自分の強みを見つけるVIA-IS診断とは?自己概念を変えて強みを活かそう

自分ってどんな人間なの?自己概念とは
この記事はこんな悩みを解決します
  • 自分の強みがわからない
  • 自分がどんな人間なのか知りたい
  • 自分がどのように形作られるのか知りたい

人が幸せに生きていくためには自分の強みを活かすことが重要とされています。弱みを無くしていくことも大事ですが強みを活かすことで抑うつ症状や自殺願望が消えたと言う報告がされています。

この記事を読むことで自分の強みを活かす重要さや自分という人間がどのように形作られるのか分かります。

自分の強みを見つけるVIA-IS診断とは?自己概念を変えて強みを活かそう

自分の強みを見つける方法としてポジティブ心理学者のクリストファー・ピーターソンとマーティン・セリグマンによって作られたVIA-IS(Values in Action Inventory of Strength)が有効とされています。

ペンシルバニア大学の公式ホームページで診断できるので興味のある人は試して見てください。

幸せな人とそうでない人の差

普通に考えると私たちは仕事で成功したから幸せと考えてしまいます。しかし、
ポジティブ心理学者のマーティン・セリグマンは幸せな人とそうでない人の差は何が原因なのか調査したところ、実は幸せかどうかを決めるのは自分の強みを活かしているかどうかだったようです。

そのため、まずは自分の強みを知り、その強みをどうやって仕事に活かしていくか考えましょう。

こうした考え方をジョブクラフティングと言います。
ジョブクラフティングでは
・仕事内容や方法
・人間関係
・仕事の捉え方
を変えることで働きがいを作ります。

自分の強みを活かす効果

自分の強みを活かすことでストレスに強くなったり、病気に強くなるという報告がされています。

強みを活かすとPTSDになる可能性が減る

戦地に赴いたアメリカの兵士の多くは戦地から帰ってきても心的外傷後ストレス(PTSD)に悩まされるとされています。
しかし、自分の強みを活かすようカウンセリングを受けた人はポジティブ感情が強くなりPSTDになる可能性が低下し、精神的健康が増進していました。

また、ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へではポジティブな感情でいることで脳卒中などの心血管疾患や感染症を抑えることも報告されています。

強みを活かす効果
  • ポジティブになり楽観的になる
  • 健康的な食事になり、禁煙や運動習慣が身につく
  • 友人が増えストレスを解消できる
  • 炎症の原因になるコルチゾールやカテコールアミンの合成を抑制する
  • 血栓の原因になるフィブリノゲンの発現を上昇しにくくなる

このように自分の強みを活かすことでポジティブな感情が引き起こされ、様々な良い影響が出ます。

強みは複数用意しておこう

強みは複数用意しておきましょう。

強みが1つだとその1つが誰かに負けるなどした時に「俺はダメな人間だ」とネガティブな感情になってしまいます。

強みが複数あることで1つがダメになっても「別の強みを生かそう」と前向きになれます。また、複数の強みを組み合わせることで自分にしかない新しい強みができるかも知れません。

