ジョブ理論に基づいた組織づくりの3つのメリット

ジョブ理論に基づいた組織づくりの3つのメリット

会社の組織体制は適切だと言えますか?

ジョブ理論に従うことで適切な組織を作ることができます。


今回はジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)を参考にジョブ理論による組織づくりのメリットついて紹介します。

ジョブ理論に基づいた組織づくりの3つのメリット

ジョブ理論とは顧客が商品から得られる体験を調査する事で顧客が抱えている問題(ジョブ)の深いところまで理解し、イノベーションを起こせる様になるという理論です。

なぜ、消費者が他社ではなく自社の製品を購入するのか理解するとよりより良いサービスが提供できますよね。

詳しくは下記の記事で確認してください。

この理論を組織で徹底する事で3つのメリットが得られます。

  • 明確な目的を共有し意思決定を分散できる
  • 社員のやる気を引き出し挑戦できる文化ができる
  • 顧客の進歩、社員の貢献など会社にとって重要なことが測定できる

明確な目的を共有し意思決定を分散できる

顧客のジョブを中心に考える事で会社の目的が明確に定まります。

これにより、細かいコミニケーションが必要なくなり個人がその場で判断できる体制が作れます。

例えば、乳酸菌を含んだ製品を開発している時に風味や味を高める可能性がある菌と体の健康を高める可能性がある菌が見つかったとします。
その場合、会社が「乳酸菌によって健康な生活を送ってもらう」という理念を掲げてたとしたら、迷わず後者の菌の研究を進めよう、と意思決定ができます。

この様にいちいち上司に相談する事なくその場で判断できるため、仕事が進みやすく余計なストレスが緩和されます。

何か進捗があるたびにミーティングを開いて今後の計画を立てる、というやり方ではなかなか仕事が進みませんよね。

こうした考え方はOODAループとも似ているので参考にしてみてください。

社員のやる気を引き出し挑戦できる文化ができる

ジョブを中心にする事で社員のやる気もアップします。

上司の意思決定の元にあるジョブが共有されているため、指示の意図が説明なしに理解できます。

上司は現場のことがわからない場合が多く、指示をしても適切でないことが多々あります。そのため、ジョブを共有しておくことで部下は上司の意図を汲み取り仕事を進めることができます。

また、部下は一定の法則に基づいて指示されていると納得して仕事ができるためストレスがたまりにくくなります。指示の意図がわからないと上司の気分や趣味で指示されてるのではないかと疑ってしまい不満が溜まりますよね。

細かな意図をその都度説明するのは不効率なのでジョブを共有しておきましょう。

さらに、ジョブが中心にあることで部下からもアイディアを提案しやすくなります。

顧客の利益のためにアイディアを練るのは楽しい作業です。何のために新しいアイディアを考えればいいのかわからない状況ではクリエイティブな発想はできないでしょう。

顧客の進歩、社員の貢献など会社にとって重要なことが測定できる

ジョブを中心にする事で何を測定すればいいかが明確になります。

現代はビッグデータのように様々なデータで溢れています。しかし、ジョブを中心にする事でその中の何が重要なデータなのかがわかります。

アマゾンは豊富な品揃えと低価格、迅速な配送の3つを毎分モニタリングしています。例えば、自動検索エンジンのロボットを構築しネット上に自社より安い商品が見つかるとアマゾンの商品の値段が下がる様に設定されています。

また、顧客のジョブに貢献した社員を数ヶ月ごとに表彰しているため、評価の基準が焦点がぶれる事なく明確に伝わる様になっています。

ジョブに集中できなくする3つの誤謬

ジョブを中心に組織を作る事で上記の様なメリットがあるのですが、徹底できる組織は少ないです。

その理由として3つの誤謬が挙げられています。

  • 能動的データと受動的データの誤謬
  • 見せかけ上の成長の誤謬
  • 確証データの誤謬

詳しく説明していきます。

能動的データと受動的データの誤謬

能動的データとは商品の売れ行きや原材料の値段などすぐに数値に現れるデータのことです。

受動的データとは顧客の体験から出てくるデータではっきりした構造がないデータのことです。

もう分かる様に重要なのは受動的データです。顧客が何に困っているのかそのデータを元に商品を提供しなければなりません。

しかし、一度製品が世の中に出てしまうと能動的データに気を取られてしまいます。能動的データの方がわかりやすく、直感的に考えやすいからです。

購入履歴や投資金額、競争相手の情報など明確で追跡しやすいため危機感が煽られますよね。こうしたデータに惑わされず徹底して受動的データを集めることが重要です。

見せかけ上の成長の誤謬

見せかけ上の成長とは投資のリターンを得るために既存の顧客に多くの製品を売ろうとすることです。

少ない投資で大きなリターンが見込めますが、商品の種類を増やしたり他社製品の模倣を行うことで顧客を混乱させてしまいます。また、本来のジョブに適さない商品になってしまい顧客が離れていく原因になります。

同じ様なことが生産力や知的財産への投資でも当てはまります。

元を取ろうとしてジョブとは関係ないところが目的になってしまい、長期的にみたときに顧客を失うことになります。

確証データの誤謬

確証データとは自分に都合のいいデータのことです。

データを元に判断したつもりでも他の人から見ると自分に都合のいいデータばかりを集め、自分に都合のいい決断をした様に見えます。

データは客観できなものだ、という意見に対して著者は客観的なデータなどないと主張しています。理由はデータを作るのは人間だからです。

データを作るのが人間である以上、そこにデータをまとめた人の主観的な判断が混じると言っています。

そのため、経営陣が重要な決断をしたと思っていても実は最初から結論は出ていて、その結論のためのデータを集めただけになっているそうです。

この様な誤解があるのであれば顧客のジョブから離れてしまうのは簡単に想像できますよね。

ただ、個人的な感想としてはわずかな差の時にはこうした確証バイアスが出るのであって、明らかな時には生じないかと思います。

まとめ

今回はジョブ理論に基づいた組織づくりのメリットを紹介しました。

ジョブ理論に基づくことで会社の意図が明確になるので仕事がしやすくなります。

意図のわからない人事やミーティング、社内での決まり事など会社の中に無駄なものはたくさんある様に思います。

ジョブ理論に基づいて考え直すことで会社の業績を伸ばせるかもですね。

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