温暖化対策のアプローチ

温暖化対策のアプローチ

以前の記事で温暖化によりどの様な影響が出るのが見てきました。臨界点を超えると元の環境に戻すことが難しく、生態系への影響などは元に戻せません。この様な問題が起きない様にどの様なアプローチが考えられているのか、コストとの関係も含めて見ていきましょう。

温暖化対策のアプローチ

温暖化抑制のアプローチには3つのアプローチが考えられています。

  • 適応策
  • 気候工学
  • 緩和策

適応策

適応策とは温暖化を食い止めるのではなく、温暖化した環境でどの様に生活していくかを考える方法です。

温暖化を食い止めるという考え方がグローバルな対策なのに対して、適応策はローカルな対策で費用を出した人だけが恩恵を受ける仕組みになっています。

温暖化の影響について懐疑的な人たちから支持しています。

適応策にどの様なものがあるかと言うと、農家では灌漑システムの設置や植物工場などにより気候の変動の影響を受けにくくする方法が考えられます。

一方で海洋の酸性化や生態系への影響は莫大なコストが必要だったり、実施が不可能だったりします。

こうした方法は温暖化した環境で一部有益ではありますが、根本的な解決でないため想定外の事態が起こったときに大きな被害が生じる可能性があります。

気候工学

気候工学には2つのアプローチが考えられています。

  • 二酸化炭素をの除去
  • 太陽エネルギーの反射

二酸化炭素をの除去

大気中から二酸化炭素を除去する技術についてはあまり発達していません。大気中から二酸化炭素を除去するためには膨大なエネルギーが必要になり二酸化炭素の収支が合わなからです。

遺伝子工学が発達してきたため、今後は二酸化炭素をより吸収しやすい植物などが作られると考えられています。

太陽エネルギーの反射

地表に届く太陽光のエネルギーを減らす技術は太陽放射管理技術と言われています。

この考え方は火山の大規模な噴火の後と似ています。フィリピンのピナツボ火山が噴火した時は2000万トンの粒子が大気に放出され世界の平均気温が0.4℃下がりました。

この現象を人工的に引き起こすことで温暖化を防げると考えられています。

この方法だと二酸化炭素の排出削減よりも10分の1から100分の1のコストで目標の温度変化の抑制を達成できるとされています。

しかし、降水量の減少やモンスーンへの影響など重大な副作用が考えられています。そのため、この方法は温暖化を食い止める最後の手段でできれば使わない様にしたいとされています。

緩和策

緩和策とは二酸化炭素の上昇を食い止める方法のことです。

一般的な温暖化対策として知られており、もっとも確実性の高い方法とされています。

二酸化炭素の発生源として石油と石炭があります。この2つはそれぞれ二酸化炭素排出量の35〜40%を占めています。特に石炭は燃料1000ドル当たり11トンの二酸化炭素を排出しており、石油の0.9トンと比べると12倍も大きいことが知られています。

二酸化炭素の排出削減のための方法として下記のものが考えられています。

  • 経済成長の抑制
  • エネルギー消費量の削減
  • 財やサービスのための炭素集約度の低下
  • 大気中からの二酸化炭素の除去

※炭素集約度の低下とは石油や石炭などの火力発電ではなく風力やバイオマス発電を使って二酸化炭素の排出量を低下させることを言います。

経済成長の抑制は社会の混乱が予想されるため、推奨されていません。

エネルギー消費量の削減は社会や個人で行なっていかなければなりませんがそれだけでは不十分とされています。

財やサービスのための炭素集約度の低下では石炭よりも天然ガスを使うことが望まれています。天然ガスの方が同じ電力を発電するにしても二酸化炭素の排出量が半分程度で済むとされているからです。

大気中からの二酸化炭素の除去は上記でも書いた様に現実的ではありません。ただ、火力発電により発生した二酸化炭素を回収するまでの工程を一貫したプロセスとして行うCSSと呼ばれる技術が注目されています。

ただ、技術とコストも問題から実用化されていません。回収した二酸化炭素を地中に保存することが考えられていますが、安全性や有効性が検討されていません。

温暖化対策のコスト

上記で見た二酸化炭素の排出削減方法は1つ目以外は全て行わなければならないとされています。

しかし、どれもコストがかかるため二酸化炭素削減とのコストパフォーマンスを考えていかなければならないとされています。

コスパの問題には下記の様なものがあります。

  • 長期的に見ればコスパがいいのだが、初期費用がかかる
  • 10〜20%の削減であれば各国の負担は比較的に安価だが、80〜90%の削減だと莫大なコストが発生する
  • 二酸化炭素のことに重点を置いているため、低コストで削減できる他の温室効果ガスが軽視されてしまう

重要なのは2つ目の問題です。低い目標であれば高いコスパが発揮できるため、問題が大規模化する前に取り組むことで温暖化の被害を軽減できます。

コペンハーゲンで決められた世界の気温上昇を2℃以内に抑えるという目標もこの想定に基づいています。

2℃以内というのは環境面から見れば十分ではありませんが、達成できる現実的な数字となっています。

参考文献

気候カジノ

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