子供が自分で成長するための3つの能力。世界標準の子育て法とは?

子供が自分で成長するための3つの能力。世界標準の子育て法とは?
この記事の対象者
  • 子育てのやり方が知りたい
  • 子供の成長を促す条件が知りたい
  • 子供に悪い影響を与えていないか確認したい

自分の子供に幸せになってもらいたい、というのは親が持つ一番の願いだと思います。近年では競争が激しくなり、幸せになるためには能力の向上が欠かせなくなりました。大人になっても能力を伸ばすためには子供の時に身につけた基本的な能力が重要になります。では、子供の成長を促すためにはどのような条件があるのでしょうか?今回は船津徹さんの「世界標準の子育て」を参考に子供を成長させるための条件を紹介します。

この記事を読むことで子供を成長させることができるようになります。

子供が自分で成長するための3つの能力。世界標準の子育て法とは?

子供に落ち着きがない、癇癪を起こしやすい、何かをする意欲がない、など子育てには様々な悩みがあると思います。こうした子供に対して、親の思うように無理やり行動させても根本的な解決にはなりません。またすぐに問題が生じます。こうした問題を根本から解決するためには下記の3つの能力育てるようにしましょう。

子供が成長するための3つの能力
  • 自信
  • 考える力
  • コミュニケーション能力

この3つの能力を高めるように子育てをする事で、様々な問題を根本的に解決することができます。では、どうすれば3つの能力を育てることができるのか紹介して行きます。

自信

3つの条件の中で最も重要な条件が「自信」です。自分に自信がないとスポーツや勉強で「どうせ自分には無理だ」と判断してチャレンジできなくなります。何かに挑戦できないということは自分の成長の機会が失われることになるので能力も向上しません。

自信を身に付けるためには、何かに挑戦して「自分でもできる」という経験を積み重ねさせましょう。こうした感覚は自己効力感としても知られており、心理学でもその重要さが証明されています。

しかし、日本の教育では「他人に迷惑をかけない」、「ルールを守る」ということを重視するので子供の成功体験の場が少なくなりがちです。「人に迷惑をかけるな。」と言うしつけは正しいのですが、行きすぎると子供の自尊心が低下し、「自分は価値のない人間だ」と感じるようになってしまいます。子供の行動を制限するときには、子供に価値があると言う事や、その行動がダメな理由も一緒に教えましょう。

また、子供が可愛いからといって過度に世話をするのも「自分にできる」という感覚を妨げてしまいます。食べ物を溢したり、泥だらけになっても手出し口出しをせずに、子供の自主性を尊重してあげましょう。

もちろん、ほったらかしもダメです。自由に行動させることも大切ですが、制限を設定して自分の感情を制御する訓練を行うことも重要です。この制限と自由をうまく調整することが子供の自信を身につけさせるために求められます。

0歳から6歳まで

自信をつけさせるために、まずは根拠のない自信を持たせましょう。そのためには愛情が必要です。親が十分だと思っていても子供には十分でないかもしれません。子供を大切に可愛がることで愛情が伝わり、子供に根拠のない自信が身につきます。子供に自信がない状態でしつけをしようとしても、子供は不安を感じて言われたことに集中できません。まずはたっぷりと愛情を注いであげるのが親の役割です。子供が愛情不足のサインを出したときには、とにかく一緒に過ごす事を意識しましょう。

家事のお手伝いで自信を持たせましょう

6歳までの子供に成功体験をさせるためには家事が最適です。料理を全部食べれた、食器を片付けれた、お片付けができるようになった、など些細なことでも沢山褒めてあげましょう。子供は褒められたり、感謝されたりすることで自信を身につけていきます。お手伝いがうまくできないからと言って叱ってはいけません。また、時間的なプレッシャーを与えても子供が失敗する原因になります。成功体験を積ませることが目的なので、お手伝いのできが悪かったとしても褒めてあげましょう。

成功体験で自信がつくと勉強にも良い効果が現れます。カリフォルニア大学のアーサー・コスタは勉強ができる子の共通点を調査しています。その結果、知的な才能ではなく、下記のような学習態度が勉強の良し悪しを決めていることが分かりました。

勉強の良し悪しを決める学習態度
  • 諦めない
  • 自制心がある
  • 人の話を聞ける
  • 柔軟に思考できる
  • 正確さを追求できる
  • チャレンジを恐れない

こうした学習態度を身につけさせるのは学校ではなく、家庭です。6歳までにこうした学習態度が身につければ学校でも問題なく成長していくでしょう。

7歳以降

7歳以降は根拠に基づいた自信をつけさせましょう。いつまでも根拠のない自信に基づいて行動していると、無謀なチャレンジをすることが多くなり、成功できなくなります。根拠のある自信を身につけさせるためには、スポーツや芸術など他の子供と競争させるのが良いでしょう。最初は勝てなくても自分で工夫させて勝てたときには大きな成功体験が得られます。もし、子供のレベルが高い場合はより高いレベルの環境を用意しましょう。周りのレベルが低いと子供が努力をしなくなり成長が止まってしまいます。

