赤ちゃんの身体と精神の発達。子供の成長を左右する親の役割とは?

赤ちゃんの身体と精神の発達。子供の成長を左右する親の役割とは?
このはこんな悩みを解決します
  • 赤ちゃんの発達過程について知りたい
  • 赤ちゃんの精神はどのように発達するの?
  • 赤ちゃんの時の経験がその後の人生にどのように影響するの?

赤ちゃんの発達が遅くないか心配になりますよね。赤ちゃんがどのように発達していくとその後の人生が豊かになるのでしょうか?そのために親ができることとは何でしょうか?赤ちゃんが幸せになるために何をすればいいのか、そのヒントになることを書いていきます。

この記事を読むことで赤ちゃんの発達を促すことができるようになります。

赤ちゃんの身体と精神の発達。子供の成長を左右する親の役割とは?

赤ちゃんの成長に関して身体的な精神的な発達に関して分けて紹介していきます。どのように赤ちゃんが成長するかわかることで親の果たすべき役割が分かります。

身体的の発達

生後すぐの身体の発達はものすごく早いです。1日に30g程度増えるのでどんどん大きくなります。それに伴ってできることも増えていきますが、成長とともにそのスピードも低下していきます。では、3歳までの赤ちゃんがどのように発達して行くのか紹介していきます。ただ、個人差があるのでこの通りに発達してくれるとは限りません。これ目安に辛抱強く見守ってもらえたらと思います。

〜生後2ヶ月

生後すぐはゲップが下手だったり、吐いてしまうこともあります。体温調節が下手だったり手足がピクピクしたり寝ている時の呼吸が速かったりもします。

1ヶ月になると運動機能が発達して布団を蹴飛ばしたり元気に動きます。また、昼夜逆転することもあるので赤ちゃんの世話が大変になります。

2ヶ月になると「あー」とか「うー」のような喃語を話すようになります。積極的に話しかけることは言語能力や心の発達にも重要になります。外気浴も初めてもいいです。ベランダなどから始め、慣れてきたら外に出てみましょう。

赤ちゃんに話しかける効果

生後すぐでも赤ちゃんに話しかけることで赤ちゃんのIQが発達することが知られています。量だけでなく、言葉の種類を増やすことで赤ちゃんのIQが1.5倍になるという研究結果もあります。反応がなくても積極的に話しかけるようにしましょう。

生後2ヶ月〜生後5ヶ月

3ヶ月になると首がすわってきて抱く時に安定感が出てきます。また、睡眠も夜にまとまって寝てくれるようになり授乳のペースも安定してきます。

4ヶ月になると首が完全に座り抱く時の不安が減ってきます。また、唾液腺が発達するのでよだれで服が濡れることが多くなります。物を掴んで口に入れ始める時期にもなるので危険なものを近くに置かないように注意しましょう。

5ヶ月になると体重の増え方がゆっくりになってきます。また、上半身が安定してくるので支えがあればお座りの姿勢が取れるようになります。離乳食を始めるのもこの時期です。焦らずにゆっくりと離乳食の量を増やしていきましょう。

スキンシップの効果

赤ちゃんとのスキンシップは愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの生産を促します。親と赤ちゃんの両方で分泌され記憶力の上昇やストレスへの耐性が強くなります。「抱きグセがつく」という心配をする人もいますが、スキンシップがないことで子供が攻撃的になったり自律性が失われることが知られています。社会性や感情をコントロールする能力を高めるためにも赤ちゃんとのスキンシップが重要ですね。

生後5ヶ月〜生後8ヶ月

6ヶ月になるとお座りができるようになったり乳歯が生え始めます。お母さんからもらった抗体が減ってくるので病気にもかかりやすくなります。体調が悪そうならすぐに病院に行くようにしましょう。

7ヶ月になると夜泣きが始まります。抱っこしたりあやしたり、夫婦で協力して乗り越えましょう。また、すわった状態でおもちゃで遊ぶことができるようになったり、発達の早い子は寝返りができるようになります。

