説得力のある話し方〜ストーリーで伝える4つの利点〜

説得力のある話し方〜ストーリーで伝える

相手に説得力を持って話すためにはどうしたらいいのでしょうか?
➡︎データではなくストーリーで話すようにしましょう。

人は理性的に考えられない生き物です。事実を並べ立てても本当か疑いリスクだけを考えてしまいます。何を語るかではなく誰がどんな風に語るかが大切です。今回はプロフェッショナルは「ストーリー」で伝えるを参考にストーリーで話す効果について紹介します。

説得力のある話し方〜ストーリーで伝える4つの利点〜

ストーリーで伝えることによって聞き手に重要なテーマについて意識させ理解を促進します。

例えば、Macbookを売り込む時に通信速度がどれぐらいでCPUに何を使っている、といったデータの話をしても買ってはくれないと思います。

それよりか、Macbookは動きがとても早いので社員もストレスなくデータのやり取りができて生産性が20%上昇しました。という方がMacbookの操作のしやすさが伝わり買って見たくなると思います。

なぜこうした効果が得られるのでしょうか?

記憶に定着しやすい

ストーリーで伝えることによって情緒的、感覚的描写が加わり共感を感じやすくなります。これにより話の内容が自分自身のことのように捉えられ記憶に定着します。

実際に最近見た映画を思い浮かべて見てください。かなりの情報を思い出せるのではないでしょうか?単なる事実だけでなく、主人公やヒロインの感情も一緒に覚えているため多くの情報を引き出すことができます。

客観的なデータを理解させる

正義や誠実さといった概念は複雑なので法律や統計だけでは表現できません。ストーリーを使うことによって客観的な事実に「いつ」、「誰が」、「どこで」といった情報が加わることによって真理を表現することができるようになります。

また、ストーリーは無理やり押し付けられる事実とは異なり自分で考える余地を与えてくれます。もしかしたら〜じゃないかな、と考える余地があることで抵抗感を無くして柔軟に相手に伝わっていきます。

苦しみに意義を与える

ストーリーは成功までの道筋を表すことができ、今の苦しみを意味のあるものだと教えてくれます。未来の成功をデータで予言されるよりも、他の苦労して成功した人のストーリーを聞いた方が自分もこれから成功できると信じやすくなります。

相手にふさわしいストーリーを提示して納得させることができれば今の苦痛を有意義なものとして受け入れさらに努力できるようになります。

新しい視点を与える

ストーリーは必ずある視点から語られます。そのため、ストーリーは語り手の視点を共有させる効果もあります。ストーリーを聞いた人は新たな視点から物事を考えることができるようになり、行動も変わっていきます。

客観的な事実も物事の考え方を広げてくれますが、実例を示してもらわないとなかなか新しい視点で物事を考えられません。考えることが広すぎて脳が処理しきれず諦めてしまうからです。この点、ストーリーが具体的な視点を示すので自分の考えとミックスしやすくなります。


ストーリーで伝える利点が分かったところでどんなストーリーが効果的なのか見ていきましょう。

効果的な4つのストーリーとは?

4つのストーリーが効果的だとされています。

  • 自分が何者か?
  • なぜこの場にいるのか?
  • 価値観を具体化する
  • あなたの言いたいことは分かっている

自分が何者か?

人はあなたが何者か知りたがっています。前提として人の心理には「相手は自分の利益のために何かを話している」という無意識の想定があります。そのため、信用できる人でなければ話を聞いても納得できません。

1999年に行われたニューヨーク・タイムズとCBSの共同世論調査では63%の人が「慎重に振舞っても慎重すぎることはない」と答え、37%の人は「チャンスさえあれば自分を食い物にしようとする人がほとんどだ」と考えていました。

自分の人生でのストーリーや寓話や歴史上の逸話を話すことで自己犠牲の精神を理解していると認識されれば思いやりから行動する人だと信頼してもらえます。

なぜこの場にいるのか?

