【徹底解説】幹細胞コスメの効果とは?安全性についても紹介します。

幹細胞コスメが効く理由
この記事はこんな悩みを解決します
  • 幹細胞コスメに付いて詳しく知りたい
  • 幹細胞コスメは他の化粧品と何が違うの?
  • 安全性に問題はないの?

最近、噂になっている幹細胞コスメというものを知っていますか?肌の細胞を活性化するという新しいアプローチのため、従来の化粧品よりも有益な効果が期待されています。今回は幹細胞コスメが従来の化粧品と何が違うのか、どうしてそのような違いが出るのか解説していきます。

この記事を読むことで幹細胞コスメについて詳しく知ることが出来ます。

【徹底解説】幹細胞コスメの効果とは?安全性についても紹介します。

幹細胞コスメが注目されている理由は今までの化粧品とはシミやしわに対してのアプローチの方法が違うからです。

従来の化粧品は紫外線や乾燥などのダメージから肌を守るという考え方でできています。コラーゲンやヒアルロン酸を配合することによって肌のダメージを緩和するという考え方でした。一方、幹細胞コスメは肌の細胞を活性化するという考え方からできています。細胞の代謝を促進し、シミやしわの原因になっている細胞の入れ替えを早くすることで本来の機能を取り戻すという考え方です。

つまり、今までの化粧品が対処療法だったのに対し、幹細胞コスメは根本的治療というわけです。

幹細胞とは?

幹細胞とは神経や筋肉などになる能力を持った細胞のことを言います。様々な機能の細胞に枝分かれできることから幹細胞という名前がついています。

幹細胞と聞いて再生医療を思い浮かべた方もいるのではないでしょうか?iPS細胞で網膜の再生などに取り組んでいますよね。自分では本来の機能に戻せないため、幹細胞を移植することで本来の機能を取り戻すという考え方です。

幹細胞コスメも考え方は同じです。シミやしわができてしまった肌に幹細胞から放出された成分を加え、本来の肌を取り戻すという考え方です。そのため、幹細胞を培養し、培養液にでてきた成分を化粧品として利用していきます。

培養上清とは?

培養上清とは細胞を培養した後の培地成分です。この培養上清に細胞が放出した有用成分が含まれています。

培養とは細胞を増殖させることです。体内から取り出しただけでは数が足りないので体外で細胞を増やすという作業を行います。その際、細胞の栄養となるものが培地です。

これを体温に近い37℃で保つことで細胞が増殖します。増殖する際に、細胞は成長因子とよばれるたんぱく質や細胞外マトリックスというものを放出して、細胞同士で互いにコミニケーションを取ります。この成長因子や細胞外マトリックスが細胞の活性化を促進する有用成分となります。

実際に上清を使って皮膚の治療をしようという研究もおこなわれているので紹介します。

上清を使った治療

皮膚の活性化を測る方法としてマウスの皮膚を傷つけてその傷が治る速さを見るという方法がとられています。

中国のMeirong Liが行った実験によると幹細胞の上清を塗ると傷口の治りが速くなるという結果が出ています(R)。また、上清を塗ることで肌のコラーゲン3の割合が高くなるという結果も出ています。

ちなみに、コラーゲンには網目状の構造を作り、肌のハリや弾力を向上させるという機能があります。その中でも、コラーゲン3というのは赤ちゃんの肌に多く見られ、大人の肌で多いコラーゲン1よりも網目構造を作りやすいとされています。そのため、赤ちゃんのようなハリと弾力が取り戻せるとされています。

コラーゲンが増加する理由として、培養上清に含まれるTGFb3(Transforming growth factor3)という因子が効果があるということも分かっています。TGFb3は皮膚の細胞を活性化することが知られており、これも赤ちゃんの肌で多く作られているとされています。

つまり、培養上清には肌の細胞に赤ちゃんの時のような本来の機能を取り戻させる効果があるということです。

さらに、幹細胞はコラーゲンやヒアルロン酸など細胞外マトリックスと呼ばれる、以前から肌に有効だと言われていた成分を放出することも分かっています。そのため、培養上清を使ったコスメは肌の保護効果もあると考えられます。

このような結果は他の論文でも紹介されており、上清を使った研究は注目を浴びています。

幹細胞コスメは美白にも効果がある

慶熙大学のEun Sung Kimが2015年に出した論文ではMSC(間葉系幹細胞)の培養上清がメラニンの抑制に効果があることが分かっています(R)。

筆者らはMSCの上清が様々な治療に利用できると考えられていることから、メラニンの合成阻害にも上清に含まれるサイトカインが効果があるのではないかと思い研究をしています。

