【徹底解説】GRITとは?成功者に共通した特徴とGRITの正しい高め方。

【徹底解説】GRITとは?成功者に共通した特徴とGRITの正しい高め方。
この記事はこんな悩みを解決したい
  • 成功者の持っている特徴が知りたい
  • 自分が成功者になるためにはどうすればいいの?
  • 自分を成長させる方法が知りたい

自分は才能がないから成功できないと思っていませんか?しかし、成功と才能の間にはあまり関係ないことが知られています。成功するためには才能よりも努力する力の方が重要です。今回は成功者の共通点として知られているGRITがどういうものなのか、どうしたらGRITを高めることができるのか紹介していきます。

この記事を読むことで成功のために必要な知識を身に付けることができます。

【徹底解説】GRITとは?成功者に共通した特徴とGRITの正しい高め方。

成功者の共通点として知られるGRITとはやり抜く力のことです。困難なことがあっても諦めずに挑戦し続けると成功する可能性が高まるようです。

ペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックワークスはGRITが成功する人と失敗する人を分けていることを突き止めました。

アンジェラ・ダックワークスの研究

アメリカの米国陸軍士官学校は入学審査がとても厳しくアメリカの最難関大学と変わりません。しかし、訓練の厳しさから5人に1人の割合で中退してしまうことが知られています。
この原因として才能や適正、学力、体力などが考えられてきましたが、重要なのはやり抜く力ということがわかりました。

他にも似たような調査としてアメリカのスペリングコンテストを対象にした研究があります。言われた言葉のスペルを間違えずに書けるか、というコンテストなのですが決勝に進む子供は言語知能指数とは関係なく、やり抜く力が強いことが分かりました。

このことから、成功するためには才能や適正よりもGRITが必要ということが分かります。

なぜGRITが必要なのか?

なぜ、才能ではなくGRITが成功と相関があるのでしょうか?
著者は”達成の方程式”で説明できるとしています。

達成の方程式
  • 才能 × 努力 = スキル
  • スキル × 努力 = 達成

この式は物事を達成するためにはスキルと努力が必要で、スキルを習得するためには才能と努力が必要ということを表しています。

つまり、努力がスキルを身に付けるためと物事を達成するための両方に必要なため、やり抜く力が重要ということです。

しかし、私たちは成功できない理由を才能のせいにして努力を怠ってしまいます。

才能を過大評価してしまう

私たちが努力を怠って怠ってしまう理由として才能を過大評価してしまうことが知られています。

例えば次の2人のピアニストのうち、どちらの演奏を聴いてみたいでしょうか?

  • 努力してプロになったピアニスト
  • 才能でプロになったピアニスト

おそらく才能でプロになったピアニストの演奏を聴いてみたいと思ったのではないでしょうか?「100年に1人の天才」とか言われると魅力的に感じますよね。

それに対して「才能はないけど努力して技術を磨いた」と言われても魅力的に感じにくいと思います。
私たちは努力は誰にでもできるものと思い込んでいるため才能のあるピアニストの方に魅力を感じてしまうようです。

このように私たちは才能を過大評価してしまっていることが分かります。

GRITが高い人の特徴

成功のためには才能よりもGRITが重要ということを紹介しました。
しかし、GRITが高い人のことをとにかく努力を続けている人と捉えるだけでは不十分です。

そこでGRITが高い人の正しい特徴を紹介します。

正しいGRITを持っている人の特徴
  • ポジティブな人間関係
  • 「受ける側」ではなく「与える側」
  • 適切な集中
  • 失敗から学ぶ
  • ありのままでいる
  • しなやかなマインド

ポジティブな人間関係

健全なGRITを持っている人は周囲の人々を惹きつけチームワークを促進します。GRITの高い人は努力して辛い経験を重ねているので他人の努力の苦しみが分かり、思いやりがあります。また、辛い経験にも負けないぐらい活力に溢れているため周りにポジティブな影響をもたらします。