自分の信頼が得られたとしてもこの場にいる適切な理由がなければこちらの協力を引き出そうとしているのではないかという疑問が出てきます。この疑問に答えられなければ相手の方が得するに違いないと判断されます。

自分のメリットを偽っても逆効果になるだけです。聴衆は相手が利己的な目的を持っていても気にしません。自分が不当にカモにされていないか、相手の目指すゴールが納得のいくものかどうかを気にしています。

価値観を具体化する

聴衆は相手の人間性や動機について理解したところで安心して自分のメリットについて聞く準備ができます。

自分の視点ではなく相手の視点に立ったストーリーを聞かせることで聞き手の頭の中に具体的なイメージが形成され心に響くようになります。相手のメリットでなくても誰がどんな利益をどんな風に得られるのか聞くと価値観が具体化され賛同が得られる様になります。

価値観の具体化はスキルを学ぶ時にも役立ちます。何の役に立つのかわからないまま学ぶよりも「〜できる様になると〜が喜んでくれる」と伝えることで新しいスキルが自分にとって意味のあるものだと感じられる様になります。また、ストーリーを使うことによって複雑な事を分かりやすく伝えられる様になり、どんな時に役立つか聞き手に考えさせることが出来ます。

あなたの言いたいことは分かっている

ストーリーを用いれば考えられる反発についても先回りして語ることができ、相手の警戒心を和らげることが出来ます。自分から想定される反論を語ることによって自分の主張を客観的に判断していると印象付けます。

ストーリーはどうしても主観的になってしまうので反対のストーリーを用いて分析するとより説得力が高まります。

伝える時の4つのポイント

メッセージの85% は言葉以外から伝わると言われています。

そのため、一貫したメッセージを言葉以外の方法で示し続けなければなりません。

下記に伝え方のテクニックを紹介しますが、一度に全てをやろうとはせずに人つづ練習していきましょう。

身振り手振り

身振り手振りはストーリーを分かりやすくし、メッセージを強めることもできます。ストーリーを話しながら状況をイメージし、登場人物がそこにいるかの様に振る舞うと聴衆はストーリーを疑似体験した様になります。

こうした方法にマニュアルの様なものはありません。人によって捉え方が異なるため、本物の様に振る舞うことが重要です。そのため、画一的な方法を覚えるのではなく、その時の感情を大切にして練習を積み重ねるしかありません。

表情

人は表情から感情を読み取ろうとしています。そのストーリーに適した表情をすることで笑いをとったり、登場人物の感情を鮮明に伝えることが出来ます。

ポール・エクマンによると楽しみ、怒り、軽蔑、嫌悪、悲しみの表情は世界のどんな文化でも共通している様です。このことからも、コミニケーションをとる時に表情を読み取ることがどんなに大事だったかが分かります。

表情は意識的に作ることも出来ますが、自然と発生するものです。もし、自分の話に不安や疑いを持っているのであるばスピーチをしない方が良いでしょう。

沈黙とタイミング

ストーリーの途中で沈黙が入ると聴衆に考える時間を与えることが出来ます。オチを言う前に沈黙をとることでオチを考えさせ笑いが取れます。また、悲しい話や怒った話の途中で沈黙が入ると感情的、感覚的要素を増幅させることも出来ます。

この沈黙は適切なタイミングで取ることが大切です。適切でない場合は逆効果になる場合もあるので気をつけましょう。

声のトーン

声のトーンはストーリーのシーンを明確にし登場人物の感情を伝えます。身振り手振りと同じで重要なのは作り込んだトーンではなく自然と発生したトーンであることです。俳優の演技が上手いとその映像に惹きつけられる様に適したトーンでないと聴衆の気持ちを引きつけることが出来ません。

まとめ

今回はストーリーで話す利点とどんなストーリーをどのように伝えればいいのか紹介しました。
事実だけを聞くよりもストーリーで聞いた方が説得力を感じます。TEDなどを見てもストーリーで話している人が多く、ストーリーの力は本物だと感じています。

会社のプレゼンや顧客との対話でもストーリーで話すようにすると細かいニュアンスまで伝わりそうですね。なぜ、そのプロジェクトをしなければならないのか、なぜその商品をオススメするのか、データだけでなくストーリーを一緒に話すと良い結果が出るかもしれません。

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