SDGsとは?SDGsを理解すると世界と日本の未来の姿が見えてくる話

SDGsとは?SDGsを理解すると世界と日本の未来の姿が見えてくる話
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  • SDGsって最近よく聞くけど何?
  • SDGsへの理解を確認したい
  • 今後の世の中の動きを予測したい

最近ではSDGsという言葉を聞く機会が多くなりました。SDGsとは持続可能な社会を実現することを言います。しかし、持続可能な社会と言っても幅広い取り組みが行われているのでイマイチよく分からない、という人もいるのではないでしょうか?今回はSDGsについて私が調べたことをまとめて紹介します。

この記事を読むことでSDGsについて分かるようになります。

SDGsとは?SDGsを理解すると世界と日本の未来の姿が見えてくる話

SDGsは、2016年から2030年の15年間で達成すべき“世界共通の目標”として、2015年9月に国連で開催された持続可能な開発サミットで国連に加盟している全193カ国によって採択されました。菅総理が2030年までに実質二酸化炭素の排出量をゼロにする、と言ったのもSDGsの世界的な流れに基づいています。このことから、SDGsについての知見を深めることで今後の世界の流れを予測するなど、自分の人生をよりよくするための準備ができると思います。

大きな問題としてはエネルギー・環境問題、貧困、差別、平和と言ったものがあります。SDGsはもともとMDGsという貧困や飢餓の撲滅を目標にした取り組みを引き継いでいるため、幅広い多くの目標が設定されています。

SDGsでは発展途上国・先進国と国の状況を問わず、地球上のほぼすべての国が採択した国際目標であるため、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っているという特徴があります。

SDGsの17の目標

SDGsには、17項目の目標とその目標の達成基準となる232のインジケーターがあります。SDGsでは全世界で期限である15年間で全17項目の目標達成に向けて行動していくことで、2030年以降も“持続可能な社会”を実現させ続けることを目標にしています。

SDGsの17の目標
  • 貧困をなくす
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレを世界中に
  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsの17目標は、社会・経済・環境の3分野と、各分野と横断的に関わる枠組みに分けられます。持続可能か社会の実現なので社会・経済・環境の3分野が重要になるのは当然ですね。

もっと具体的な目標が知りたい、という人はこちらのページが参考になります。

では、こうしたSDGsの達成のために日本にはどのような課題があるのでしょうか?

日本のSDGsの取り組み

SDGsの17項目の目標の中に日本ですでに達成しているものもありますが、達成できていないものもあります。そのため、SDGsの達成のために日本特有の課題に取り組むための組織が作られています。それがSDGs推進本部です。

SDGs推進本部が日本が取り組むべき優先課題として挙げたものが下記の8つです。

SDGs実施指針改訂版の8つの優先課題
  • あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
  • 健康・長寿の達成
  • 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
  • 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
  • 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
  • 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
  • 平和と安全・安心社会の実現
  • SDGs実施推進の体制と手段 

どれも難しい課題ばかりです。それぞれの課題をどのように解決していくのか、その具体的な方向性を示したものとしてSDGsアクションプランがあります。2020年に発行されたSDGsアクションプラン2020では2030年の目標達成に向けた政府の行動が示されています。

SDGs達成のための3つの方向性
  • ビジネスとイノベーション ~SDGsと連動する「Society5.0」の推進~
  • SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくり
  • SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

ビジネスとイノベーション ~SDGsと連動する「Society5.0」の推進~

Society5.0とは社会構造の段階を示す言葉です。Society1.0は狩猟や採集していた社会、Society2.0は組織を作るようになった農耕社会、Society3.0は産業革命により大量生産大量消費が行われるようになった工業化社会。Society4.0はインターネットにより情報のやりとりが盛んに行われるようになった情報化社会のことを言います。そして、Society5.0とはAIやロボットなどにより情報の量と質が最適化されるようになった社会のことを言います。

IoTなどを駆使したスマートシティやスマート農業がSiciety5.0の良い例ですね。AIによって必要な情報が必要な時に受け取れるような社会になっています。

こうしたSociety5.0を実現していくためにもビジネスと科学的イノベーションが必要になります。まずは、ビジネスの観点からどのような取り組みが行われているのか紹介していきます。