また、子供が何をやりたいのかわからないときには、子供が自分で気づけないような強み・弱みを認識させるのも良いでしょう。子供の強みを見つけるポイントとしては下記の3つがあります。

子供の強みを見つけるポイント

  • 性格・人柄
  • 興味・関心
  • 運動能力

これらの強みを活かせる習い事をすることで、子供は成功体験を得られやすくなります。子供の特性に合わないような習い事をしても成功体験が積めないので、自信が持てない子供になってしまいます。

また、学校で成績が悪かったときには不得意な教科を底上げするのではなく、得意な教科を伸ばしてあげましょう。得意な教科で自信がつく事で、頑張れば良い悔過にのみが出ると言う事を学びます。先にこうした自信が付いていると、不得意な教科で結果が良くなかったときにも努力を続けられるようになります。

こうした成功体験を積み重ねることで、GRITと呼ばれる力が身につきます。GRITとはやり抜く力のことで、科学やスポーツなどの分野で成功した人にはこの力が高い、という共通点があることが知られています。GRITが高いと進学先を決めるような重要な決断をするときに、難しい道を選択できるようになります。詳しくは以前の記事を参考にしてください。

考える力

2つ目に重要な条件は「考える力」です。日進月歩で新たなテクノロジーやサービスが現れる社会になっているので、ただ暗記をするのではなく、自分で考えて新たなものを作り出す能力が求められます。

情報を見極める力、常識を疑う力、未来を予測する力、多面的に考える力、自分の思考を検討する力、がないと情報に流されて自分の人生を歩めない人間になってしまいます。社会の価値観に流されるのではなく、自分の人生を生きるためにも「考える力」が重要になります。

しかし、日本の学校では正解を学ぶ教育が主流です。新しい技術やサービスを作るときには正解がありません。そのため、自分で作り出さなければならない現在の社会とはマッチしていないと言えるでしょう。

0歳から6歳まで

子供の頭脳は6歳までに90%が完成すると言われています。最初に神経系が発達し、その後に筋肉がついたり身長が伸びるといった身体的な発達が見られます。そのため、6歳までに「言語能力」を発達させるようにしましょう。本の読み聞かせ、親からの語りかけ、などが子供の語彙力や知識、思考力を向上させます。本を読み聞かせるときには、親がストーリーのどこでどんな事を思ったのか、子供はどこでどんな事を感じたのか話すようにしましょう。

言語能力を鍛えたいからといって英語を無理に使うのはやめましょう。子供の頭が混乱するキッカケになりますし、言語能力が発達しない事で深い思考ができなくなります。言語は体験を元に身につけていくので、生活圏で使われている言語を使った方が効率よく言語力が発達します。

できれば5歳から読書力を身につけていきましょう。読書はイメージする力や語彙力・表現力などを向上させるだけでなく、同級生よりも早く文字が読めるようになる事で「自分には能力がある」と自信を持たせるキッカケにもなります。家具や家電などに「れいぞうこ」、「つくえ」といった文字を書いた紙を貼ったり、能力に応じた短い絵本を与えてあげましょう。自分で本が読める事で親が世話をしなくても自分で能力を高めていけるようになります。

こうした言語力が身についてくれば、理由も言わないままワガママを言うことがなくなります。言語力が身についていないと子供は自分の気持ちをどう表現していいのか分からず、ただ単に「嫌だ」を連発するようになってしまいます。これだと親も子供もストレスが溜まるだけになってしまいます。

7歳以降

言語能力が身についたら12歳までは「考える力」を伸ばすようにしましょう。自分で考える力を身に付けるためにも言語能力が基本になります。読む本の難易度を上げていく事で考える力が身につきます。例えば、少し長い絵本、絵のない本、子供用の新聞、といった具合に難しくしていきます。また、内容を理解するのに必要な背景知識が足りていない場合はインターネットを活用しましょう。自分で調べて理解する事で情報収拾のノウハウが身につきます。

また、自分の意見を曖昧にさせないようにしましょう。意見を曖昧にする事で深く考える機会がなくなってしまいます。子供が「あれ」、「ちょっと」、「みんな」といった言葉を使ったときには、どう意味なのか質問し返すようにしましょう。

また、架空の思考ゲームをする事でも考える力が身につきます。例えば、
・もし〜だったら
・〇〇と××ならどっちがいい?
・自分がその場にいたらどうする?
などの思考ゲームです。
こうした思考ゲームをする事で想像力の高い考える力を持った大人になります。また、子供の出した答えに「なぜ?」という質問を投げかける事で論理的に考える力が身につきます。