8ヶ月になると感情表現ができるようになります。抱いて欲しい時に両手を前に出して抱っこを求めるようになります。また、ハイハイができるようになる子もいます。自由に動き回るので赤ちゃんの危険になるものを置かないように気をつけましょう。

生後8ヶ月〜生後12ヶ月

9ヶ月になるとハイハイができるようになります。「バイバイ」のような簡単な言葉を理解して真似することも出来るようになります。離乳食も1日3回になりがミルクや授乳は欲しがるだけあげましょう。

10ヶ月になるとつかまり立ちが出来るようになります。5本の指で掴んでいたものを3本の指で掴むなども出来るようになります。短期記憶や予測する能力も身につき人見知りが激しくなる子供もいます。

11ヶ月になると早い子は少しづつ歩き始めます。絵本や音楽にも興味のある子供が多くなるのでシンプルなものから与えるようにしましょう。

1歳になると独り歩きが出来るようになります。また、大人の話す簡単な言葉が理解できるようになり、「わんわん」などの簡単な言葉が話せるようになります。離乳期が完了し、自分で手で掴んで物を食べたがります。こぼさずには食べられないので自由に食べさせてあげましょう。

生後1年〜生後2年

1歳半になると好奇心が旺盛になり無闇にティッシュをつまんで引き出す、などのイタズラをするようになります。積み木で遊ぶようになったり、大人の仕草を真似するようになります。いっぱい褒めてチャレンジしたくなるようにしてあげましょう。

2歳になると簡単なことを自分でやろうとするようになります。着替えたり靴を履いたりといった行動を自分でやらせてあげましょう。また、簡単なお願いを理解して聞くことができるようになります。「これを捨てといて」、「本を棚に戻して」などのお願いをうまくできた時には褒めてあげましょう。ごっこ遊びをし始めるのもこの辺りです。おもちゃやぬいぐるみを使っておままごとを始めます。

生後3年

3歳になると会話が成り立つようになります。少し長い会話も最後まで聞いてくれるので理由をつけて話すようにしましょう。赤ちゃんは「なぜ?」という疑問を無数に持っています。こうした理由がわかることで親がキッチンにいるからもうすぐご飯になるという判断ができるようになります。過去や現在との区別もつくようになるので時系列を立てて考えることもできるようになります。また、この頃になると器用な動きもできるようになります。砂場で遊んだり工作をすることで手先の器用さが発達します。箸の使い方もこのぐらいから教え始めると良いでしょう。

一番助かるのは自分でトイレの意思表示ができるようになることです。一定のリズムを作ることでトイレで用をたすことができるようになります。トイレに行けた時は褒めるようにしてあげましょう。こうした「できた」という感覚が達成感となりできることを増やしてくれます。

心理的発達

赤ちゃんは身体的な成長と同じぐらい心理的にも成長します。世の中がどの様な仕組みで動いているのかや自分をコントロールする力を学ぶことで生き抜いていく力を身に付けようとしています。赤ちゃんの心理的発達は大きく分けて下記の3つに分けられます。

赤ちゃんの心理的発達
  • 因果関係の学習
  • 注意力の学習
  • 愛着型の決定

因果関係の学習

私達が生きていく上で必要なのは行動と結果の因果関係を学ぶことです。因果関係がわからないとリスクのあることを躊躇なく行うため最悪の場合は死んでしまいます。

そのため、赤ちゃんは因果関係を理解するために様々な実験をしています。

例えば赤ちゃんに物を与えると一人で匂いを嗅いだり、叩いたり、舐めたりします。また、他人の行動をしっかり観察して結果との関係を見つけようとします。このように赤ちゃんは世界の因果関係に興味があり、因果関係を理解するマシンのように振る舞います。その結果、赤ちゃんの中に因果関係のデータベースが出来上がり生きていく上での力となります。