メラニンは肌が日焼けなどで黒くなったり、シミになったりする原因として知られています。紫外線に当たることにより肌を守ろうとして作られるのですが、美容の面から見た時には嫌われています。メラニンが癌の原因になることもあるそうで、上清を使うことでメラニンの合成が抑えられるという結果を出しています。

具体的にはMat Tekという会社の出しているMelanoDermという製品を使って上清の効果を検証しています。通常は皮膚の線維芽細胞と呼ばれる細胞を使うのですが、それだと実際の皮膚と違うよね、ということで人の皮膚に近い環境を生体外で作り、研究しています。世界中の化粧品会社で使われているようで、信頼できるデータがでているようです。

この製品に特殊な試薬を振りかけることで皮膚のメラニンの合成を促します。その時にMSCの上清を使うとメラニンの合成が半分程度に抑制されるという結果が得られています。

さらに、筆者らはメラニン合成のカギとなるMITF(microphthalmia-associated transcription factor)と呼ばれる因子が上清を加えることで抑制されることを突き止めています。

なぜかわからないけど上清を加えるとメラニンが抑制されるというのではなく、細胞内でどのように作用しているのか明らかにすることで科学的な根拠が高まります。

さらに、今までの研究によりUVによる刺激を細胞がどのように認識してメラニンを蓄積するのかある程度わかっていますので、そのデータと相関が得られるのか見ています。

もう少し詳しいメカニズム

ここから先は難しい話になりますので興味のある人だけ見てください。

MITFはメラニンの合成を促進するチロシナーゼやTRP1/2(tyrosinase related protein1/2)の発現を高めることが知られています。さらに、チロシナーゼはDOPA(3,4-dihydroxyphenylalanine)をヒドロキシ化しdopaquinoneにすることでメラニンの合成を促進し、TRP1/2はその経路を強める働きがあります。

筆者らは上清を加えることでチロシナーゼの合成が阻害されているのではないかと仮定しチロシナーゼの量を測定しました。すると、上清を加えることによりチロシナーゼの量が少なくなっていることが分かりました。

また、ERKがMITFの分解を促進することが知られていましたのでERKの活性化とMITFの量を調べてみるました。その結果、上清によりERKが活性化しMITFの量が低くなっていることが分かりました。

これらの結果から上清が次のようなメカニズムで作用していると考えられます。

このようにただ上清がメラニンを作りにくくする、というだけではなく今までの知見ととの関連やメカニズムも明らかにして示していることから信頼できるデータとなっていると思います。

培養上清は育毛にも効果がある

2017年にRamya Lakshmi Rajendranによって書かれた論文では、細胞から放出されるエキソソームを使うことで毛髪が生えてくるようになる、というデータが出ています(R)。ちなみに、エキソソームとは細胞から分泌される50~150nm程度の球状の粒子で、様々な成長因子を含んでおり、培養上清の品質に大きく影響するとされています。

髪はホルモンのバランスや栄養失調、抗がん剤治療などで失われてしまうことがあります。著者はこうした毛髪の悩みに対しても培養上清が効果的ではないかということで実験を行っています。

以前から毛根の下にある乳頭細胞と言われる細胞を活性化すれば髪が生えてくるようになるのではないかと言われいました。そのため、著者たちは生体外で乳頭細胞を培養しているところにエキソソームを加えてどのような反応が観れるか検討しました。

その結果、エキソソームを加えることにより乳頭細胞の増殖が活発になることが分かりました。(ちなみに、細胞の増殖に関わるとされているAKTやERKの活性化も確認しています。)

また、VEGFやIGFなどの髪の再生に必要だと言われている成長因子を乳頭細胞が発現するようになるなどポジティブな結果が得られました。

では、マウスの背中の毛が生えるようになるのか?ということでマウスの背中の毛を取り除いた後にエキソソームを塗ってみました。その結果、何も処理していないものよりも毛が生えてくることが分かりました。ただ、一般的に使われているミノキシジルという成分と同程度という結果でした。(ミノキシジルは日本ではロゲインという名前で売られているみたいです。)

また、エキソソームで処理した細胞とミノキシジルで処理した細胞でWntと呼ばれる髪の再生に必要とされている成長因子の発現が上がっていることも確認できました。

この結果から細胞上清が髪の再生に役立つ可能性が見えてきました。

ただし、これから投与方法やタイミング、投与量など様々な条件を試していく必要なあるとしています。この論文では物理的に毛を抜いているため、抗がん剤治療のようなメカニズムで髪が抜けた場合に効果があるのかは分かりません。

それでも、乳頭細胞を上清が活性化するという結論は変わらず、効果がある可能性が高いです。上清をシャンプーに混ぜたものとかがあるみたいなので興味のある人は使って見てください。

幹細胞コスメは安全なのか?