間違ったGRIT

間違ったGRITを持つと目標を達成した時に全て自分の力で行なったと思ってしまいます。他人からの支えに感謝しないのでチームワークを乱してしまいます。

自分が目標を達成できたのは多くの人の支えのおかげなのですが、そのことに気づけないため、自分の成功を自分だけで成し遂げたかのように吹聴します。

「受ける側」ではなく「与える側」

健全なGRITを持っている人は他人からポジティブな影響をもらうよりも与える時の方が多いです。自分が損をしてまで他人に尽くすという訳ではなく、自分と相手がWin-Winの関係になるように工夫して自分と相手の幸福感を高めます。常に相手に対して何か貢献できることはないかと考えていると自分が辛い時にサポートしてもらえる可能性が高まります。

間違ったGRIT

間違ったGRITを持つと自分の利益のために相手を利用しようとします。自分の取り分が多くなるように振る舞うので相手が不満を感じやすくなります。こうした関係だと長い関係が保てず、長期的に見ると損することになります。

人を利用してやろう、自分の取り分を増やせないか、と企んでいる人は間違ったGRITを持っています

適切な集中

GRITが高いからといって全ての物事に対して情熱を持っていたり、粘り強く取り組む訳ではありません。何が自分にとって重要なのかよく理解して本当に意義深いことだけにやり抜く力を使います。1つか2つのことに集中しそれ以外のことは適当にやったり、休むことを優先すると良いでしょう。

間違ったGRIT

間違ったGRITを持つと自分が何をしたいのか優先順位がつけられません。全てのことに全力で取り組もうとするので全てが中途半端になります。また、執着心が強く何がなんでも勝とうとしたり、負けを認めようとしません。

全ての仕事をやりたがる人や何に関しても負けを受け入れようとしない人が当てはまります。

失敗から学ぶ

GRITが高い人は失敗してもとにかく努力を続けるという訳ではありません。挑戦して挫折するという過程の中で失敗から多くのことを学び次の挑戦に活かします。そのため、次に何かに挑戦する時にはどのように取り組めば成功する可能性が高まるか熟知しています。

間違ったGRIT

間違ったGRITを持つと失敗しても言い訳ばかりします。自分の力不足を棚に上げるので能力が向上しません。また、運や才能、特別な人脈など自分にはコントロールできないことを持ち出し、自分ができないことの理由を探し始めます。

自分の失敗を認められない人やいつも失敗ばかりして成長しない人が当てはまります。

ありのままでいる

GRITの高い人は常にリラックスしています。自分がありのままでいることで最大限のパフォーマンスが出せると理解しています。自分が完璧で自信があるからありのままで居られるのではなく、自分の不完全さに対して優しさを持っているからです。

間違ったGRIT

間違ったGRITを持つと他人や自分を騙して何か大きな目標ををやり遂げたように見せかけます。高い自尊心や注目を集めたいと言う欲から不正やごまかしを使ってしまいます。他人を騙すだけでなく自分で自分を騙します。本人でさえそのことに気づけていない場合が多いので相手するのが厄介です。

ドーピングをするスポーツ選手やデータを改ざんする科学者、自分の過去の成果を過大評価して自慢する上司などが当てはまります。

しなやかなマインド

GRITの高い人は変化に対応する能力が高いです。成功のためにはハードワークが必要ということを理解し、常に好奇心を持って新たな可能性を探っています。反対にやり抜く力の低い人は手っ取り早く成功する方法を探っていて最小の努力で成功しようとしています。

間違ったGRIT

間違ったGRITを持つと短期的な目標を追求するあまりネガティブな結果を産んでしまいます。成功のためにはハードワークが重要と言うことは理解しているのですが、自信過剰になり他人からのアドバイスを聞き入れません。

トレーニングをしすぎて怪我をしてしまうスポーツ選手やチームの意見を聞こうとしないリーダーなどが当てはまります。

また、GRITを高めるために一度始めたことは絶対にやめてはいけない、というわけではありません。

諦めてもいいのですが条件があります。

それは、代わりの目標がもっと大きな目標の手段になる場合です。
世界に影響力を持つ人間になる、と言うのが最大の目標の場合、プロのスポーツ選手になることを諦めて別の方法を探しても問題ありません。

最大の目標がぶれないことが一番大切です。

GRITを高める方法

やり抜く力を強める4ステップ

正しいGRITを身につけるとあらゆる分野で成功する可能性が高まります。

では、どうしたらGRITを高めることが出来るのでしょうか?「努力できることも才能」と言われるように努力する能力も遺伝で決まっていると思うかもしれません。

しかし、GRITが遺伝によって決まっているのではないことを明らかにした研究もあります。

GRITは遺伝で決まるのか?

