体内時計とは~一日を生産的に過ごすために

体内時計とは~一日を生産的に過ごすために

体内時計とは何でしょうか?
➡︎体に組み込まれている一日の活動周期の事です。

私たちの寝たり起きたりという行動は体に備わっている生理的周期の影響を受けています。今回はこの体内時計がどのようにして作られるのか、どんな影響を与えるのかについて紹介します。

体内時計とは~一日を生産的に過ごすために

体内時計の役割とは

➡︎明確な答えは分かっていません。ただ、一日中ずっと活動的でいるよりもメリハリをつけた方が無駄なエネルギーを減らし効率よく活動できるという説があります。

私たちの体には活動に適した時間と休憩に適した時間がると考えられています。
例えば、9時から12時まで16時から20時までというのは交感神経が優位になり頭の回転が速くなり活動的になります。一方、食事の後や23時から翌日の5時までは副交感神経を優位にして脳を休ませたり、食べたものを消化するために活動的でなくなります。

しかし、体内時計は人によって差があり、全員が同じというわけではありません。もちろん、遺伝もありますが生活環境によっても変わってきます。

では、何が体内時計を決めているのでしょうか?

何が体内時計を制御しているのか?

➡︎睡眠、食事、日光によって体内時計が調整されるとされています。

睡眠

ベルギーのリエージュ大学が33人を対象に行った研究によると42時間活動して睡眠をとった場合、翌日の作業のパフォーマンスが落ちていたようです(R)。難しいタスクではなく、信号に反応してボタンを押すような簡単なタスクのパフォーマンスが落ちていたようです。

また、体内時計をつかさどるメラトニンというホルモン分泌や脳の皮質の活動が不安定になるという結果も得られています。

食事

アメリカのカリフォルニア大学によって行われた研究によるとグルココルチコイドが遺伝子の発現パターンを変え、体内時計の制御していることが分かりました(R)。グルココルチコイドは肝臓で貯めた糖をエネルギーとして使える形に変換する機能を持っています。食事をとらないでいるとエネルギーが足りなくなりグルココルチコイドが作られ、体内時計を狂わせると考えられます。

そのため、決まった時間に食事を取ることが重要と言うことも言われています(R)。

日光

日光の刺激は目から脳に伝えられ体内時計を調整します。昔は日光の入らない部屋で生活すると25時間の周期になるという研究が報告されていましたが、最近では24時間と数十分だという説が強くなっているそうです。どちらにせよ光の刺激による分子メカニズムも明らかになってきているので影響はあると思います。

光の刺激がどのように体内時計を調整しているかについてはいくつかの経路がわかっています。そのうちの1つには光により過酸化水素が作られシグナルが伝わると言うものがあります(R)。


この3つが崩れてしまって体調が悪くなったと言う人もいるのではないでしょうか?では、体内時計が崩れた場合にどのような影響が出るのでしょうか?

体内時計の影響

体内時計が乱れると血圧や血糖値、ホルモン分泌、免疫力の低下などが引き起こされ様々な病気の原因となります。

例えば、
・糖尿病
・肥満
・がん
・睡眠障害
・鬱病
・タバコやアルコールへの依存促進
・心臓病

などが考えられています。

また、症状としては
・倦怠感
・集中力の低下
・食欲不振
・不眠

などが考えられます。

徹夜で努力しても効果が出ないという経験したことがあるのではないでしょうか。徹夜によりその時の仕事は進むかもしれませんが、その代わりに数日から1週間で見た時の生産性が低下します。一度体内時計が乱れると元に戻すのに何日間もかかるということも知られています。

体内時計を一定にするためにどうすればいいのか?

➡︎一番いいのは規則正しい生活をすることです。

今まで見たように不規則な生活をするため体内でのホルモン分泌が変わり体内時計が壊れてしまいます。良質な睡眠と食事、運動ができれば体内時計が壊れません。

規則正しい生活をするためのポイントを下記にまとめておきます。

・休日も含め決まった時間に起きる
・起きてから15分から30分日の光を浴びる
・決まった時間より早くても眠たいときには寝る
・生活リズムを変えないといけない場合は徐々に変えていく(1週間に15分程度ずらしていくなど)
・寝る前の1~2時間はテレビやパソコン、スマホを見ない
・夜の睡眠のために昼に寝すぎない
・寝る前の4~6時間はアルコールやカフェインを取らない
・決まった時間にバランスの取れた食事をする。

こうしたポイントに気をつけることで体内時計が正確に動くようになり、一日の生産性が高まります。
昼食の前が一番思考力が高まることや12時から16時の間は集中力が低下すること、午後3時~6時の間で活動的になることが知られていますので適したタスクを行うようにしましょう。

まとめ

今回は規則正しく生活することの大切さについて体内時計の面から見てきました。体内時計の研究は進んできて細胞単位での影響も分かってきています。こうした研究は海外旅行をする人の時差ぼけを予防することにも応用されています。

例えば、機内食のタイミングはこうした知見が基になっているそうです。そのため、機内食は出されたタイミングで食べることや現地の時間を考えて機内で寝たり映画を見たりなどの過ごし方を考えると効果的です。
また、現地についたときには現地の時間に合わせて行動し、日光を浴びるようにしましょう。

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