瞑想が逆効果のときもある話

瞑想が逆効果のときもある話

瞑想は集中力を高めたり、ストレスを軽減する効果が知られています。
➡︎しかし、いつもこの効果が得られるわけでは無いようです。

厳密には瞑想では無いのですが、リラックスして腹式呼吸をするということで、ほぼ瞑想の様な効果を狙っているとして解説していきます。今回はどんな時に瞑想が逆効果になるのか紹介していきます。

瞑想が逆効果を産むときもある話

この記事は2018年にペンシルバニア大学で行われた研究に基づいています。

不安障害とは?

➡︎不安障害はネガティブな出来事への過度な心配や不安が原因です。

本来、人が嫌な状況や危険な状況に陥ると体は逃げるか戦うかの反応を示します。その場から逃げ出すための血液を足に送ったり、ホルモンの分泌を促進します。
しかし、その機能が正常に働いていない場合、めまいや息切れ、パニック障害などを引き起こします。これを不安障害と言います。

全般性不安障害(GAD)とは?

➡︎全般性不安障害Generalized anxiety disorder (GAD)は不安障害になる入口の病気として知られています。

この病気には認知行動療法(CBT)と呼ばれる治療方法がありますが、GADの段階では効果が薄いようです。そのためCBTとリラクゼーション法を組み合わせることにより不安を取り除く方法が使われています。

リラクゼーション法とは

➡︎腹式呼吸を繰り返しながら首や肩、足、背中と全身の筋肉を弛緩している方法です。

しかし、リラクゼーション法はいつでも有効というわけではありません。
この方法を使っても逆に不安になってしまう人もいるようで、このことをRelaxation induced anxiety (RIA)と言います。
ちなみに、RIAは過度の不安障害の人で多いようです。

鬱(MDD)とは?

➡︎気分が落ち込みやる気が出なくなる症状のことです。

GADと併発しやすい病気として鬱 major depressive disorder(MDD)が知られています。
MDDの人はネガティブな出来事を自分の中で繰り返し増幅させています。

MDDに対してもリラクゼーションが効果があるという報告もあれば逆効果の場合もあるという報告がなされていました。つまり、RIAが起こる場合もあるということです。
著者たちはRIAはポジティブとネガティブとのコントラストができてしまう事が原因ではないかと仮説を立てて調査しています。

RIA(Relaxation induced anxiety)の原因

以前の研究から不安が強すぎる患者ではネガティブな状態でいることを望むようになることが分かっています。

なぜネガティブな状態を好むのか?

➡︎ポジティブとネガティブとのコントラストを恐るからです。

どういうことかというと、一度ポジティブに傾くと再びネガティブになってしまったときにより気分が落ち込むことを言います。その場合、それならいっそのことずっとネガティブでいた方がいいという心理が働きます。

著者たちはリラクゼーション法で通常と逆の効果が出たのもこのせいではないかと考えました。

調査方法としてはGAD、MDD、健常者の被験者でリラクゼーション法を行いポジティブな気持ちにさせた後、ネガティブな映像を見させてネガティブなコントラストへの敏感性を調査しました。
その後、再びリラクゼーション法を行い、その間の不安を調査しました。

これによりコントラストへの敏感性がリラクゼーション中の不安に関係するのか調査しています。

RIAの程度は
・リラクゼーション中に自分の中の不安がどのくらい大きくなりましたか?
・どのくらいの頻度で不安がリラクゼーション中に出てきましたか?
といった質問を9段階で評価してもらいました。

結果

➡︎GAD、MDD共にネガティブコントラストに敏感でRIAと正の相関がありました。

つまり、ポジティブなこととネガティブなこととの差を恐れるあまり、リラクゼーションによるポジティブな効果が抑制されたということです。

まとめ

✔️この研究で瞑想の様なリラクゼーションが不安障害に有効でない理由が明らかになりました。
不安になり過ぎてしまうとポジティブになることに対しても不安になってしまうようです。

じゃあ、どうしたらいいんだ、ということについて具体的な方法は書かれておらず、ポジティブとネガティブのコントラストを減らしていかないととだけ考察されています。

最近ではストレスをポジティブな力に書いていけるという研究が進んでいますのでまずはストレスに対して耐性を持つようになると良いかもしれません。

?ストレス耐性を高める方法
1. 過去のストレスに対してどのように打ち勝ったか思い出す。
2. その時に学んだことが今にどう生きているか考える。
3. 今のストレスに対して自分が何ができるか?乗り越えた時にどんな未来が待っているか考える。
ポジティブな結果が得られるようにサポートしてくれる人と一緒にやれば良いと思います。

ストレス耐性を身に付けながら、瞑想でポジティブになるってのがいいかもですね。でも、もし瞑想で不安になるという方は悪化する可能性があるのでやめたほうがいいかもですね。

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