一卵性双生児と二卵性双生児の人を対象にGRITの調査が行われています。もし、遺伝でGRITが決まるなら一卵性双生児のGRITは同じになるはずです。
しかし、一卵性双生児と二卵性双生児でGRITのバラツキに差が無かったという結果が出ています。

どうやら、遺伝とGRITには関係が無いようですね。

遺伝でないとしたら何がGRITを決めているのでしょうか?
答えは環境です。

・自分の興味に従って行動できる環境
・モチベーションを引き出せる環境
の2つが整うとGRITが高まることが分かっています。

他にも年齢が高くなるとGRITも高まることが分かっています。年齢が高くなることで自制心が身につき困難なことがあっても簡単に諦めなくなることが分かっています。

GRITを身につけるための準備

GRITを高めるためにはまずは自分がどんな人間なのかを知らなければなりません。自分のモチベーションを高める環境や自分の興味のあることが分かっているとGRITが身につきやすくなります。それに、自分がどんな人間なのか知ることで諦める原因になりそうなものを事前に予測し対策を立てることができます。

そのため、まずは自分に下記の質問をして見ましょう。

  1. 情熱を捧げれるものは何ですか?
  2. 今までで一番苦労したことは何ですか?
  3. あなたの強みは何ですか?
  4. 成功するためにはどんな障害が待っていると考えられますか?
  5. 誰があなたの成功を喜んでくれますか?
  6. 成功した時にあなたはどんな状態ですか?

情熱を捧げれるものは何ですか?

スポーツや音楽、料理など何でもいいです。例えばお金持ちになってスポーツを観戦しながら暮らしたい、バンドを作って多くの人に聞いてもらえる曲を作りたいなどです。

お金のためではなく、自分が純粋に好きなことは何ですか?
失敗することがないと仮定してこの問題を考えると情熱を注げるものが見つかります。

しかし、やり抜く力があるからといって何に対しても情熱があると言う訳ではありません。自分の興味の対象を絞ることでやり抜く力が育ちます。何に対しても情熱があるという状態ではエネルギーが分散してしまいます。

今までで一番苦労したことは何ですか?

自分の能力の限界に挑戦した時のことを書きましょう。部活や習い事、勉強など頑張った体験を書きましょう。最初はどんな気持ちだったか、それをやって行くうちにどんな気持ちになったか書いて見ましょう。

頑張ったことがないと言う方も自分の経験の中で一番辛かったことを書いて見ましょう。他の人にとっては小さなことでも自分を卑下する必要はありません。

あなたの強みは何ですか?

自分が他の人よりも優れている能力を書いて見ましょう。何も思いつかない場合は他人の仕事ぶりを見てイライラした時を思い出してください。他人の能力が自分よりも劣っているためにイライラしたのかもしれません。

また、強みを活かせたと言う体験があれば書いて見ましょう。他人から見てそうでなかったとしても自分が強みが活かせたと感じた体験でいいです。

もし、大きな強みを持っていたとしても謙虚さを忘れないようにしましょう。

成功者は謙虚さを持っていることが多いです。誰かからアドバイスをもらった時に謙虚に受け入れないようでは自分の強みが伸ばせません。また、問題が解決せず、モチベーションが低下する原因になります。

また、今の自分があるのも家族や友人、社会に支えられてきたからだ、と思うことで困難なことにも挫けないメンタルを手に入れることが出来ます。

成功するためにはどんな障害が待っていると考えられますか?