ビジネスにおける取り組み

  • 企業経営へのSDGsの取り込み及びESG投資を後押し。「Connected Industries」の推進
  • 中小企業のSDGs取組強化のための関係団体・地域、金融機関との連携を強化。

簡単にまとめるとSDGsの取り組みをしている企業を支援しようという取り組みのことです。また、中小企業はSDGsを推進する体力がない場合が多いので、関連団体や地域との協力を深めることでSDGsに取り組んでもらおうとしています。この中にいくつか分かりにくい言葉があるのでその言葉の意味を紹介しておきます。

ESG投資とは

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視して行なう投資のことです。
ESG評価の高い企業は事業の社会的意義、成長の持続性などが優れた企業と言えます。近年ではヨーロッパや北米でESG投資の動きが盛んになっています。

Connected Industriesとは

Connected Industriesとは、2017年3月に経済産業省が提唱した「人・モノ・技術・組織などがつながることによる新たな価値創出が、日本の産業の目指すべき姿(コンセプト)である」という概念です。例えば、ソフトバンクとトヨタが連携して、移動中に料理を作って宅配するサービスや、移動中に診察を行う病院送迎サービス、移動型オフィスなどを行おうとしています。

科学技術イノベーション

  • STI for SDGsロードマップ策定と,各国のロードマップ策定支援。
  • STI for SDGsプラットフォームの構築。
  • 研究開発成果の社会実装化促進。
  • バイオ戦略の推進による持続可能な循環型社会の実現。
  • スマート農林水産業の推進。
  • 「Society5.0」を支えるICT分野の研究開発,AI,ビッグデータの活用。

簡単にまとめるとSDGsの達成のためには科学的イノベーションが必須なので、イノベーションが起こりやすいような環境整備を整えていく、ということです。特に、バイオ関連の技術は循環型社会の実現のために、ICT分野の技術はSociety5.0の実現に重要な技術なので重視していこう、ということが言われています。

STI for SDGs

STI for SDGsとはSDGs達成のための科学的イノベーションのことを言います。SDGsは国レベルでなく世界レベルでの問題なので、世界銀行やUNCTADなどの国連関係のタスクチームが関係しています。そのため、日本は各国のロードマップの策定支援なども行なっています。

SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくり

日本には少子高齢化や地方の過疎化、自然災害の増加などの問題があります。こうした問題に一時的に対処するのではなく、持続可能な対処法が求められています。そのため、SDGsと関連した問題解決が行われるようになりました。具体的な解決策には、下記のような地方創生や強靭で環境に優しいまちづくりと言った方針が示されています。

地方創生の推進

  • SDGs未来都市、地方創生SDGs官民連携プラットフォームを通じた民間参画の促進、地方創生SDGs国際フォーラムを通じた普及展開
  • 「地方創生SDGs金融」を通じた「自律的好循環」の形成に向け,SDGsに取り組む地域事業者等の登録・認証制度等を推進
SDGs未来都市

SDGs未来都市構想とは、SDGs達成へ向けた地方自治体による優れた取り組みを提案した都市を選定する事業のことを言います。SDGsの目標達成のためには、地方自治体によるSDGs推進のための取り組みや、SDGs達成に向けた事業の実施が必要と考えられ始まりました。

SDGs未来都市に選定された都市は、国やさまざまな企業・行政・NPO等と連携し、提案内容のさらなる具体化や事業の目標達成を目指していきます。また、成功事例を国内外に発信していくことでSDGsの取り組みを普及させSDGsの達成へと発展させていきます。

具体的な例としては、神奈川県相模原市の「都市と自然 人と人 共にささえあい生きる さがみはらSDGs構想」、静岡県掛川市の「市民協働によるサステナブルなまちづくり」などがあります。他にも低酸素社会の実現や自然との共存、超高齢化社会での新たな価値の創出などに取り組んでいる都市が選定されています。

また、内閣府ではSDGs達成のために地方創生SDGs官民連携プラットフォームを作っています。このプラットフォームに参加することで、取り組みの普及活動ができる、必要な知識を持つ人や団体とのマッチング支援が受けられる、分科会に参加することができる、といったメリットが得られます。