赤ちゃんがデータベースを蓄積している

赤ちゃんがデータベースを蓄積しているのか検証する実験として普段聞かない言葉を使った時の反応を見るという実験が行われています。例えば「あろ」のような言葉を使うと強い反応を示し、「会う」や「足」のような言葉の時には反応が弱いことが分かっています。
これは赤ちゃんの中に「あ」の次にどんな言葉が来るか予想するデータベースが出来上がっているためと考えられます。

末っ子の方が要領がいいということを聞いたことがありませんか?
実際に兄弟を対象に行なった実験では弟の方が周りの人達をよく観察し、言葉の意図を読み取って自分に足りないスキルを補おうとしていることが分かっています。
そのため、知能テスト、口頭テストでは兄の方が成績がいいのですが、心の学習については弟の方がいい成績を出します。

因果関係のデータベースは大人の私たちの生活でも無意識のうちに働いています。

例えば飛行機に1分だけ間に合わなかった人と1時間間に合わなかった人では1分だけ間に合わなかった人の方がより落胆します。結果はどちらも同じなのですが「あの時寄り道をしなかったら」という気持ちが働き、落胆の程度は異なっています。

こうした「〜していれば」と言った後悔が未来に向けた働きかけになり、豊かな未来を作り出す手助けをしています。

このことからも赤ちゃんのうちに因果関係を学ぶ能力を発達させておくことが重要だとわかります。親は赤ちゃんの自発的な行動を禁止するのではなく、自由に行動できるようにサポートしましょう。

因果関係には物質的なものと心理的なものの2種類があることが知られています。

赤ちゃんは2つの因果を学ぶことが知性を発達させているという説もあります。目に見える物質的なものと目に見えない心理的なものの因果を扱えるようになることで自分の未来を切り開く力を身につけていくことが出来ます。

物理的因果関係とは?

物理的因果関係とはナイフの先に触ると手を切る、高いところから落ちると痛い思いをするなどの物理的な因果関係のことです。

生後15ヶ月の赤ちゃんに熊手を渡すと適当に振り回したり、投げたりするだけです。しかし、少し成長した赤ちゃんではじっくりと熊手を見つめ、周囲のおもちゃを引き寄せるために使います。

これは赤ちゃんが成長するにつれて熊手がおもちゃを引き寄せる可能性を思い描くことができるようになった、ということです。

こうした因果的な思考は実生活の中で身につきます。

実際に子供に馴染みのない「何で夜になると暗くなるの?」と質問すると「みんなが寝るためだよ」といった未熟な答えが返って来るのですが、子供に馴染みのある「なんで冷蔵庫を開けたの?」や「三輪車はなんで動くの?」と言った質問には「ジュースを飲むため」や「足で漕ぐから」といった因果関係を説明して答えることができます。

このような結果から赤ちゃんにも生活の中で様々な体験をさせることが推奨されています。体験を通じて因果的思考が鍛えられ将来的に自分に都合のいい未来になるように働きかけることが出来るようになります。

心理的因果関係とは?

心理的因果関係とはお菓子が食べられて嬉しい、怒られて悲しいなど感情との因果関係を構築する能力のことです。

子供は空想の世界で友達を作って遊びます。トイ・ストーリーの世界のようにオモチャを自分の友達のように扱ったり、食べ物を食べさせたりします。

これは赤ちゃんが成長するにつれて相手の気持ちを想像して振る舞うことが出来るようになった、ということです。こうした心の因果を扱えるようになることで相手の心理を考えるのが上手になります。

例えば2歳児を対象にした実験があります。A君は箱の中のおやつを取ろうとしています。それを見ていたB君には箱の中にはクッキーかブロッコリーが入っていると伝えます。その後、B君にA君がガッカリした理由を尋ねると「ブロコリーが入っていたから」と相手の心理を読み取って合理的に答えることができます。

こうした心理的因果を考えることができることで
・社会に上手く溶け込むことができる
・自分の感情や行動をコントロールできる
・嘘が上手くなる
などのメリットが生まれます。
親は感情をはっきりと示し赤ちゃんの心理的因果関係を学ぶ機会を作ってあげましょう。