何かに挑戦したことのある人はどんな時に挫折しそうになったか書いて見ましょう。実際に挫折したり失敗した経験でもいいです。

挑戦したことが人でもモチベーションが低下した体験や挑戦できなかった理由を書いて見ましょう。これらの経験から自分がGRITを身につける時に障害となるものが見えてきます。

障害に負けないためにも自制心を身につけましょう。自制心がないと感情に任せて行動してしまい、物事がうまく進まなくなります。自分を律することで問題を解決する糸口が見つけられたり、お酒やタバコなど生産性を低下させるものを取り除くことが出来ます。

挑戦を諦めたくなったり、やらなければならないことが面倒だと感じた時には自分の強みや他人からの支え、やり遂げた後の自分を想像するようにしてみましょう。感情的になるのを抑え理性的な行動を促してくれます。

誰があなたの成功を喜んでくれますか?

自分が成功した時に喜んでくれる人の顔を思い浮かべましょう。人は自分のためだけではやり抜く力を発揮できません。誰かのために、と言う思いがあって自分の持っている以上の能力が出せます。

自分のため、というよりも親や友人を喜ばせたいと思った方が自分を制御して努力できますよね。こうした動機を持っていると幸福感が高まります。

また、幸福感が高いと成功しやすいとうことも分かっています。多く人は成功したから幸福だと考えてしまいます。しかし、実は幸福だから成功するという仕組みになっているようです。

ちなみに、幸福感が高い人はPERMAと言う5つの要素を持ち合わせているようです。

PERMAとは?
  • Positive;ポジティブな感情のことです。何か良いことがあった時には立ち止まってポジティブな感情を味わうようにしましょう。
  • Engagement;何かに熱中することです。自分の強みを活かしていると熱中できる可能性が高まります。
  • Relationship;人間関係のことです。持続的な幸福感の高い人は質の高い人間関係を持っているようです。
  • Meaning;自分の人生に意味を見いだすことです。他人のためや家族のためといった目的や意味を持っていると幸福感が高まります。
  • Achievement;達成することです。自分が始めたことを達成できると言う感覚を持つことで幸福感が高まります。

これらの要素を持つことでGRITも高まるようです。

成功した時あなたはどんな状態ですか?

成功した時の自分と今の自分の違いを考えて見ましょう。お金持ちになる、専門的知識が身につくなどなんでもいいです。困難なことにも逃げずに挑戦したため人間的にも成長した自分が描けるはずです。

こうした目標設定ができていないと困難なことに耐えるエネルギーが出てきません。正しい目標があることでモチベーションが上がりやすくなります。

目標設定には数値化できるものと数値化できないものを組み合わせると良いとされています。例えば、勉強時間やお金などは数値化できる目標で集中力や忍耐力などは数値化できない目標です。また、大きな目標を達成するための小さな目標を達成していくとモチベーションが高まりやすくなることも知られています。

GRITが向上しない原因

GRITを高める準備ができたでしょうか?自分が情熱を持てるものや情熱を維持するのに障害となるものが分かったかと思います。上記で明らかになったことに注意して自分の興味に従って行動できる環境やモチベーションを引き出せる環境を維持すればGRITを高めることができます。

しかし、そもそも興味のあることがなかったり、明らかになった障害に対して対策法が思いつかない、という人もいるでしょう。そこで、想定されるGRITが向上しない原因に付いて答えていきたいと思います。

GRITが向上しない原因
  • そもそも興味のあることがわからない
  • 興味のあることで食べて行けない
  • 興味が続かない
  • 練習しても成果が出ない
  • 集中できない
  • 成功するイメージが持てない

そもそも興味のあることがわからない

GRITを高める最初の一歩は興味を持つことです。興味があることを仕事にすることで仕事への満足感が高まり、業績が改善されることが分かっています。

しかし、興味のあることを仕事にできている人はなかなかいません。ギャラップの調査によると日本には情熱のある社員は6%しかいないという報告もあります。アメリカの32%と比べると大分低いです。