強みの種類

VIA-ISでは強みを23個に分類しています。それぞれについて簡単に解説しておきます。これを参考に自分の強みが何か考えてみてください。

  • 創造性、独創性…目標達成のために斬新は方法でアプローチできる
  • 好奇心、興味関心…新しいことに積極的で今までの考え方では通用しないしないような出来事に柔軟に対応できる
  • 知的柔軟性、判断力…多面的に考えぬき、途中で考えを変えることやクリティカルシンキングができる
  • 向学心…学校や図書館など新たなことを学ぶことを好む
  • 大局観…人生に何が最も大切で筋の通るものの見方を備えている
  • 勇気…脅威や困難に怯まず恐怖を感情から切り離して考えることができる
  • 忍耐力、勤勉さ…やり始めたことは最後までやり遂げる
  • 誠実さ、正直さ…正直で真実を話し、自分や他人に対しても誠実に対応する
  • 情熱、意欲…自分が取り組む活動に全身全霊で取り組める
  • 愛情…人との親密な関係を大切にでき、相手からも愛情を持たれている
  • 親切心…よくわからない人に対してもよくしてあげれる
  • 社会的知能…他人の動機や気持ちを察知してうまく対応できる。感情的知性が高い
  • チームワーク、社会的責任感…忠誠心があり、献身的にチームのために役目を果たす。盲目的ではなく権威に対する敬意を払う
  • 公平さ…感情に左右されて他人に対して偏った考えをしない。
  • リーダーシップ…グループのメンバーとコミニケーションを取りながらグループの課題を遂行できる
  • 寛容さ…自分に害を与えた人にも許しを与えることができる
  • 慎み深さ…目立つのを好まず正当に評価されるのを好む
  • 思慮深さ…後悔するような言動をしない。十分に準備してから行動する
  • 自己調整…欲求は必要性、抑制されている衝動を調整することができる
  • 審美眼…自然や芸術、数学、科学などあらゆる分野の美しいものや卓越したものに対して進化を認める
  • 感謝…自分に何か良いことが起こった時に当然のことと思わない、感謝をする時間をとる
  • 希望、楽観性…未来に最高の結果を予測し実現のために計画を立てて努力する
  • ユーモア…笑うのが好き、他人を笑わすのが好き
  • スピリチュアリティ…宇宙や人生など大きな枠組みに対して自分がどのあたりに位置付けられるか知っている

正確に強みを把握する

自分が強みと思っていても実はそうでない場合もあります。

この場合、複数の強みがあったとしても頻繁に強みが入れ替わるので自尊心が傷ついてしまう原因になります。
自分を正確に把握するためには自己概念という考え方が参考になるので紹介しておきます。

自分を形作る自己概念とは

自己概念とは自分がどんな人間かという概念です。心理学では人は自分がどんな人間かを意識してそれに辻褄のあうように行動しているとされています。

自己概念を作る問いかけ(A
  • 人は自分がどんな存在か?
  • 自分にどのぐらい価値があると見るか?
  • 自分の理想はどんなものか?

例えば、自己評価で自分はだらしない、頭が悪いと評価していたらそれが自己概念に組み込まれます。ただ、疲れている、イライラしているなど一時的な状態だとすぐに評価し直すため自己概念に組み込まれません。

自己概念を決める要因
  • 日々の生活での様々な役割
  • 目標
  • 性格
  • 性別
  • イデオロギー

これらの捉え方はバイアスがかかっていることが多く、正確に自分の強みを把握できていない可能性があります。そのため、VIA-ISやビッグ5のような診断方法が役立ちます。

ちなみに、行動できるかどうかを決めるものとして自己効力感という概念もあります。これは自分が周囲の状況を改善できるという感覚のことを言います。

この感覚がなければ自分の強みを生かしたい、という願望が不可能なもののように感じてしまいます。

では、自分の強みを性格に知るために自己概念にどんなバイアスがあるのか紹介していきます。

自己概念にかかるバイアス

自己概念は主観的に構成されるためバイアスにとらわれやすいことがわかっています。まずはこうしたバイアスに気づき自分の強みが活かせないのはバイアスのせいではないか考えてみましょう。

自己概念にかかるバイアス
  • ポジティブバイアス
  • 自分の役割に縛られる
  • 他人との比較

ポジティブなバイアスが働きやすい

人は現在と関連づけて過去や未来の自分を思い描きます。しかし、過去を捻じ曲げて自分に対してポジティブな評価を下す傾向があります。

神経症的性格(細かいことを気にしやすい性格)の人は他の人から承認をもらうためこの傾向が強く、実際とは異なる自己概念を持ってしまいます。

自分の役割に縛られる

精神的に健康でないと他人によって作られた自分と反対の行動ができません。例えば、いつもクラスの先頭に立っている子がやりたくない役割を受けてしまう、いじられるキャラの人がいじられやすい振る舞いをしてしまう、などです。

他人の想像する自分に縛られているため精神が悪化しやすくなります。

他人との比較により構築される

イギリスの社会心理学者のJohn Turnerは自己認識は自分と他人の比較から構成さると述べています。

自分が優れているかどうかは一人だと基準がないため分かりません。他の人がいることで自分の優れた特徴に気づけます。

他人との比較を通じて5歳までに頭がいいと認識すると振る舞いや学業の成績がよくなるようです。

では、次にどのように自己概念が形成されていくのか紹介します。

自己概念はいつ形成されるのか?

