意外と身近にいるサイコパスの3つの特徴

意外と身近にいるサイコパスの3つの特徴
この記事はこんな悩みを解決します
  • サイコパスってどんな特徴があるの?
  • サイコパスが多い仕事ってあるの?
  • サイコパスの脳の仕組みが知りたい

凶悪犯の印象があるサイコパスですが、サイコパスとは倫理感を無視して合理的に判断を下せる人のことを言い、必ずしも凶悪犯とは限りません。社会的な地位の高い人にはサイコパスが多いというデータも出ています。

この記事を読むことで意外と身近にいるサイコパスの特徴がわかります。

意外と身近にいるサイコパスの3つの特徴

サイコパスの特徴として下記の特徴があります。

サイコパスの3つの特徴
  • 倫理的ジレンマに囚われない
  • 相手の感情を知覚的に認識する
  • 恐怖を感じにくい

倫理的ジレンマに囚われない

サイコパスは倫理的ジレンマにとらわれることなく理性的な判断を下せます。

ハーバード大学のジョジュア・グリーンはサイコパスがどの様にして倫理的ジレンマから抜け出すのか調査するため、下記の様な状況のときの脳の活動を測定しました。

トロッコが線路を走っていてその先に5人の人間がいます。自分がレバーを切り替えることでトロッコを別の線路にそらすことができます。しかし、そらした先には1人の人がいます。レバーを切り替えますか?

この場合、多くの人はレバーを切り替えると思います。サイコパスも通常の人と同じ脳の反応を示します。前頭前皮質や後頭頂皮質という推論や合理的思考を司る領域の活性化です。しかし、下記の場合は違います。

同じ様にトロッコが走っていてその先に5人の人間がいます。自分は崖の上からそれを見ていて、近くにトロッコを止められそうなぐらいのとてつもなく大きな男が崖の淵に立っています。あなたはその男を突き落としますか?

この場合、多くの人は男を突きとばせません。しかし、サイコパスは迷わず突きとばせます。通常の人は扁桃体と呼ばれる感情を司る領域と関連する回路が活性化するのですが、サイコパスは全く反応しません。

どうやらサイコパスは感情にとらわれることなく理性的に判断できるようです。こうした一面が知的に見える時もありサイコパスはIQが高いと言うイメージに繋がっています。

相手の感情を知覚的に認識する

倫理的ジレンマに囚われないので、サイコパスは相手の感情が認識できないのかと思ってしまいます。

しかし、実際にはサイコパスの方が相手の感情を認識しやすいことが分かっています。ただ、感情的な認識ではなく知覚的な認識のため自分の感情に直結していません。

そのため、相手の感情に共感出来ず、相手の感情を無視したかの様な振る舞いをしてしまいます。

サイコパスのこの様な特徴は色覚障害者が信号機を見るかのように例えられます。色が分からない(相手の感情に共感出来ない)状態でもどの信号で止まるかはわかる、ということです。
異常心理学者の杉浦義典も「他人を傷つけても平気な人たち」の中でサイコパスの振る舞いは国語の試験問題を解いてるものと表現しています。その人に共感するのではなく、文脈から類推して該当箇所を見つけるように行動しています。

こうした特徴があるためサイコパスは道徳心が低いと言われます。しかし、サイコパスは道徳心全てが低い訳ではありません。

道徳心の種類
  • 他人に危害を加えないようにする
  • フェアな関係を重視する
  • 共同体への帰属、忠誠
  • 権威を尊重する
  • 神聖さ、清純さを大切に思う

バージニア大学のジョナサン・ハイトの研究ではサイコパスは「他人に危害を加えないようにする」と「フェアな関係を重視する」のスコアが極端に低かったことが分かっています。

しかし、他の3つの道徳心については意外と高いと言う結果になっていました。

サイコパスは道徳心の一部が大きく欠落しているようですね。〇〇組のような反社会的な組織でも組織への忠誠心や権威を重視しているので当てはまっていると思います。

恐怖を感じにくい

サイコパスは恐怖に鈍感ということも分かっています。

サイコパスは恐怖に鈍感

ストーニー・ブルック大学のリリアン・ムジカ=パローディは恐怖が伝染するかどうかの研究を行いました。
汗に含まれる成分が恐怖を伝染することが分かっており、スカイダイビングなどの大きな恐怖を感じた人の汗と運動によって出た汗を被験者に嗅がせ、脳の活動を測定しました。
通常の人は恐怖を感じた人の汗を嗅ぐことで扁桃体や視床下部といった恐怖を司る部分が反応していたのに対し、サイコパスは全く反応しませんでした。

実際にサイコパスは恐怖を感じた人の汗を嗅いでもリスクをとることがも分かっています。

恐怖を感じにくいのでリスクも取れるってことですね。

サイコパスは心拍数が低い

心拍数とサイコパスの関連も研究されています。1997年にケンブリッジ大学で行われた研究では心拍数の低い子供が10歳以前に親と別離すると成人後の暴力犯罪が多いことが分かっています。
この理由として心拍数がモラルに反する行動をするときの抑止力として働いていることが考えられています。実際に香港大学で行われた研究では赤信号を無視する人は心拍数が低いと言う結果が得られています。

サイコパスだから悪人という訳ではない

サイコパスは全員危険な犯罪者という訳ではありません。

サリー大学のベリンダ・ボードらが行なった研究ではいくつかのサイコパス的な特性が精神障害のある犯罪者よりも企業のリーダーの方で多く見られました。

サイコパス的な特性とは表面的魅力、自己中心性、説得力、教官の欠如、独立心、一点集中力です。

では、なぜ凶悪犯にサイコパスが多いのでしょうか?