幹細胞コスメの効果について様々な文献を紹介しました。効果はありそうですが、安全性は大丈夫なの?と疑問を感じる人もいると思います。そこで、安全性をどのように守っているのかについて紹介していきます。

化粧品GMP(ISO22716)

化粧品を製造するときには化粧品GMP(ISO22716)というものを順守するよう求められています。これが一番重要な規制です。

GMPとはGood Manufacturing Practiceのことで生産における人的なミスを防止すると同時に高い品質を保証するシステムの事です。ISOとはInternational Organization for Standard のことで、製品の安全性を保障するために世界的に統一されている規格です。

ISOの後の数字が変わることで保証する分野が変わっています。化粧品におけるGMPがISO22716という解釈になります。これを順守することにより内部統制や顧客のクレームへの対応、製品の安全性が担保できるとされています。

化粧品GMPは次の4つから構成されています。

化粧品GMP
  • 薬事法
  • ISO9001
  • 法令や地方自治体の条例
  • 自主基準の化粧品GMP

これらについて詳しく見ていきましょう。

薬事法

薬事法とは品質や安全性、有効性を保つために必要な規制を行い、保健衛生の向上を測る法律です。

薬事法により構造設備や機器の設置状況などが決められています。化粧品を製造する際には余計な菌やほこりが入らないような環境を整備する必要がありますし、設置した機器が正常に作動するようにしなければならないからです。

例えば、幹細胞が化粧品の中に残らないように遠心分離機やフィルターを使うのですが、そうした機械が正常に作用して商品の品質を担保している、ということを証明しなければなりません。

ISO9001

ISO9001とは顧客のニーズを満たす仕組みづくりを通して品質を高めていく運営を保証するものです。

ISO9001では従業員の教育訓練や機器の点検、苦情処理、内部監査の要求を満たさなければなりません。訓練された従業員が製造していること、日々点検されている機器で製造していること、苦情に対する対処方法、内部監査を通過したということ、などを示さなければ品質が保証できないからです。品質が守られることにより顧客のニーズを満たせるとしています。

法令や地方自治体の条例

法令や地方自治体の条例では製造する際の水質や廃棄物の処理方法について決められたルールに従うことを要求されています。一企業ではどうにでもできない水質の基準や廃棄物を適切に処理することで、環境に被害を出さないことが求められます。

自主基準の化粧品GMP

自主基準の化粧品GMPでは原料及び包装材料、生産、最終製品、品質管理試験、逸脱、変更管理の方法を明確にすることが求められています。

原材料が製造のたびに変わっていないかや製品の規格に基づいて生産され出荷されているか、もし変更しなければならない場合の手順が明確になっているかなどです。これにより、安定した製品を責任をもって製造していますよ、という証明ができます。

さらに組織の構造を明らかにすることや、製造班と品質班が独立していますよ、という組織図も明確に示さなければなりません。

化粧品GMPは企業の信頼性を高める

上記で紹介した化粧品GMPは企業の手間を増やして作業効率を悪くするだけではありません。

企業としても化粧品GMPを取得することで利害関係者へのGMP適合の証明になり、顧客からの信頼性の向上、法定点検の準備、製造業務の効率化、リコール減少、世界への進出の促進などのメリットがあります。

化粧品GMPはあくまでも自発的なものであるためすべての企業がこの基準を満たしているかは分かりません。しかし、最低限は法令によって強制力を持って定められていますので安全上は問題ありません。気になってる方は初回特別値段のものもありますので一度試してみるといいと思います。

幹細胞コスメの注意点

幹細胞コスメには植物由来の細胞を使ったものもあります。これもヒト由来幹細胞と同じ効果が見込めそうですが、実は全くの別物です。

重要なポイントである培養上清に放出される成長因子が根本的に違うからです。人の細胞は人の成長因子しか受け付けません。そのため、植物由来の成分を人の肌に使ったとしても細胞は活性化しません。人の細胞には効果がないでしょう。

つまり、植物幹細胞のコスメはヒト由来の幹細胞コスメとは全くの別物、ということです。この点は注意して商品を買うようにしましょう。

まとめ

今回は幹細胞コスメの有益性について解説しました。幹細胞コスメには今までの製品にはない可能性があると思いますが、大事なのは実際に使ってみてどうかです。

有益だと考えられるものが色々含まれていますが、自分の肌に合うかは分かりません。なぜなら、幹細胞の種類や培養の条件で成分や各成分の量が変わってきますし、人には個性があるように自分の細胞が他の人と同じように反応するかは分からないからです。

ただ、気に入った化粧品がないという方や今の化粧品だと不満という方は一度試してみる価値はあると思います。

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