身体的な自己概念や学業における自己概念など種類によって形成される時期が異なります

生まれたばかりの赤ちゃんは自分という概念も持っていません。自分という概念がいつ、どのように形成されるのかについてはまだまだ議論されていますが分かっていることも沢山あります。

性別における自己概念

およそ3歳までに性別を意識できるようになり、それ以降に変化させるのは難しいとされています。

性別による自己概念により、下記のような特徴がでるようです。

男性の特徴

  • 目標達成
  • 競争心が強い
  • 大人数での関わりを好む
  • 数学や科学、テクノロジーの能力が発達しやすい
女性の特徴

  • 道徳心や社会性に優れている
  • 1対1の関係を好む
  • 運動に対する苦手意識
  • 言語が発達しやすい

しかし、近年では女性も体力的に優れたスポーツ選手が出てきたり、科学の分野に進出する人が増えてきています。

性別にとらわれない自己概念が作られるようになっているみたいですね。

学業における自己概念

学業における自己概念は3〜5歳で発達し始め10 〜 11歳で他人との比較により自分を評価できるようになります。グループワークなどの他人との関わりを通じて自分が賢いのかどうか評価できます(R)。

自分は賢くない人間だ、と自己概念に組み込まれてしまうとその自己概念との辻褄を合わすために勉強しなくなったり、勉強しても賢くなれないと思い込んでしまいます。

身体的な自己概念

体の強さや耐久力が含まれます。女性は11歳から男性は15歳から身体的自己概念が作られます。思春期には体が大きく変化するため自己概念も大きく変化します(R)。

成長とともに足が速くなったり、持久力が身につくなどして自分は運動が得意な人間だ、と思うようになることがあります。

文化が自己概念に与える影響

文化的な違いも自己概念に影響します。
グループの一員という認識は社会の中での自己概念の構築に関係します。社会的規範がわかればそれを軸として自分の役割が認識できるからです。
郷に入れば郷に従え、というのがよくある例ですね。

一貫性を重視する文化的規範であれば状況が変わっても自己概念は変わりません。逆に環境に応じて柔軟に対応する文化的規範では状況に応じて自己概念も変わります。もし自己概念が文化に適応しなければ社会とのつながりが切れたように感じてしまいます。

固定概念は悪影響が出やすい

文化の中に固定概念があると自己概念に組み込まれます。人種や性別によって差別するようなネガティブな文化ほど悪影響が出やすいとされています。

テキサス大学で行われた研究では黒人の方が知能が低いという固定概念を植え付けられたグループの黒人は白人よりも成績が下がってしまうことが確認されています(R)。

メディアも自己概念に影響する

アリゾナ州立大学で行われた研究によるとメディアに触れる時間が長いほどその情報が自己概念に組み込まれやすくなるとされています(R)。

最近ではソーシャルメディアで形成した自己概念が実生活にも持ち込まれると言われています。

まとめ

今回は自分の強みを活かすことでポジティブ感情が増え精神的な健康だけでなく身体的な健康も増進されることを紹介しました。
また、自分の強みを知るためにはVIA-ISが有効とされていることや強みを正確に把握するためには自己概念が役立つことも紹介しました。

自己概念にかかっている自己概念を取り除くためにもまずは行動が大切です。行動することで「自分にこんな一面があったんだ」と気づけるようになります。

今回紹介した自己概念以外にも自分を知る方法はいくつかあります。例えば、性格を知るために有効とされているビッグ5などです。

参考文献
Self-concept

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