国際感覚を養うための文化的知性

国際人材になるための文化的知性

外国の文化を理解するためにはどうすれば良いのでしょうか?
➡︎外国に行く頻度、外国人と深く関わる事が重要なようです。

グローバル化が進む中で互いの文化を尊重し合うことが求められています。近年では相手の価値観を理解して自分の行動を制御する文化的知性という概念が生まれています。今回は2013年にKerri Anne Crowne によって発表された論文に基づいてどうすれば文化的知性を身につけられるのか書いて行きます。

国際人材になるための文化的知性

近年のグローバル化の流れ

グローバル化が進み日本人が海外に出るようになったり、外国から日本に来る人が多くなっています。

☑️日本人出国者数

年別日本人出国者数の推移 出所:法務省「出国管理統計」よりJTB総合研究所作成

☑️訪日外国人数

年別訪日外国人数の推移 出所:日本政府観光局 (JNTO) 発表統計よりJTB総合研究所作成

国際交流の利点とは?

・文化的背景の違う相手の考え方を共有
・グローバルな競争力が身につく
・今までに無かった発見ができる
などがあります。しかし、こうした交流が成果を生み出さない場合もあります。
➡︎その原因として文化的知性と感情的知性が成熟していないことが考えれています。

文化的知性とは

➡︎文化的知識や文化的背景を考えて自分の行動をコントロールすることを言います。
文化的知性が高いと相手の文化に適応できたり、交渉がうまく行ったり、海外での事業がうまく行くかの予想ができます。
日本人の家に土足で入るなど文化的背景を理解しないと思わぬところで相手の気分を害してしまったり、価値観が合わず交渉が進まないことが起こります。

☑️その文化にどれほど深く関わったかということも重要です
食べ物や建物など目に見えるものだけでなく、価値観や信念、規範など目に見えないものを理解しなければ文化的知性は高まりません。

感情的知性とは

➡︎自分や相手の感情の変化に気づき、物事がうまく進むように感情をコントロールすることを言います。
感情的知性により相手との考え方の違いに気づくことができ、利益が得られるように交渉を調整できます。

☑️感情的知性がないと文化的知性が役立ちません
相手の文化的背景を理解した上で相手や自分自身の感情をコントロールしなければなりません。
感情的にならないことで効率よくコミニケーションでき、相手の欲求を理解できます。

☑️多様な文化に触れていると感情的知性も高い
様々な文化に触れている人ほど文化的共感力が高く、感情が開放的で安定し、指導力があります。
相手との触れ合いを通じて文化的知性や感情的知性が高まると考えられています。

どうすれば文化的知性と感情的知性を高まるのか?

著者は多くの国に行くことと現地の文化と深く関わることが文化的知性と感情的知性を高めると考え調査を行っています。

455人の大学生を対象に文化的知性と感情的知性、海外経験の調査を行いました。

  • 文化的知性の測定は過去の研究を参考に20の質問に対して7段階の評価を行っています。
  • 感傷的知性の評価にはWLEISを元に7段階評価を行っています。
  • 海外経験は海外旅行の経験があるか、どの国に行ったか、海外旅行の目的は何か、地元の店や人々とどのぐらい頻繁に触れ合ったか評価しました。


この結果、旅行した国の数が多い人、現地の文化との関わりの深い人は文化的知性が高いことが分かりました。ただ海外旅行の経験があるだけでなく、その頻度が文化的知性を高めるようです。
一方、感情的知性に差はありませんでした。この原因については考察されておらす、旅行や他文化との関わりと関係ないのかもしれません。

☑️価値観が違いすぎると文化的知性が高まらない
どうやらカルチャーショックを受けると文化的知性は高まらないようです。
海外に行く前には事前にネット上で情報を集め、現地で驚きすぎないよう慣らしておく方が良いかもしれません。

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