地方創生SDGs金融

地方創生SDGs金融とは、SDGs達成のために取り組む地方の企業の非財務的価値やESG要素などを評価し、金融市場からの資金の流入を通じて支援することを言います。

日本の地方には地域の特色を生かして付加価値を創出する企業や、ニッチな分野で世界のトップレベルのシェアを持っている企業があります。このような企業には地方の課題に取り組みながら、既存の事業を拡大していくことで新たなキャッシュフローを作り出す力があります。さらに、新たに生まれた資金を元に地方の課題解決のために使うことで自律的好循環を作り出すことが出来ます。そのためにも、地方創生SDGs金融の役割が大きいとされています。

強靭なまちづくり

  • 防災・減災、国土強靱化の推進、エネルギーインフラ強化やグリーンインフラの推進
  • 質の高いインフラの推進
グリーンインフラ

グリーンインフラとは自然が有する多様な機能や仕組みを活用したインフラや土地利用計画のことを言います。日本が抱える社会的課題を解決し、持続的な地域を創出する取組みとして期待されています。人口減少に伴う未利用地の増加やインフラ老朽化などの社会的課題を解決し、持続的で豊かな地域を創出する取組みであるといえます。

例えば、山林を管理することによる土砂崩れや川の反乱の低減、自然の中でのレクリエーション機能、太陽光発電と農業を組み合わせたソーラーシェアリング、耕作放棄地の利用による田んぼや畑などの食料供給機能などが挙げられます。

温暖化により災害が多くなったからと言って、二酸化炭素を大量に排出するやり方で防災・減災に取り組んでもさらに温暖化が進んでしまいきりがありません。そのため、できるだけ自然との共存を目指すことで質の高いインフラを整えて行こう、という考え方ですね。

循環型社会の構築

  • 東京オリンピック・パラリンピックに向けた持続可能性の配慮
  • 「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」実現に向けた海洋プラスチックごみ対策の推進。
  • 地域循環共生圏づくりの促進。
  • 「パリ協定長期成長戦略」に基づく施策の実施。
大阪ブルー・オーシャン・ビジョン

大阪ブルー・オーシャン・ビジョンとは、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指すことを言います。G20大阪サミットにて共有され、日本は
・廃棄物管理(Management of Wastes)
・海洋ごみの回収(Recovery)
・イノベーション(Innovation)
・能力強化(Empowerment)

に焦点を当てています。
また、世界全体の実効的な海洋プラスチックごみ対策を後押しすべく,「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」を立ち上げ、途上国の能力強化の支援も行なっていくとしています。

地域循環共生圏

地域循環共生圏とは、各地域が美しい自然風景などの地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し合うことで、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方です。これにより農山漁村も都市も活かすことが出来るので、日本の活力を最大限に高める考え方と言えます。

例えば、森林や里地里山の管理等を通じて創出された美しい自然景観、美味しい水、きれいな空気といった良好な環境、歴史的な町並み等の文化的資源や、公共交通を軸とした「歩いて暮らせる市街地」等の地域資源について、その質を向上させることで、人々の生活の質の向上や地域資源を活用している事業に付加
価値を付けます。

パリ協定長期成長戦略

パリ協定長期成長戦略とは、温室効果ガスの排出量をゼロにする脱炭素社会の実現に向けて長期的な投資を行なっていく戦略のことを言います。「脱炭素社会」と聞くと経済成長を犠牲にしてエネルギーの利用を減らす、ということを思い浮かべてしまいますが、そうではありません。二酸化炭素を排出せずにエネルギーを使える技術的イノベーションを実現するために投資を促し、経済活動を活発にしていきます。経済を犠牲にせずに脱炭素社会を目指す、ということを覚えておきましょう。

SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

3つ目は人に対する取り組みです。日本では性差別的な風潮が強く、世界的に見ると性的マイノリティーに対して不寛容ということが言われています。確かに、育児や家事は女性が行うものだ、という人はまだいますよね。他にも、働き方改革やバリアフリー、教育、スポーツ、健康、などの取り組みが示されています。

次世代・女性のエンパワーメント

  • 働き方改革の着実な実施
  • あらゆる分野における女性の活躍推進
  • ダイバーシティ・バリアフリーの推進
  • 「次世代のSDGs推進プラットフォーム」の内外での活動を支援。