子供が空想の世界で友達を作るように大人はフィクションによって空想の世界を作り上げます。この場合、作家は今までの自分自身の経験や他人が経験した情報を蓄積したデータベースの中から因果関係を作り上げていきます。

そのため、子供のようにあらゆる可能性を見つけるための自由奔放さと大人のように規律を持ってストーリーを組み立てる両方の脳を働かせなければなりません。

こうした作業ができるのも子供の頃に様々な因果関係のデータベースを作り上げているからだと考えられます。

出生順位による能力の違い

こうした因果関係の理解は出生順位によっても影響を受けます。例えば、長男ほど因果関係の理解が早くなり知能も発達しやすいことが知られています。

Francis Galtonは出生順位と知能の関係を明らかにするため、180人の成功した科学者を調査しました。その結果、成功した科学者のうち48%が第一子であることが分かりました。

さらに、ノーベル賞の受賞者やクラシック音楽の指揮者、有名な心理学者などの特別な成果を挙げている人を調査した結果でも46%が第一子であることが分かりました。このように第一子の子の方が知能が発達しやすいと考えられます。

Lillian Belmont と Francis Marolla は子供の人数と出生順位が知性にどのように影響するか調査しています。その結果、子供の多い家族ほど子供の学力が低くなる傾向が見られました。また、第一子の方が後から生まれた子よりも学力が高くなる傾向も見られました。

出生順位が知能に影響する理由
  • 第一子の子は経済的リソースを得られやすく、高い教育を得られやすい。
  • 第二子以降の子は長男とリソースをシェアしなければならず、長男が最初に受けていたほどのリソースが得られない。
  • 第一子の子は親との関わりを独り占めできる期間があり、両親の成熟した言語に触れられるため言語能力が発達しやすい。
  • 第二子以降の子が多くなると未熟な言語に触れる機会が多いため、言語能力が発達しにくい。
  • 第一子は第二子以降の子に教える機会が多いため言語能力が向上しやすい。

このように第一子の子は親と密接な関わりを持ちやすく、経済的な面からも高等教育を受け易い環境にいることが分かります。それに対し、第二子以降の子は第一子とリソースをシェアしなければならないため、質の高い教育の機会が減少してしまいます。

第一子の方が知能が発達しやすいのに対し、第二子以降の方が第一子よりも創造的で革命的な発見ができます。その理由として、第二子以降の子は自由に挑戦できる環境が整っているからと考えられています。第一子とは違い家を継いでいくと言う責任がないので自由な発想で物事を考える環境にあるからです。

注意力の学習

赤ちゃんを制御しているのは外部の刺激です。赤ちゃんは外から様々な情報を獲得することを優先するために自分の意識や記憶に注意を向けることが出来ません。そのため、赤ちゃんの中には時系列がなくただその場の刺激に反応する能力しかありません。

例えば自分が東京タワーの光景を知っているのは自分が旅行で東京タワーに行ったからだ、と説明できると言うことです。しかし、3歳までは単なるエピソードは覚えているのですが時系列を並べる事ができず。どうしてそれを知ったのかは思い出す事ができません。

また3歳児までの子供は自分の信念や願望を数分のうちに忘れてしまうと言う現象も確認されています。

例えばクッキーの入れ物の中身が鉛筆だった時にがっかりした反応を見せたにも関わらず、クッキーが欲しかった?と尋ねると「全然」と答えます。自分の中で時系列を組み立てられないためがっかりした理由を忘れてしまっているのです。

過去だけではなく未来との関係も組み立てる事ができません。

3歳から5歳にかけて未来のために現在の自分の願望を抑制する”実行制御”の能力が発達する事が知られています。

例えば1枚のクッキーを渡し、今食べなかったら後で2枚に増やしてあげると言ったにも関わらず3歳児までの子供はすぐに食べてしまいます。それに対して3歳から5歳の子では見ないようにしたり別のことに注意を向けてクッキーを食べないようにします。