では、自分の興味はどのように見つかるのでしょうか?一般的には親や先生から褒められた、有名人に応援してもらった、などの答えを考えてしまいがちです。しかし、1度の大きな出来事に遭遇して興味が引き出されるのではない、ということが分かっています。

大きな出来事はきっかけにはなりますが、それを極めたいと思うほどの興味は引き起こしません。

NASAの宇宙飛行士のマイク・ホプキンスはテレビでスペースシャトルの打ち上げをみたことはきっかけでしかなく、その後に何度も打ち上げの映像を見てNASAのことを詳しく調べ始めた、と言っています。

このように最初は漠然とした興味しかなく、その後に少しずつ関心を抱いていき興味になるようですね。

こうした例からも何かに挑戦して「好きだな」と感じたら続ければいいですし、「なんか違うな」と思えば辞めれば良いです。興味のあることがないから行動できないという状態が一番良くありません。

興味のあることでは食べていけない

多くの人は仕事をしているので今からGRITを高めようと思っても興味のあることをしても食べて行けない、という悩みがあると思います。

確かに興味に従っていただけでは食べていけません。食べていくためには誰かの役に立つことをする必要があります。

テレビゲームに興味や情熱があるだけでは誰も得しないので食べてはいけません。しかし、最近ではe-sportsのようにゲームを見るのにお金を払う人がいるので、自分の好きなものもうまくコンテンツ化して行けば食べていけるかもしれませんね。

個人的にはパラレルキャリアで好きなことを仕事にすることをオススメしています。2つのキャリアを持ってどっちかが潰れても生活に困らないように準備しておきましょう。リスク管理できていることで安心して自分の興味に従って行動できます。

また、趣味でもGRITを高めることができます。

コロンビア大学のMargo Gardnerによって発表された論文では課外活動が子供のやり抜く力を高め、進学や正職員になる可能性、収入に影響しているとしています。

課外活動でやり抜く力が高まる

  • 1万1000人の10代の学生を調査し26歳まで追跡調査を行なった
  • 学校の部活動だけでなく、地域のコミュニティで行われている活動も調査した
  • 活動に対しての熱心さの違いの影響を測定した

結果
・課外活動に参加していると大学進学率が約50%高まる
・8年後に大学を卒業している可能性が49%~78%高まる
・学校の部活動に2年以上取り組んでいると大学を卒業して正社員になる確率が高まる
・他の人よりも収入が高くなる。
・熱心に取り組んでいるほど効果が出やすい
・ボランティアに参加しやすくなる

このように子供が課外活動でGRITを高められるように大人もサークルなどに参加することでGRITが高められると考えられます。

興味が続かない

最初は興味があっても徐々に興味がなくなる、という経験をしたことがある人も多いと思います。最初はすぐにスキルが伸びて楽しいのですが成長してくるに連れてだんだんと成長できなくなります。

この段階にきた時に頑張れる人をGRITが高いと言います。こうした体験をした時に踏ん張って成功できたという経験があればいいのですが、多くの人はそうした経験がないので頑張れません。

そこで、社会との繋がりを意識するという方法をお勧めします。

自分の興味に従って本当にやりたいことだとしても成長が止まってしまうと他のことに興味が行きがちになります。しかし、自分がやっていることが誰かの役に立っていると認識することで頑張る力になります。

例えば、地域で唯一の小売店を営業している人は興味がなくなったからといって営業をやめないですよね。自分がやめたらその地域の人が遠くまで買い物に行かないと行けなくなるからです。そのため、嫌でも努力するようになります。
他にも家族のために仕事を続ける人なども当てはまります。