何がサイコパスを危険な犯罪者にしているのか

サイコパスを危険な犯罪者にする性質
  • 衝動性
  • 無責任

こうした要因にサイコパスの反社会的な側面が加わると聞くだけでも不快になるような非倫理的な犯罪をします。そのため、サイコパスが全員悪人かの様な印象を与えます。

という訳で、こうした性質がなければサイコパスでも社会にとって有益な存在になれます。

なぜ、反社会的なサイコパスが生まれるのか?

ドイツのアーヘン工科大学の研究では反社会的なサイコパスは背外側前頭前皮質が薄いと言うことが報告されています。
背外側前頭前皮質とは「行動の抑制」や「条件づけ」、「自省」などを担っている領域です。
この領域が発達してないと行き当たりばったりの行動が増え、この行動をしたらゆくゆく不利益を被ると言う考えができなくなります。

サイコパスであっても背外側前頭前皮質を鍛えることで社会に利益を与えられるリーダーになれる、と言うことですね。

サイコパスは治療できるのか?

1960年代にカナダの精神科医がサイコパスを治療できるのか実験を行なっています。

相手に共感するためのプログラムを行なったのですがサイコパスの性質はむしろ悪化したようです。

なぜこのような結果になったのかについて、サイコパスは治療プログラムの中でいかに演じれば人を騙せるかを学んだから、とされています。

サイコパスは治療できない?

アメリカの犯罪学者のロバート・マーティンソンはサイコパスに対して行われた200以上の治療をレビューし、サイコパスには何をしても治療できないと結論づけています。

ただ、効果的なプログラムも中にはあるという反論もあります。
性格や表面上の行動を変えようとしても効果はなく、暴力や破壊行為に直接結びつく要因に標準を定めることで効果が出るとしています。

サイコパスの治療に有効と思われるプログラム 

  • 薬物やアルコールの乱用を防止する
  • モデルとなる人の行動を観察させこれまでの不適切な行動を修正させる
  • 治療への参加を促すための動機付けや面接か含まれた振る舞いを変えるためのプログラム

サイコパスの性質は変えられないけど悪質な行動を変えることはできるようですね。

サイコパスが多い仕事、少ない仕事

サイコパスの性質を持った人は多い職業というのも分かっています。

サイコパスの多い仕事
  • CEO
  • 弁護士
  • マスコミ
  • セールス
  • 外科医
  • ジャーナリスト
  • 警官
  • 聖職者
  • シェフ
  • 公務員
サイコパスが少ない仕事
  • 介護士
  • 看護師
  • 療法士
  • 技術者
  • 美容師
  • ボランティア
  • 教師
  • アーティスト
  • 内科医
  • 会計士

なぜ職業によってサイコパスが多い職業と少ない職業があるのかについて
・リスクをとる仕事か
・交渉をする仕事か

というポイントがあるようです。

この2つのポイントを満たす仕事はサイコパスが出世しやすい仕事のようです。

リスクをとる仕事

サイコパスは起業家やトレーダーの様なリスクを取らなければならない仕事に向いています。

感情の機能が正常でないと論理的になる

スタンフォード大学とカーネギーメロン大学、アイオワ大学が共同で行なった研究では感情機能が正常でない方が理論的に正しい行動ができることが分かりました。
毎回リスクを取った方が勝つ可能性が高くなる賭けを行うのですが、感情が正常に機能しているとゲームが進むにつれ賭けることをためらいがちになるそうです。
一方、感情を司る領域に障害を持っている参加者はゲームが進んでも賭け続け、他の人よりも儲けを出していました。

交渉する仕事

サイコパスは企業同士の契約や顧客に物を売りつける仕事に向いています。

感情に惑わされないため、合理的な説明が得意です。また、相手の弱点を見つけるのが得意でその弱点を使って自分の利益に変えます。

サイコパスは表情を作るのがうまい

スティーブン・ポーターによる研究ではサイコパスは表情を作るのがとてもうまいことが分かりました。
サイコパスは悲しい写真を見て楽しそうなふりをしたり、楽しい写真を見て悲しいふりをするのが上手いので相手に良い印象を持たせることが出来ます。

サイコパスは感情を読み取るのがうまい

アメリカの国立精神衛生研究所ではサイコパスが相手の目から感情を読み取る能力が高いことが分かっています。一般の人の正答率が30%なのに対し、サイコパスの正答率は70%でした。

サイコパスは相手に共感はできなくても感情を読み取る能力は高いようです。そして、この能力は交渉の時に大きな武器になります。

まとめ

今回はサイコパスの特徴について紹介しました。

サイコパスで反社会的な面も持っていると恐ろしい犯罪に手を染めてしまう様です。

単にサイコパスなだけであるならば社会に有益な決定が下せるので社会に必要な人材になれます。

性格診断でサイコパスと診断されても社会不適合者という訳ではありませんので注意しましょう。

参考文献
サイコパス (文春新書)
サイコパス 秘められた能力

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