このように3歳から5歳になると自分の未来にも意識を向けれるようになるので現在の行動が制御できるようになります。

赤ちゃんと大人の意識の違い

赤ちゃんは外部の刺激に反応して行動しています。実際にその刺激が興味深いものであれば長い間じっと見つめるという反応を示します。
また、もう一つの大人との違いは抑制プロセスが効きにくいと言うことです。余計な情報だろうと全ての情報を集めるため様々なことに意識を向けています。

実際に赤ちゃんの脳を調べると新しいものや予想外の出来事に反応する頭頂葉と持続的に視覚の注意を向ける後頭葉が盛んに活動していることが分かりました。このことからも赤ちゃんは興味深いことがあったとしても常に外部の出来事に注意を向けていることが分かります。

赤ちゃんが外部の刺激に反応していたのに対し、大人は余計なことへの注意を抑制し自分で何に注意を向けるか制御することが出来ます。そのため、集中力を高めるとその他のことが見えなくなることがあります。

例えば、大人に3つのカップを動かして中にボールのあるカップがどこにいくか当てるゲームをします。その最中にゴリラのぬいぐるみをきた人物が画面に入ってくるのですが、誰も気づけないという現象が確認されています。

このように赤ちゃんが外部のこと全てに注意をはらっているのに対し大人は特定のことに注意を限定することが出来ます。

体験がその後の人生に与える影響

赤ちゃんは3〜5歳になると外部の刺激だけではなく自分の意識や記憶に注意を向けることができるようになります。その際に外部の環境が個人の人格形成に大きな役割を果たします。

ダメな親のもとで生まれても健全な親のもとで育てばその子がダメな親になる確率はそれほど高くありません。逆に健全な親のもとで生まれてもダメな親のもとで育つとダメな親になる確率が高くなります。
また、ダメな親のもとで生まれダメな親のもとで育った場合にはダメな親になる確率はかなり高くなります。

この原因として子供が周囲から学んだことを元に自分の理想の環境を作り出そうとすることが挙げられます。これにより自分で環境を好転させ、その環境からさらにいい刺激を受けるという好循環が生まれます。

逆にダメな親のもとに生まれダメな環境で育った場合はこうした好循環が生まれにくくなります。

この様に子供の人生には単なる遺伝や環境だけでなく、相互作用による複雑な構造が影響していると考えられます。

愛着型の決定

赤ちゃんは親との関係を元に愛着型を決定していきます。

愛着型は大人になってからの愛の表現方法や愛の考え方に影響を及ぼします。簡単にいうと他人が自分のことをどう思っているのか、自分がどのように振る舞うべきか、という考え方を決めるものです。愛着型には4つのパターンがあります。

  • 安定型…不安を訴えれば慰めてもらえると信じています。確実に愛を得られる人だけを信頼し、その人がいなくなると悲しみ、その人が戻ってくると安心します。
  • 回避型…不安を訴えると余計に不安なことが起こると思っています。そのため、愛を得られる人がいなくなっても表情に出しません。しかし、表情に出してしまうと事態が悪化することを学んでいるだけで生理的な機能を測定すると悲しんだりしていることがわかります。
  • 不安型…不安を訴えても慰めてもらえるか確信が持てません。愛を得られる人がいてもいなくても悲しんでいて時には乱暴に暴れて怒ったりもします。
  • 無秩序型…愛着パターンが突然に変わってしまいます。周りはこのタイプの人に対してどのように接したらいいのか分からないので様々な問題にぶつかる事が多くなります。

どの愛着型が優れていると言ったことはありませんが安定型になると他人の気持ちを察して行動できるので他人との関係が上手くいきやすいとされています。そのためには親からの絶対的な愛情を感じることが需要になります。赤ちゃんが泣いていてもほったらかしているようだと不安型になる可能性が高まります。