このように興味が続かないという人は社会との繋がりを意識して自分にやめられないようなプレッシャーをかけることをお勧めします。

練習しても効果が出ない

練習しても効果が出ないという人は休息が足りていないのかもしれません。

マッキンゼーのブラッド・スタルバーグは成長のためには負荷と休息が重要といっています。多くの人は負荷をかけることができるのですが休息を取れていません。

スポーツの世界ではこうしたことは言われているのですが、体の筋力だけでなく、知力や精神力の成長にも当てはまるとされています。

実際にスタルバーグはアスリートや企業で成功している人たちを調査して同じ結論になったとしています。

アスリートに休息が必要な例

例えばディーナ・カスターと言うマラソン選手はオリンピックの女子マラソンで銅メダルを取り、国際的な大会でも優秀な成績を収めています。さらに、この選手は42歳になっても20代の選手と渡り合っていたと言います。この選手は高地で39キロのマラソンを走り、時速19キロで3キロコースを4セット走るなど凄まじいトレーニングをしています。
しかし、カスター選手によると自分がいい成績を収めているのは休息があるからといっています。毎晩、10〜12時間の睡眠をとり、食事やストレッチ、週に1回のマッサージなど休息の重要さを理解していました。

一方で心理学者のチクセントミハイ氏によれば独創的な発明や斬新なアーティスト、ノーベル賞を受賞した科学者など様々な分野で成功した人たちには次の共通するプロセスがあったとしています。

  1. 没頭;高い集中力を持って仕事に集中する
  2. 熟成;疲労を回復し、仕事のことを一切考えない
  3. 閃き;新しいアイディアが湧いたり考えが深まる

このプロセスが様々な分野で共通している理由として、体と心が繋がっていることが考えられています。

知力にも休息が必要な例

例えばロイ・バイマスターによって行われた次のような研究があります。67人の大人を集め2つのグループに分けた。片方にはクッキーを食べても良いと支持し、もう片方にはクッキーは食べてはいけないと指示をし、さらにラディッシュだったら食べても良いと言う指示を出した。さらに、この2つのグループに解けそうで解けない問題を出し、問題を解こうとした回数を測定した。その結果、クッキーを食べた方は33回チャレンジしたが、ラディッシュの方は19回しかチャレンジしなかった。
このことからラディッシュ組はクッキーの誘惑に勝つために意志力を使っていたため、問題に全力で取り組めなかったと考えられます。

こうした結果は別の実験でも確認されており、意志力を使って精神的に疲れていると集中力や思考を司る前頭前野が活性化しにくくなることが確認されています。

このようにただ努力すれば良いというわけではなく、効率的に努力しないと成長も遅くなるということですね。

では、具体的にどのように休息をとればいいのか紹介して行きます。
ポイントは3つです。

  • 散歩
  • マインドフルネス
  • 睡眠

散歩

スタンフォード大学の研究者たちが短い散歩休憩が想像力を高めると言う結果を出しています。

被験者を2つのグループに分け、片方のグループには屋外で歩き回ってもらい、片方のグループには机に留まってもらい変わった日用品の使い方について案を出してもらいました。

その結果、歩き回ったグループの方がもう片方のグループよりも40%面白いアイディアを思い付いていることがわかりました。このことから、散歩により脳の一部が散歩に使われるため脳の無意識を司る部分にアクセスし易くなったことが考えられています。

また、1時間ごとに2分の散歩をすることで座りっぱなしによる早死にのリスクを33%減少させると言う研究もあります。

マインドフルネス

マインドフルネスにより前頭前野を活性化し、ストレスがかかった時にも冷静に判断できるようになります。マインドフルネスの1つの方法として瞑想が知られています。

マインドフルネスによりストレスに耐性が付いていると辛い時にも頑張れるようになります。マラソン選手が試合中に苦しい、辛いと思っていると心拍数が上がり、筋肉が強張ります。しかし、マインドフルネスで心を無にして臨めると苦しい、辛いと言う感情を切り離して自分のパフォーマンスを発揮できるとされています。

マインドフルネスに関しては以前の記事に詳しくまとめていますので興味のある人は参照してください。

【初心者でも簡単にできるマインドフルネスのやり方】驚くべき効果と一緒に紹介します

睡眠

休息というと多くの人が思いつくのが睡眠です。絶大な効果があるのでいくつかの研究結果を紹介して行きます。

チェリー・マーの研究によるとバスケットボールの1軍の選手が最低でも10時間の睡眠をとるようにするとパフォーマンスが向上したと言う結果が出ています。

1ヶ月かけて徐々に改善が見られ、短距離走の速度が4%アップし、フリースローとスリーポイントシュートの制度が9%アップしました。

同じような結果は水泳選手でも再現されており、睡眠がパフォーマンスと結びついていることが明らかになっています。

他にもハーバード大学のロバート・スティックによると睡眠不足により記憶力が悪くなることが分かっています。また、クレムゾン大学の研究では睡眠不足の人は衝動的な行動をし易く、注意力が散漫になることも分かっています。

