低くなります。そのため、他文化との関わりも多くなり、文化的知性が鍛えられると考えられます。

まとめ

今回は英語を勉強するメリットについて紹介しました。

調べてみると思ったよりも様々なメリットがありました。ただ単に英語力が身につくだけではなく、理性的な判断ができるようになるのは大きなメリットですね。

もちろん、英語を勉強することで今回紹介したような参考文献を読めるようになります。世界の情報のほとんどが英語で発信されているので、そうした情報にアクセスしたい、という人は英語を勉強してみてもいいでしょう。

英語を勉強すると言っても、最近は無料で英語の勉強ができるような環境が整っています。私が英語を勉強するときに利用しているサービスなどを以前の記事でまとめていますので参考にしてください。

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