こうした愛着型のパターンには文化的背景が関係あり、アメリカに比べると日本は不安型が多い様です。

愛着型は恋愛の仕方にも影響するとされています。不安型や回避型、無秩序型だと相手との関係が上手く保てず恋愛が発展しにくくなります。

また、子供に対しても自分の親と同じように振舞ってしまい自分と同じ愛着型が形成される可能性が高いことが知られています。自分が愛情を十分に受けられず不安型になったという場合には子供も不安型になりやすい、ということですね。しかし、子供の時に親と上手くいかなかった人でもうまくいかなかった理由を順序立てて話せる人は親とのやりとりの因果関係を理解しているので、その人の子供は安定型になりやすい事が分かっています。

ただ、相手によって愛着型が変わることもあります。お父さんに対しては不安型、お母さんに対しては安定型という様に違ったパターンを示すこともある様です。

道徳心の学習

赤ちゃんは生まれてからすぐに道徳心を学び始めます。道徳が身につくのは青年期以降だと考えられていましたが、最近では新生児でも基本的な道徳観が備わっているというデータが出てきました。

道徳的思考を学んでいくためには自分自身に対しての知識や相手の立場に立って考えることが大切です。そのため、道徳心はある程度成長した後でないと身につかないと考えられてきました。しかし、言葉が話せない1歳未満の子でも相手の感情を自分のものとして取り込み利他的な行動を起こす事が知られています。このことから生まれてすぐの段階から道徳心を学ぶと考えられています。

モノマネをするのも共感によるものだということも分かっています。赤ちゃんは相手の表情を真似する事で相手の気持ちを理解しようとします。

私たちは怒った顔をすると少し怒った時の様な気持ちになることが知られてます。また、相手の苦痛の表情をみると相手の苦痛を取り除きたいという動機が生じます。

赤ちゃんの道徳心に対する反論

赤ちゃんの利他的な行動は観察されているのですが、他人のためではない可能性もあります。デヴィット・ヒュームの研究によると幼児は自己を完全に確立できず、自分の苦痛なのか相手の苦痛なのか区別できない可能性を指摘しています。周りから見ると他人のための行動でも本人は自分のために行なっているのかもしれません。
また、このような現象は親子のような親密な関係であるほど頻繁に見られることも知られています。親密な関係のため自分なのか他人なのか区別できない、ということですね。

幼児はルールよりも道徳心が重要なことを理解している

幼児は道徳は普遍的なものでルールを守ることよりも大事であることを理解しています。

例えば、幼児に鞄を決まったところに置かない、昼寝の時間にお喋りするなどのルールを守らない例と他の子供を叩く、他の子供の食べ物を盗むなどの身体的、精神的危害を加える例を示しました。その後、どちらが悪いと思うか尋ねたところ後者の方が悪いことであるという判断を下しました。

また、この結果はアメリカだけでなく韓国やコロンビアの幼児でも同じ反応が見られています。このことから文化的な背景でなく本能的にルールよりも道徳心の方が重要と理解していることが分かります。

稀に道徳心のない人もいる

大人になってもルール違反と人を傷つけることの違いが分からない人がいます。

この様な人たちは他人に直接共感することはなく、サイコパスと呼ばれます。ジェームス・ブレアの実験では凶悪犯刑務所の囚人は熱情や誘惑にかられ衝動的に犯行を犯した人たちと罪悪感のない人たちに分けることが出来ました。

サイコパスの傾向は子供の時にも確認する事ができ、人の悲しみや恐怖の表情を見ても動じないという特徴があります。他人の悲しみや恐怖の感情を取り込む事ができないため道徳的判断もできません。こうしたサイコパスについては以前の記事でまとめていますので参考にしてください。

まとめ

今回は赤ちゃんの身体的発達と精神的発達について紹介しました。

一番重要なのは愛情ですね。愛情があれば赤ちゃんと積極的に関わりを持ち、忍耐強く赤ちゃんの発達を促せると思います。

参考文献
哲学する赤ちゃん

関連記事