NASAでは25分の仮眠で判断力が35%、警戒心が16%アップしたと言う結果から午後の仮眠を推奨しています。

集中できない

興味を持って始めたことでも成果が出なかったり、飽きてくると集中できなくなります。集中力がないと成功する可能性も低下します。そこで、集中力を高める方法として下記の3つをお勧めします。

辛い練習を乗り越えるためのポイント
  • 意図的な練習
  • フローに入る
  • ルーティーンを作る

意図的な練習

同じ練習を続けていても成果は出ません。やり抜く力の高い人は練習時間が長いことが知られていますが、意図的な練習をしていることも分かっています。

  1. ある一点に目的を絞って高めの目標を設定する
  2. 集中して目標を達成する
  3. 改善すべき点を理解しうまくいくまで何度でも練習する

例えば英語の勉強をするときに英語が好きだからと言って無闇に英語の勉強をしていても上達しません。英語のリーディングなのかリスニングなのか、リーディングの場合には文法問題に弱いから文法を勉強し直そう、と考えます。こんな風に自分の能力を高めるように意図的な練習をしなければなりません。

改善のポイントは自分ではわからない場合も多いため、他の人に意見を聞いたり、自分の能力を客観的にみることが重要です。

シングルタスク化する

マルチタスクをしていると効率よく仕事を終わらせているような気分になります。しかし、科学的に99%の人が生産性や仕事の質を低下させていることが分かっています。
また、いらない情報を除外する能力やパターンを認識する能力、長期記憶も低下させ未来の仕事の効率も低下させます。

fMRIを使った実験によるとタスクが変わるたびに脳の活性化部分を切り替えることが分かっています。こうした使う領域を切り替えるたびに脳の消費が積み重なっていきます。これにより仕事の効率が損なわれています。

また、集中力を維持するためには50〜90分の仕事と7〜20分の休憩のサイクルが最適と言う研究もあります。あまりに長い時間集中していると燃え尽きてしまい、次の仕事に集中できなくなるみたいです。

フローに入る

意図的な練習では自分に新たな能力を染み込ませていくため努力が必要です。

これとは対照的に自分の今の能力を発揮することが求められている場合にはフローと呼ばれる状態が理想とされています。

フローとは?

フローとは意識していなくても体が勝手に動いてくれるような集中力が極度に高まった状態のことです。スポーツの世界ではバスケの3ポイントシュートが打てば入るような状態をゾーンに入ったと表現されます。

フローの特徴
  • 努力が必要なくパフォーマンスが高まる
  • ストレスを感じない
  • 時間が経つのが早く感じる
  • フローに入るための訓練が必要

このような状態に入って仕事ができれば最高ですね。

ルーティーンを作る

意識的な練習とフロー状態どちらにも共通して高い集中力が必要です。そのため、ルーティーンを作ることが推奨されています。

ルーティーンとはラグビーの五郎丸や野球のイチローのように同じ動作を繰り返し行うことで集中力を高める方法です。

毎日同じ場所で練習する、毎日練習の前に決まった行動を取るなどルーティーンを作ることで集中力が高まります。

さらに、ルーティーン化することで考えずに行動できるというメリットもあります。先ほど紹介したクッキーとラディッシュの実験からも分かるように心も使った分だけ疲労します。そのため、無駄な仕事や選択を減らすことによって大事な時に最大の集中力で取り組めます。

フェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグはいつも同じ服装をしています。これにより、服を選ぶのに使う労力を避けるようにしています。