できれば、プログラミングを教える事をお勧めします。プログラミングは問題発見能力や問題解決能力を向上させてくれます。マイクロソフトのビル・ゲイツも「すべての子どもはプログラミングを習うべきだ」と言う事を言っています。スマホでゲームばかりするようなら、ゲームをするのではなく作る側にも興味が湧くでしょう。

コミュニケーション力

3つ目に重要な能力は「コミュニケーション力」です。人や物の移動が簡単になり、SNSなどで次々と新たな情報が拡散される世の中になっています。そのため、新たな文化や行き方など、様々な価値観に出会う頻度が多くなり、多様な価値観を持った人と関わることが多くなると考えられます。そうした人々と協力して生活していくためにはコミュニケーション力が欠かせません。

親は子供の手本としてコミュニケーションを行わなければなりません。子供は親の振る舞いを観察してマネをします。人と笑顔で接する、出会った人に挨拶をする、人の話を最後まで聞く、というのは親が身につけなければ子供も身につきません。

しかし、アジアの国ではコミュニケーション能力は勝手に身につくと思っている親が多いようです。それに対し、欧米では教えなければ育たないスキルとして捉えています。これではコミュニケーション能力にも差が出るのは当然でしょう。海外ドラマの方が表現が豊かで見ていて面白いのも、基本的な表現力が違うからかもしれませんね。

0歳から6歳まで

赤ちゃんが最初にコミュニケーションを学ぶのは親です。そのため、親は子供と積極的に関わらなければなりません。子供が「親と関わりたい」というサインを示したときには敏感に反応して、子供が望んでいるものを与えてあげましょう。ごっこ遊びや歌を歌ったり、本を読んであげたりと様々な関わり方があると思います。常に笑顔で接することで子供は社交的な性格になっていきます。

子供と雑談をするときには5つのルールがあります。雑談をするときにこれらのルールを守っているか定期的に確認するようにしましょう。

雑談をするときの5つのルール
  • 子供からではなく、自分から話題を振る
  • 子供が話題に乗ってきたら話題を広げる
  • 話を遮ったり、否定せずに最後まで聞く
  • 上から目線で話さない
  • 話しやすい環境を作る

コミュニケーションに重要なのは感情を表現することです。感情をうまく表現できないと相手はどう接したらいいのかわからず、コミュニケーションが上手くいきません。子供が感情表現できるようになるためには親の共感能力が重要になります。子供の感情に対して反応しないと子供は否定されたように感じ感情表現をしなくなってしまいます。

また、コミュニケーション能力を発達させるためには聞く力が重要です。自分の言いたいことを一方的に伝えるのではなく、相手の言っている事を最後まで聞いて、その上で自分の意見を言えるようにしていきましょう。そのためには、親が子供の話をしっかりと聞くことが大切です。子供は表現力が足りないので、何を言いたいのかわからないかもしれませんが、最後まで聞いてあげることで子供の聞く力が育ちます。さらに、話を聞いてあげることで子供が自分から話したくなったり、集中して自分の言いたい事を表現する能力も身につきます。

7歳以降

7歳以降は集団行動に参加させましょう。親との会話だけでは決まった集団との関わりしか持たない子供になります。多様な文化や人種の人と関わる人になるためにも集団活動に参加させましょう。そのためには、地域のサッカークラブや野球のスクールに通わせる事をお勧めします。コミュニケーションの幅が広がり、将来の人間関係を広げるキッカケにもなります。

多様な人と関わる力を身につけさせたいと思っても、子供自身がどう思うかを聞かなければなりません。ある日、突然サッカークラブに連れて行かれた、と言うのでは子供は戸惑ってしまいます。事前に「どんな事をするクラブなのか?」、「どんなメリットがあるのか?」と言う事を話し合って最後は子供に決断させましょう。

また、大人との交流も大切にしましょう。社会に出ると自分の年の離れた人ともコミュニケーションを取らなければなりません。子供の時に「大人の会話に口を出さないの!」というような躾を行なっていると、年齢の離れた人との関わり方が分からず、社会に出てから苦労することになります。そのため、親戚や地域の人と積極的に関わりを持たせて、年齢が離れている人とのコミュニケーション方法を学ばせるようにしましょう。

国際感覚を持たせたい、という場合は外国人と関わる機会を持たせましょう。様々な文化や宗教の人と関わることで、相手の文化や考え方を尊重する考え方が身につきます。外国人と関わるためには、外国人をホームステイさせる、外国にホームステイさせる、外国人向けの観光ボランティアに参加する、などがあります。大学に進学する際にも留学生の多い大学に進学することで外国人と関わりを持つ機会を増やすことが出来ます。

まとめ

今回は子供が自分で成長していくために必要な能力に付いて紹介しました。

親がしっかりと子育てすれば、子供は勝手に自分を成長させて予想もしていなかったような成果を出します。そのためにも、子育てをするときには今回紹介した3つの能力を育てるように心がけましょう。

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