育児や介護などの働きてのニーズの多様化に対応することや、女性の社会的地位の向上、SDGsの掲げている「誰一人取り残さない」を守るための多様な人が住みやすい社会の実現などが挙げられています。この辺りはニュースでもよく見かける内容だと思うので解説はありません。

「人づくり」の中核としての保健,教育

  • 東京オリンピック・パラリンピックを通じたスポーツSDGsの推進。
  • 新学習指導要領を踏まえた持続可能な開発のための教育(ESD)の推進。
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進
  • 東京栄養サミット2020の開催,食育の推進。
スポーツSDGs

スポーツSDGsとはスポーツを通じてSDGsを達成しようとする試みのことです。スポーツとSDGsに関係があるの?と思うかもしれないので解説します。SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」では、運動とスポーツを行うことは、アクティブなライフスタイルと精神的な安定をもたらし、健康問題を解決するとしています。

また、スポーツを通じて性差別をなくすことが出来たり、環境とのつながりを学ぶことも出来たり、世界中の人と言葉を交わすこと無く関わることが出来ます。こうしたスポーツの魅力がSDGsの達成のために役立つとされています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられることを意味ししています。そのために、「保健医療サービスが身近に提供されていること」、「保健医療サービスの利用にあたって費用が障壁とならないこと」の2つが重要視されています。そのために、物理的アクセス、経済的アクセス、社会慣習的アクセスの3つのアクセスの改善が求められています。

例えば、近くに医療施設がない、看護師が足りない、医療費の自己負担が大きい、病気によって収入が減少する、サービスの必要性を知らされない、などの課題があります。ただ、日本は他の国に比べて医療が充実しているので大きな課題とはなっていません。

SDGsを意識して生活しよう

SDGsについて紹介してきましたが、実生活にどのように役立てればいいのでしょうか?個人でもできる取り組みもあるのでいくつか紹介したいと思います。

個人でできるSDGsのための取り組み
  • 環境に優しい製品を使う
  • 健康維持に務める
  • ESG投資を行う
  • SDGsに沿った事業に関わる

環境に優しい製品を使う

持続可能な社会のために、環境に負担の少ない製品やリサイクル可能な製品などを使うようにしましょう。どうやって選べばいいか分からない、と思うかもしれませんが、ロゴマークを見るようにすることをオススメします。ただ、下記のように様々なロゴがあるので、それぞれがどのような意味を持っているのか覚えていられません。そのため、緑色を使ったロゴを選ぶ、と良いでしょう。

健康維持に努める

自分の健康寿命を伸ばすためにも健康維持に気をつけましょう。一人一人が健康に気をつけることで医療機関への負担も軽減できます。毎日の生活も健康があってのものなので大事にしたいですよね。

重要なのは食事、睡眠、運動の習慣化です。良い生活習慣を身に付けることで、悩んだり考えたりすること無く自然と良い生活習慣を送ることが出来ます。習慣化のためには週に4回を6週間続けると良いとされています。カナダで行われた研究では週に4回以上6週間運動を続けた人はその後も運動をする習慣が身についた、という結果が出ています。

まずは自分にとってほんの少しだけ高いハードルを、週に4回の頻度で6週間続けるようにしてみましょう。

ESG投資を行う

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視して行なう投資のことでしたよね。この流れはこれからも加速していくとされています。社会貢献しながら投資ができるので、長期的な資産形成を考えている人にはオススメの投資方法だと思います。

SDGsに沿った事業に関わる

これから就職を考えている人や転職を考えている人はSDGsの観点から企業を選ぶことをオススメします。今後の発展が見込めますし、何より人類のためになる仕事が出来るからです。給料も大事かもしれませんが、持続可能な社会の実現のために働くというのは大きなやりがいになると思います。

また、自分で事業を立ち上げる時にもSDGsに沿った事業を立ち上げると良いでしょう。上記で紹介したような日本のアクションプランに沿った事業なら支援も得られて成功する可能性が高くなります。

まとめ

今回はSDGsについて紹介しました。

SDGsが何年も前に締結されたものなのに私は全く知りませんでした。調べて初めてSDGsの理解が深まり、かなり共感できる内容であることがわかりました。多くの人がSDGsに共感して未来のために努力してくれることを望んでいます。

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