成功するイメージが持てない

興味のあることに取り組んでいても成功するイメージがなければ努力できません。努力した先に目標の達成や成長した自分が見えないと悲観的になってしまいます。

希望を持たないと行動できない

マーティン・セリグマンとスティーブ・マイヤーの犬を使った実験があります。一方の犬には後ろ足に不規則に電気刺激が送られるようになっており、目の前にあるパネルを鼻で押すと止められるようになっています。
もう一方の犬は何をしても電気刺激が止められません。同じ回数刺激を繰り返し、翌日2匹を床に電気が流れる部屋に連れて行きます。
少しジャンプすれば電気のこない床に飛び移れるのですが、前日に電気刺激を止めるすべを与えられなかった犬は飛び移らず、与えられた犬は飛び移りました。
このように何をしても無駄だという感覚が染み付いてしまうと行動できません。

私たちがこうした無力感に打ち勝つためには自己効力感が重要です。自己効力感とは「自分が行動することで周りを変えれる」という感覚のことをいいます。自己効力感があると困難なことがあっても成長して乗り越えられると思います。一方、自己効力感が低いと困難なことがあるとどうやっても乗り越えられないと諦めてしまいます。

こうした成長できるという感覚はストレスを軽減して力に変えることもできるとされています。

ストレスに対する反応

成長できるという感覚はストレスに対しても異なる反応をします。人はストレスに晒されるとコルチゾールとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)が分泌されます。コルチゾールは血圧や血糖を高め、免疫力の低下を引き起こすのに対し、DHEAは鬱や心疾患、パーキンソン病、肥満などを軽減することが知られています。マクゴニガルの研究によると成長型のマインドセットの人がストレスに晒された時にはコルチゾールよりもDHEAの方が高くなり健康被害よりも健康にメリットがあるとしている。

一流と言われるアスリートにも成長しできるという感覚を持っている人が多く、ストレスを取り除かなければならないものとして認識するのではなく、能力を発揮するために助けになるものと認識しています。

ちなみに、自己効力感を高めるためには小さい成功を積み重ねることが効果的ということが分かっています。自己効力感やストレスの反応の仕方に興味のある人は以前の記事を参考にしてください。

自己効力感とは?成功に必要な挑戦し続けるメンタルを作る方法

【科学的に解説】ストレスを軽減して力に変えるたった1つの思考法。

GRITの測定方法

GRITは情熱と粘り強さの2つで構成されています。

次の質問に「全く当てはまらない」から「非常に当てはまる」まで1〜5点の5段階で評価してください。

  1. 新しいアイディアが出てくるとそちらに気を取られてしまう
  2. 目標を設定しても別の目標に乗り変えることが多い
  3. 何ヶ月もかかることに集中して取り組むことができない
  4. 興味の対象が毎年変わる
  5. アイディアやプロジェクトに夢中になっても興味を無くしてしまう
  6. 挫折しても簡単には諦めない
  7. 私は努力家だ
  8. 一度始めたことは必ずやり遂げる
  9. 私は勤勉で諦めない
  10. 重要な課題を克服するために挫折を乗り越えたことがある

1〜5の質問は情熱で6〜10の質問は粘り強さに関係する質問です。点数の平均を出してください。

次に下記の表を使ってスコアに対するパーセンテージを確認します。もし、粘り強さのスコアが3.3だった場合には普通の人よりも粘り強さが高い可能性が30%ということになります。

パーセント スコア
10% 2.5
20% 3.0
30% 3.3
40% 3.5
50% 3.8
パーセント スコア
60% 3.9
70% 4.1
80 4.3
90% 4.5
95% 4.7
99% 4.9

これにより情熱と粘り強さ、それぞれを足して計算されるGRITをもとめることも出来ます。簡単に行いたい方はこちらのページから測定できます。

まとめ

今回は成功するためにはGRITとは何か?どうやって高めればいいのか?という話を紹介しました。

ただやり抜けばいい、目標を達成すればいい、というわけではないことに注意しましょう。正しくGRITを高めることで人生で成功を収めることができます。

参考文献
PEAK PERFORMANCE 最強の成長術
・やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

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